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spin-offージェイクと騎士ー
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次にルイさんに会えたのは、ベルガルドさんと遊んだ後、三度目のパーティーだった。
もしかすると直ぐに会いに来てくれるかも……。と期待もしていたが、全くそんなことはなかった。
(見込みがないのだろうか。)
不安は日々募るばかりだ。
マヒロを手放した時のショックがトラウマになっていて、自分から行動出来ていないのは自覚している。きっと慎重になり過ぎている。
でも、今度こそは失敗したくない。
こんな自分に驚いている。騎士団のパーティーの日は勿論のこと、そうじゃない日まで落ち着かない。もしかすると、何か用事で急にくるのでは? なんて、ありもしない期待をして心ここに在らずな状態だ。
しかし、なぜここまでルイさんが好きなのだろうか。マヒロと似ている部分は確かに感じる。華奢なスタイルも、頑張り屋なところも、放っておけない雰囲気も。
明確な違いと言えばαかΩかってだけだ。
勘違いしないでほしいのは、決してマヒロの面影を感じているから好意を寄せたんじゃないと言うこと。
恋愛において『ここが好きだから』と言うピンポイントな理由などないだろう。気付けば好きになっていたのが自然な流れではないだろうか。
久しぶりにパーティーへ来て、俺だけを頼って腕にしがみ付いているこの人を好きになるのは、ナチュラルに捉えれば当然なのかもしれない。
「お久しぶりですね、ルイさん。体調を崩してらっしゃると聞いて、心配していました」
「もう、大丈夫です」
ルイさんは必要最低限の会話しかしてくれない。
また、緊張の度合いが振り出しに戻ってしまった気がする。
(せっかく慣れてきていたのにな……)
俺にまで警戒心が強めなのが寂しいと感じる。
「また、いつでもガーデンへ行きましょう。無理せず仰ってくださいね」
「ありがとうございます」
やはり端的な答えしか返ってこない。
この怯えた小動物のように可憐な彼を、どうにか楽しませてあげられる手段はないものか……。
「そうだ! この前、ベルガルドさんと一緒に食事に行ったんですよ」
「はい。騎士団員に自慢していました」
「え? そうなんですか?」
「ええ。あなたは有名ですから」
「そんなの、買い被りすぎですよ」
「そんなことはありません。騎士団員はみんなあなたを褒めていますよ。パーティーに参加するのも、あなたがいれば損はしないからだって」
「それは有難いお言葉……」
そんな話は初耳だったので、素直に嬉しかった。
「ルイさんは、そうは思って下さってないようですね」
「いえ……そんな……。あなたは、緊張するけど落ち着く。変な感じの人ですね」
「そんな風に言われたのも初めてです」
一瞬目が合ったけれど、すぐに俯いてしまった。
「でも、緊張されるのは私としても不承知なので、チャンスをいただけませんか?」
俺からの提案にルイさんはポカンと口を開け、どう言うことだと表情で訴えてきた。
「次の休日に、私と出かけましょう」
「えっ? な、なん……」
驚きすぎて言葉も出ないようだ。ここで引き下がってはきっと断られるだろう。
「実は、頼まれているんです。ベルガルドさんから」
「な……にを……ですか?」
「ルイさんに、もっとこの街に馴染んでほしいと」
「それなら……騎士団員と……」
「そうかもしれませんが、たまには違った相手と外出するのも新しい発見があるかもしれないでしょう?」
「……まぁ、はい……」
少し強引になってしまったのは否めないが、こうでもしないと一生進展しない。
とにかく、今の望みは二人きりになりたいということだ。
もしかすると直ぐに会いに来てくれるかも……。と期待もしていたが、全くそんなことはなかった。
(見込みがないのだろうか。)
不安は日々募るばかりだ。
マヒロを手放した時のショックがトラウマになっていて、自分から行動出来ていないのは自覚している。きっと慎重になり過ぎている。
でも、今度こそは失敗したくない。
こんな自分に驚いている。騎士団のパーティーの日は勿論のこと、そうじゃない日まで落ち着かない。もしかすると、何か用事で急にくるのでは? なんて、ありもしない期待をして心ここに在らずな状態だ。
しかし、なぜここまでルイさんが好きなのだろうか。マヒロと似ている部分は確かに感じる。華奢なスタイルも、頑張り屋なところも、放っておけない雰囲気も。
明確な違いと言えばαかΩかってだけだ。
勘違いしないでほしいのは、決してマヒロの面影を感じているから好意を寄せたんじゃないと言うこと。
恋愛において『ここが好きだから』と言うピンポイントな理由などないだろう。気付けば好きになっていたのが自然な流れではないだろうか。
久しぶりにパーティーへ来て、俺だけを頼って腕にしがみ付いているこの人を好きになるのは、ナチュラルに捉えれば当然なのかもしれない。
「お久しぶりですね、ルイさん。体調を崩してらっしゃると聞いて、心配していました」
「もう、大丈夫です」
ルイさんは必要最低限の会話しかしてくれない。
また、緊張の度合いが振り出しに戻ってしまった気がする。
(せっかく慣れてきていたのにな……)
俺にまで警戒心が強めなのが寂しいと感じる。
「また、いつでもガーデンへ行きましょう。無理せず仰ってくださいね」
「ありがとうございます」
やはり端的な答えしか返ってこない。
この怯えた小動物のように可憐な彼を、どうにか楽しませてあげられる手段はないものか……。
「そうだ! この前、ベルガルドさんと一緒に食事に行ったんですよ」
「はい。騎士団員に自慢していました」
「え? そうなんですか?」
「ええ。あなたは有名ですから」
「そんなの、買い被りすぎですよ」
「そんなことはありません。騎士団員はみんなあなたを褒めていますよ。パーティーに参加するのも、あなたがいれば損はしないからだって」
「それは有難いお言葉……」
そんな話は初耳だったので、素直に嬉しかった。
「ルイさんは、そうは思って下さってないようですね」
「いえ……そんな……。あなたは、緊張するけど落ち着く。変な感じの人ですね」
「そんな風に言われたのも初めてです」
一瞬目が合ったけれど、すぐに俯いてしまった。
「でも、緊張されるのは私としても不承知なので、チャンスをいただけませんか?」
俺からの提案にルイさんはポカンと口を開け、どう言うことだと表情で訴えてきた。
「次の休日に、私と出かけましょう」
「えっ? な、なん……」
驚きすぎて言葉も出ないようだ。ここで引き下がってはきっと断られるだろう。
「実は、頼まれているんです。ベルガルドさんから」
「な……にを……ですか?」
「ルイさんに、もっとこの街に馴染んでほしいと」
「それなら……騎士団員と……」
「そうかもしれませんが、たまには違った相手と外出するのも新しい発見があるかもしれないでしょう?」
「……まぁ、はい……」
少し強引になってしまったのは否めないが、こうでもしないと一生進展しない。
とにかく、今の望みは二人きりになりたいということだ。
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