【完結】ダンスパーティーで騎士様と。〜インテリ俺様騎士団長α×ポンコツ元ヤン転生Ω〜

亜沙美多郎

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spin-offージェイクと騎士ー

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 ルイさんは仕方なくオッケーしてくれた感じではあったが、これでプライベートで彼に会える。一度きりでは終わらないように最善を尽くさなければならない。

 きっと、俺のプライベートを使ってまで会うことを懸念しているだろう。

 それでも一緒にいて楽しかったと思わせたい。

 こんな気持ちになのは学生の頃以来だ。

 ……そうだ。例えるなら、これは初恋に似ている。

「ふふ……。人生で二度も初恋をするなんてな……」

 浮き足立っている自分が可笑しい。でもこんなにも楽しい気分もなかなか悪くない。 

 宿舎まで迎えに行くと言ったが、目立ちたくないからと言ってホテルの前で待ち合わせることになっている。

 そろそろ着いただろうか。シェフにお願いしてあったサンドウィッチを馬車に積み、ルイさんの元へと足速に向かった。

「おはようございます、ルイさん」
「おはようございます」

 休日の俺を見て少し目を見開いた。仕事の時は髪をかっちりと纏めているが、休みの日はラフに整える程度だ。イメージが悪くならないとイイのだけれど。

「いつもと感じが違うから、一瞬分かりませんでした」
「そうですか? こっちの俺はどうです?」
「……いいと思います」

 僅かに頬を染めた気がする。好印象だと捉えて良さそうだ。

「……普段は『俺』って言うんですね」
「確かに。仕事中は自然と『私』になるんですよね。よければ今日一日、敬語をやめませんか?」
 少しでも壁を低くしたくて提案してみたが、それにはまだハードルが高すぎると言われてしまった。

「あの、ジェ……ジェイクさんは、敬語使わなくてイイですから……」

 初めて名前を呼んでもらえたことに感動してしまった。これだけで十分満たされた気持ちになる。

「じゃあ、今日は友達として接するね。ルイって呼んでもいい?」
 顔を覗き込むと、視線を逸らせて頷いた。

 馬車へと案内しながら、ニヤけた口元を隠すように手で覆う。この近所で遊ぶと思っていたらしいルイは、馬車に乗ることにまず驚いていた。
 
「今日はせっかく一日休みだから、遠出をしようと思ってね」

 田舎から出て来たと言っていたから、あまり都会っぽい場所は苦手かもしれないと思った。
 それに、これなら移動中は二人きりが確保できる。

 俺たちを乗せた馬車は海を目指して走り出す。

「海なんて、初めて見ます」
「それなら良かった。少し遠いけど、いい気晴らしになるよ」
 
 休日の俺に、ちょっとずつ緊張の糸が緩んできたように感じる。街を出て自然豊かな場所へさしかかった頃、窓を開けて流れゆく景色を眺めて過ごした。都会を離れたのは正解だった。ルイの表情が柔らかくなっていく。

 南へと走る馬車に、温かい風が入ってくると、ルイの髪をなびかせた。毛質の柔らかさを感じるようにフワリと揺れる。

 俺は窓の外を眺めているルイに釘付けになっていた。
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