EIGHT

千代

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壱章

EIGHT

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 我が八つ星学校はカースト制度がある。それは、チェスに基づくものだ。男子はキング、女子はクイーンが上位とされ、キングとクイーンを中心にしてつくられているチームにランクがつけられる。S·A·B·C·D·Eとなっている。ランクは試合によって決められる。チームにはキング、クイーン、ビショップ、ナイト、ルーク。全員で八人いる。人は生まれつき力が付与されている。それを使い学期末に行われる試合に臨むのだ。
 うちのとこのキングの名前はぜろ。彼の力は『ミラー』自らが作り出した鏡で、色々の物を反射したりできる力。
 そして、ビショップは愛海まなみ美琶みわである。二人とも1年生だ。愛海の力は『御加護』人を。守ったり制御する力。美琶の力は『歌声』歌うと攻撃ができたり人を癒せる力。
 次にナイトは夜風よふう。1年生だ。夜風は『封刀』どんな力も封印してしまう力。
 次にルークは爽太そうた。彼の力は『武器魔』いろんな武器が出せる力。
 最後に私、クイーンすてらの力は『魔法』ただし氷属性の魔法は使えない。
 
 
 
 「キャー 零様~」
 「今日もお美しい!」   
 「あんた、どんな過ごし方したらあんなに女子に好かれるのよ。朝は早く来てるからいいけど。」
 「ヤキモチとは可愛いもんですね?星先輩。」
 「夜風は黙ってな。」
 「わたくし、愛海の目から見ても零先輩は女誑しにしか見えません。」
 「それはさておき美琶と爽太は何処へ行ったんだ?」
 「また零は話をそらす。」
 「爽太先輩は、武器庫へいらっしゃいます。美琶さんは、音楽室にいるとおっしゃっておりました。」
 「二人とも真面目だな~。」
 「少しは見習え。」
 「最強のクイーンに言われたら仕方ないな~」
 「丁度いいところに星ちゃんと零君率いる美男美女チームじゃないか。」
 「ゲッ。」
 「星ちゃん、今度こそ僕の女になってくれ」
 「星先輩には手出しはさせません。志戸しどさん。」
 「流石ナイト君じゃないか。」
 「星をお前の女にするなど、この俺が許すはずないだろ。」
 「じゃあ試合をしようじゃあないか。零君のクイーンを賭けて。」
 「ハイハイはーい。では審判はこの叶夢かなめがさせていただくよ。この騒ぎは風紀委員長として見逃せないんでね。」
 周りを見るとスマホのカメラを構えている生徒が何人かいた。
 「ゲーム名は『レーティング マッチ』なんだけど、個人か団体戦どっちがいい?試合をふっかけてきたのは志戸君だから零君が選んでいいよ。」
 「団体戦にします。」
 「OKじゃあ試合会場に行く前にルール説明をしておくね。ルールは簡単、キングとクイーンを、戦闘不能にするだけだよ。じゃあ明日の放課後にここに集合してね。」
 
 
 
 「少しよろしいでしょうか星先輩、どうして直接会場に行かず叶夢風紀委員長の元に行かなくてはならないのですか?」
 「それはね愛海、叶夢風紀委員長が『空』の力を持っているからだよ。」
 「どんな力なんですか?」
 「見たらわかるよ。」
 「ついでに言うと風紀委員長は生徒会長のルークで、他にも生徒会は強者が揃っている。そうですよね。星先輩 。」
 「その通りだよ夜風、敵に回したくない人達なの。」
 「ところで、どうしてあんなイケメンの彼女になるのが嫌なんですか?別に自分のチーム以外の人と付き合ったらいけないという決まりもございませんし。」
 「あの人、自分以外のチームのメンバーをわざと自分の落とした女子ばっかりにしているんだよ。それに加えて使い魔であるポーンにまで♀ばかりなんて」
 「どこまでも下劣な野郎ですよ。僕だったらそんなことしませんが。」
 「そんなこと言っているとあいつと同じになるよ。」
 

 「やっと来たね。他の人はもう着いてるよ。着いたら5分間自由時間があるけど、敵陣に攻めるのはなしだよ~。じゃあ転移させるから動かないでね。」
 『空と大地よ我らを目的の地へと運べ』
 
 
 試合会場である学校に着いた。
 「なるほど、風紀委員長はこんな力をお持ちで『空』というのは空間のことだったのですね。」
 《では、今から零君 対 志戸君の試合を行うよ~。試合会場は学校と同じような所になるけど空間の中に作られた空想に過ぎないから、じゃんじゃん壊しちゃっていいよ~。》
 「じゃんじゃんって嬉しい事言ってくれるねー破壊タイプが多い俺たちからしてみれば。」
 「零、呑気なことを言っている場合じゃあないよ。1年生はゲームは初めて。それにあっちは駒がフルに揃っている。」
 「大丈夫だよ、爽太。こっちには優秀なメンバーに加え、最強のクイーンがついているからね。」
 「零、油断は禁物だよ。ここは校舎とは、別の塔、この感じからして相手は校舎にいる。作戦を確認するよ。まず、愛海は全員に力を発動した後、夜風と体育館へ移動。きっと敵も校舎とこことの間にある体育館を狙うはずだから。あとの私を含めて四人は校舎へ向かう。後の指示は私が状況をみてだす。いい?仲間のことを頭に常に置いて行動しなさい。もしものときはまず自分を守ること。」
 「じゃあみんな頑張れよ。」
 「はいっ」
 
 
 《もうそろそろ5分経つねじゃあ、始め!》
 
 『我願う、この方々に御加護を』
 「さぁ参りましょう志戸を倒しに。」

 
  ~静かすぎる体育館に愛海と夜風は物陰に~
 「あの夜風さん、まさか誰もいらっしゃらないとかはございませんよね。」
 「そんな訳はないよ愛海、気配的には、二人はいる。このままじゃあ埒が明かないから出ようか」
 「はっ、はい。」
 「いい加減、君達も出てきたらどうかな。」
 「やっぱり気づいていたか。流石ナイト一のイケメンと言われるだけあるな。」
 「私達は、志戸様のナイト いざ勝負」
 「まずは、弱そうなビショップからやっておくかっ」
 「手荒な人だな~」
 「よく受け止めたな。それに刀を折るとは。」
 「夜風さん、ありがとうございます。」
 「どういたしまして。しかし、主人に似てかやる事が下劣ですね。」
 「私達への侮辱のみならず、志戸様にまで…。許さない。」
 『スプレッド・ソード』
 剣が針山かのように何本も刺さった。彼女は剣をそこから抜いた。
 「何回でも折ってあげるさ。」
 《夜風。そこにいるのはナイト二名で間違えないか。であれば愛海。ナイト一名を閉じ込めなさい。》
 「かしこまりました。先程、弱そうと言ったこと後悔させます。」
 『我願う、己の体を制御せよ』
 「くそっ、これでは身動きもとれない。」
 「夜風さん。これで快く戦えますよ。」
 「愛海、ありがとう。さて、仕切り直しといこうか。」
 『我の仇の力を封じる抜刀よ仇に天罰を』
 彼女の刀は光とともに消えた。
 「君の力は封じたよ。君はもうすぐ倒れてゲームオーバーさ。愛海、今度はそっちを離して。」
 「はい。」
 『我願う、制御を解除せよ』
 「どうかな、制御から解放された気分は。」
 「つまらん、戯言はいらんさっさと構えろこちらから行くぞ」
 『夙』
 「ほぅ君は速さに特化するための力か」
 「それがどうかしたのか、それともまた力を封じるつもりか?」
 「いいや、その必要はないよ。僕のまえではスピードは無力。」
 「ん?」
 ズタッそんな音が聞こえた。
 「己の技術で負けるわけなかろうが。さて、星先輩に連絡!」
 《星先輩!僕達勝ちました。》
 《ご苦労さま、あなた達もこちらへ向かって》
 
 
  ~校舎より4人~
 「ここからは2手に分かれましょう。」
 「了解です。」
 
 ~東校舎に星と爽太は廊下を歩く~
 「そちらから向かってきてくれるなんて嬉しい限りですね。私達はクイーン、ビショップ、ルークだ。そちらはクイーンとルークでお間違えないですね。」
 「えぇ、律儀なことね、今から戦うというのに。」
 私は攻撃を仕掛けたが、相手のビショップに防がれてしまった。
 『シールド』
 「ほぅ防衛ですか、しかし、その程度だとすぐに破れてしまうわよ。」
 相手のルークに物理攻撃を仕掛けられた。しかし爽太が弾いた。
 「私のクイーンに手を出してタダですむと思わないでくださいね。お仕置きをして差し上げます。」
 「はぁ、始まった。爽太程々にね。あなたがそうなるとその子のトラウマになってしまいかねないから。」
 「何を余所見している。」
 『死者よ、舞踊れ』
 黒い煙が人の形になったと思うと、襲いかかってきた。これは闇魔術だ。
 『聖なる光の精霊よその力を我に、闇の力を薙ぎ払え』
 人型となったものは消えたが、煙がまだ残っていた。
 「何をした女、」
 「そちらが闇ならこちらは光。魔法と魔術では格が違うけれどね。」
 「ほう、たしかに魔法と魔術では魔術の方が下ではあるが、これならどうかな?」
 『死者達よ、踊り狂え』
 今度はとても多くもっと黒い煙か人型となった。
 『聖なる光の神々よその力を我に、闇を灯さぬほどの光を』
 今度は煙まで光とともに消えた。
 「残念だったわね。クイーンさん。」
 「憐れむ時間があるなら、さっさと魔法を掛けなさい。どうせ貴方には勝てない。すみませんでした。志戸様。」
 『聖なる光の精霊よその力を我に、雷光よ鳴り響け』
 『シールド』
 「なりません。諦めては、志戸様に褒めてもらうためにも。」
 『神々よ』
 私は力を強めた。
 バリッと相手のシールドが破け、雷光が相手のクイーンとビショップにあたった。
 「こっちは片付けたよ。しかし、まさか上位であるクイーンまで志戸の本性を知らないなんてねぇ。」
 「そうね、爽太。まぁ志戸は本性隠す天才だから。さてと、私達のキングのもとに行きましょう。」
 
 ~西校舎より零と美琶~
 「美琶ちゃん。敵が来たら足止めしてくれるかな?」
 「はい。分かりました。」
 「あれれ~。星ちゃんじゃなかった~。残念だな。はずれだ。」
 「はずれで悪かったな。美琶、頼む。」
 『何もかも飲み込む炎となれ。ア~♪」
 炎が志戸達を囲んだ。
 「志戸様、さっさと片付けちゃって下さい。」
 『誇り高き馬よ、奴等を黄泉へと誘え』
 大きな白馬が現れた。
 『フェイクミラー』
 零がそう言って指を鳴らすと、鏡ができ、白馬が消えた。
 「代わりにこれを」
 『ディファレントミラー』
 白馬を消した鏡から黒馬が出てきたかと思うと、相手を消し飛ばしてしまった。そして悲鳴が聞こえた。
 「何をしたの?零。」
 「おや、もう終わったの?星。俺はただ志戸がしようとしていることを倍にして返しただけだよ。」
 「それは志戸が可哀想になってきてしまうね。しかしどうしたんだろうか、風紀委員長からのアナウンスがないのはおかしいね。」
 「確かにそうね。爽太。」
 「イヒヒヒヒヒヒヒヒハハハハハハハハハ、やるねぇ零君。」
 「確かに当たったはず、まさか俺の攻撃を、女どもを盾にして防いだのか。」
 「自分さえ良ければそれでいい。どこまでも下劣なやつですね。志戸。」
 「そんな連れないこと言うなよな。星ちゃん。この女どもだってこの志戸様を守れて本望だろ。」
 「零、ドゥーブルミラーを出して私はこいつにとどめを刺す。」
 「ああ、仰せのままに最強のクイーン。」
 零は私に跪いた。
 『ドゥーブルミラー』
 私の前に志戸越しに鏡が現れた。
 『聖なる水の神々よ、その力を我に汚れを清めよ』
 水が鏡に当たり鏡が割れ威力を増しながら志戸の元へ一直線に向かった。
 「あまりにも哀れな姿ではごさいませんか。白馬の王子様でも、その誇り高き馬もステラの前では、走ってはくれませんよ。志戸。」
 「星…」


 《はーい、終了。勝者零くんチーム。イェーイみんなお疲れ様。では、勝者から敗者へ一言どうぞ。》
 「志戸の駒であった方々この勝負で分かったでしょ。志戸はどこまでも下劣なやつです。手を引いて他のもののところへ行きなさい。」
 「星先輩、クールですね。確かに戦ってみてわかりましたが、きっと志戸のもとでなければとても良い人材になっていたかもしれませんね。」
 「夜風、そうね。能力は高いのに、志戸は遊び狂っているから。」
 
 
 《みんな言っておくけど、学校の中でも、外でも殺しちゃ駄目だよ。この空間から出たらもう恨みっこなーし。じゃあね。
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