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黒伯爵と小さな攻防
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今日は高校受験、本番の日だ。
つまり、朝早くに起きてポテンシャルを万全にし、尚且つ胃に負担をかけない様に気をつけて朝食を食べながら単語帳で復習をする。
合格するか否かどうかではない、当たって砕けるのだ。
そう──だって第二志望だからね!
先生の目の前で言ったらビンタされるであろう事を考えながら朝食を飲み込み、単語帳を捲る。
すると、視界の端に黒い物体が横切った。
そう、お察しの通りあのGから始まる黒伯爵だ!
……さて、どうしようか。
レディー、ファイっ!
なんてゴングの音と共にそんな声が脳内で再生された。いやどうしろと。
後ろには父が読み終わった新聞の山が丁度あった。
……つまりヤれと?
いや待て落ち着け、まだ他に和解する方法が……
呑気にそんな事を考えていたせいなのかなんなのか、黒伯爵はこちらに向かって、大きく小さな翼をはためかせた!
いや待って流石に無理ですちょ本当に飛ぶとか聞いてなぎゃあああああ
単語帳が空の彼方へ飛んで行ったのは割愛して、そんな間抜けな叫び声を上げながら新聞紙でガードでは無く、黒伯爵に押し付けた。
すると、タイミングが良かったのか、黒伯爵はその新聞紙と共に床に叩きつけられたではないか!
さあ、この0.2秒の間に判決を下さなければならない。
ヤるか否か!
じゃないとまたカサカサしだすよこの黒伯爵!
取り敢えず、そっと手を乗せて確保する。
待って生きてるんだけど無理だってヤれないって
「なにやってんの。早く行かないと試験間に合わないわよ」
うーんうーんと悩んでいると、丁度手を離した絶妙なタイミングでお母様が黒伯爵をお踏みになった。黒伯爵ぅぅうううう!!!
白い血飛沫が上がる中、名も知らぬ黒伯爵にただそう叫ぶことしか出来なかったのだった……
──そうして、そんな小さな攻防を受験直前の朝っぱらから繰り出した第二志望の結果は見事合格をもぎ取れていた。
でも第一志望が無事に合格してたから行かないんだけどね!
ふと空を見上げると、黒伯爵がピースをしてくれている気がして腕を空に掲げピースを返すと、また視界の端に黒い物体が飛んでいる気がした──
つまり、朝早くに起きてポテンシャルを万全にし、尚且つ胃に負担をかけない様に気をつけて朝食を食べながら単語帳で復習をする。
合格するか否かどうかではない、当たって砕けるのだ。
そう──だって第二志望だからね!
先生の目の前で言ったらビンタされるであろう事を考えながら朝食を飲み込み、単語帳を捲る。
すると、視界の端に黒い物体が横切った。
そう、お察しの通りあのGから始まる黒伯爵だ!
……さて、どうしようか。
レディー、ファイっ!
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いや待って流石に無理ですちょ本当に飛ぶとか聞いてなぎゃあああああ
単語帳が空の彼方へ飛んで行ったのは割愛して、そんな間抜けな叫び声を上げながら新聞紙でガードでは無く、黒伯爵に押し付けた。
すると、タイミングが良かったのか、黒伯爵はその新聞紙と共に床に叩きつけられたではないか!
さあ、この0.2秒の間に判決を下さなければならない。
ヤるか否か!
じゃないとまたカサカサしだすよこの黒伯爵!
取り敢えず、そっと手を乗せて確保する。
待って生きてるんだけど無理だってヤれないって
「なにやってんの。早く行かないと試験間に合わないわよ」
うーんうーんと悩んでいると、丁度手を離した絶妙なタイミングでお母様が黒伯爵をお踏みになった。黒伯爵ぅぅうううう!!!
白い血飛沫が上がる中、名も知らぬ黒伯爵にただそう叫ぶことしか出来なかったのだった……
──そうして、そんな小さな攻防を受験直前の朝っぱらから繰り出した第二志望の結果は見事合格をもぎ取れていた。
でも第一志望が無事に合格してたから行かないんだけどね!
ふと空を見上げると、黒伯爵がピースをしてくれている気がして腕を空に掲げピースを返すと、また視界の端に黒い物体が飛んでいる気がした──
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