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1章
18 新たな隷属陣
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ばあやさんがソニン様を見て驚き泣いていましたから、神官長に酷い目に遭い、王様が断罪したと話しました。
ソニン様は湯につけられてやっと意識を取り戻しましたが、前々王様に手酷く犯されていた記憶が全くないのです。
「ばあや、どうして泣いているのです?」
ソニン様湯につけられてぼんやりとしています。僕はそのやりとりを浴室の外から聞いていました。
隷属陣は複数に渡り掛けられて制約を施していたようです。想像の範囲ですがソニン様は、
人目がなくなったら祈りの塔に行くこと。
祈りの塔でのことを忘れること。
前々王様以外を愛さないこと。
宿り木に決して実をつけないこと。
前々王の命令を違わぬこと。
などさまざまな制約があったのでしょう。
でも王様の王様としての行動により、王様のマナが増えていくつかの隷属陣が効力が落ち消えていたようです。
居間に王様がいて僕は王様に頷きました。王様はソニン様に全てを打ち明けるかどうか悩んでいるのです。
「三妃も同席してくれないだろうか」
「いいですよ。むしろ僕からお願いしたいです」
僕は支度が整ったソニン様の寝室に僕と王様が入ります。ばあやさんが同席したいというのを僕は断りました。ソニン様の様子を見るのは辛いと思うのです。
「ガリウス様、ターク様とお揃いでどうなさいました?」
湯につけられていた理由も知らされないままのソニン様に、王様は低い深い声で前々王様が生きていて神官長にすり替わり、ソニン様と交合していたことを話しました。
「そんな……わたくしは……前王様もガリウス様も裏切って……」
はらはらと泣いているソニン様は涙を流しながら、王様を見上げます。
「ソニン。余の父がすまなかった」
王様はソニン様の手に額をつけて謝りました。ソニン様は何度も首を横に振り、否定をされます。
「いいえ、いいえ、いいえ、いいえ……わたくしはどう償えば良いのでしょう……ガリウス様……わたくしを罰してください」
やはりそうなります。この場合、幼いソニン様に無体をしたのは王家の方です。処罰に値するものなどありませんが、ソニン様は身の裏切り……今王様以外に交合したことへの贖罪を望んでいます。
「王様、隷属陣はどうでしょう。ソニン様を王様が隷属するのです」
「隷属陣?あやつと同じではないか!」
「いいえ、王様の隷属陣です。王様の制約を添えるのです」
ソニン様も泣き濡れながら頷きました。そんな様子に王様も渋々頷かれ、ソニン様に僕は話します。
「隷属陣はかなりの痛みを伴います。本来ですと薬を嗅がせ眠ってから陣を肌に描きます。この度はソニン様は意識がある中でですから、口に布を入れて噛み締めてください。痛くても意識を手放してはなりませんよ」
「は、はい」
ソニン様は全裸になり寝台に横たわります。僕は寝台に上がらせてもらい、ソニン様の髪を横に流します。
「はじめてですので背中がいいですね。直接肌に描きます」
「うむ」
さあ、しっかり覚えてきたはずです。王様は指を出しました。指先にマナが光ります。白い透き通るような肌に円を描いて行きます。
「ううっ……」
王様の力の証であるマナを直接受けるのです。まるで刺青のように光が差し込み浮かび上がりました。円のあとは放射陣を作り文字を入れて行きます。
「ううーっ……」
文字はさらに痛みが増すようで、僕はソニン様の手を握ろうとしましたが辞めておきました。ソニン様はこの長い時間を掛けた隷属陣の痛みを一人で耐えなくてはなりません。
王様の名前が入り、魔法陣は完成しました。
「魔法陣展開、隷属!」
王様が低く呟きます。魔法陣の光りがソニン様の背中で光ります。僕は右手の中に魔法陣を作り出し小さく口の中で呟き、その手を真横に滑らせました。
「ソニン、余が死ぬまで余の妃であれ」
王様の制約に僕は驚きました。だってガルド神の神託では、ソニン様は『国母』なのです。王様が亡くなれば、ソニン様は別の王様に下げ渡されるのです。
「き……ゃあああっ!あーーっああーーっ!」
ソニン様の背中の金のマナが部屋中に飛び散り、ソニン様は痛みに失禁しました。ガルド神の神託と王様の制約の狭間でソニン様の心が試されているのです。
「ガルド神よ、余にはソニンが必要なのだ」
王様がさらにマナを込めてガルド神に願いでます。
「あ、あ、あ、あーーーっ!」
ソニン様が背を逸らして悲鳴を上げ続け、ぱた……と寝台に伏しました。背中の魔法陣が定着して破損することなく金の文字が背に落ち着きました。
ガルド神が王様の制約を認めた瞬間です。逆にいえば王様のお子様の実は必ず宿り木に着き、そのお子様にソニン様が嫁すことはないということになります。王様がソニン様の運命を変えたのか、元々ガルド神の神託に揺らぎがあったのか分かりませんが、王様の初めての魔法陣は成功しました。
「誰かある!余がソニンを湯に入れる。その後はこちらの宮で食事を取り夜を共にする」
失禁し肩で息をつくソニン様を抱き上げて、王様が呼びました。
「良い判断です、王様」
「今宵は三の宮だが……すまぬ」
「それでこそ、僕の良き教え子です。ソニン様と一緒に湯にお入りください」
僕がソニン様の髪を撫でました。
「よく辛抱しました。ソニン様は王様がご崩御される瞬間まで王様の妃であります」
「ターク様……わたくし……」
「ソニン様はガルド神に許されたのです。お元気になられたら、王様の宿り木に祈りましょう」
僕はソニン様の寝室を後にしました。ばあやさんがソニン様の悲鳴に泣いていますが、僕は大丈夫ですと告げ外に出ます。アリスさんとキレンさんがいました。
「お疲れ様です。王様はこちらで夕食を召し上がられます。王様への報告は明日でよろしいかと。恙き処理でしたか?」
アリスさんが僕に片膝をつきました。
「はい、恙無く」
僕は頷いて僕の宮に行こうとします。
「あの、三妃様」
「はい」
「願えば、私も読み書きを学べますか」
「もちろんです」
「お願いします、三妃さま」
「あーじゃあ、俺も。三妃さんお手柔らかに」
アリスさんとキレンさんが生徒になりました。
さあ、宿題を出さなくては。僕は宿題をよく出す先生でした。わくわくします。今日明日、王様は一の宮に渡ります。その次の日は二の宮。だから少し多めに渡さないと行けませんね。
「では、皆さん。また」
僕は僕の三の宮に戻ります。途中、僕の宮の上にある王様の宿り木が見えます。灰色の木肌が桃に変わりました。ソニン様がお元気になられたら魔法陣をお願いしましょう。妖精族の魔法陣、楽しみです。
ですが、僕の願いは叶いませんでした。
ソニン様は湯につけられてやっと意識を取り戻しましたが、前々王様に手酷く犯されていた記憶が全くないのです。
「ばあや、どうして泣いているのです?」
ソニン様湯につけられてぼんやりとしています。僕はそのやりとりを浴室の外から聞いていました。
隷属陣は複数に渡り掛けられて制約を施していたようです。想像の範囲ですがソニン様は、
人目がなくなったら祈りの塔に行くこと。
祈りの塔でのことを忘れること。
前々王様以外を愛さないこと。
宿り木に決して実をつけないこと。
前々王の命令を違わぬこと。
などさまざまな制約があったのでしょう。
でも王様の王様としての行動により、王様のマナが増えていくつかの隷属陣が効力が落ち消えていたようです。
居間に王様がいて僕は王様に頷きました。王様はソニン様に全てを打ち明けるかどうか悩んでいるのです。
「三妃も同席してくれないだろうか」
「いいですよ。むしろ僕からお願いしたいです」
僕は支度が整ったソニン様の寝室に僕と王様が入ります。ばあやさんが同席したいというのを僕は断りました。ソニン様の様子を見るのは辛いと思うのです。
「ガリウス様、ターク様とお揃いでどうなさいました?」
湯につけられていた理由も知らされないままのソニン様に、王様は低い深い声で前々王様が生きていて神官長にすり替わり、ソニン様と交合していたことを話しました。
「そんな……わたくしは……前王様もガリウス様も裏切って……」
はらはらと泣いているソニン様は涙を流しながら、王様を見上げます。
「ソニン。余の父がすまなかった」
王様はソニン様の手に額をつけて謝りました。ソニン様は何度も首を横に振り、否定をされます。
「いいえ、いいえ、いいえ、いいえ……わたくしはどう償えば良いのでしょう……ガリウス様……わたくしを罰してください」
やはりそうなります。この場合、幼いソニン様に無体をしたのは王家の方です。処罰に値するものなどありませんが、ソニン様は身の裏切り……今王様以外に交合したことへの贖罪を望んでいます。
「王様、隷属陣はどうでしょう。ソニン様を王様が隷属するのです」
「隷属陣?あやつと同じではないか!」
「いいえ、王様の隷属陣です。王様の制約を添えるのです」
ソニン様も泣き濡れながら頷きました。そんな様子に王様も渋々頷かれ、ソニン様に僕は話します。
「隷属陣はかなりの痛みを伴います。本来ですと薬を嗅がせ眠ってから陣を肌に描きます。この度はソニン様は意識がある中でですから、口に布を入れて噛み締めてください。痛くても意識を手放してはなりませんよ」
「は、はい」
ソニン様は全裸になり寝台に横たわります。僕は寝台に上がらせてもらい、ソニン様の髪を横に流します。
「はじめてですので背中がいいですね。直接肌に描きます」
「うむ」
さあ、しっかり覚えてきたはずです。王様は指を出しました。指先にマナが光ります。白い透き通るような肌に円を描いて行きます。
「ううっ……」
王様の力の証であるマナを直接受けるのです。まるで刺青のように光が差し込み浮かび上がりました。円のあとは放射陣を作り文字を入れて行きます。
「ううーっ……」
文字はさらに痛みが増すようで、僕はソニン様の手を握ろうとしましたが辞めておきました。ソニン様はこの長い時間を掛けた隷属陣の痛みを一人で耐えなくてはなりません。
王様の名前が入り、魔法陣は完成しました。
「魔法陣展開、隷属!」
王様が低く呟きます。魔法陣の光りがソニン様の背中で光ります。僕は右手の中に魔法陣を作り出し小さく口の中で呟き、その手を真横に滑らせました。
「ソニン、余が死ぬまで余の妃であれ」
王様の制約に僕は驚きました。だってガルド神の神託では、ソニン様は『国母』なのです。王様が亡くなれば、ソニン様は別の王様に下げ渡されるのです。
「き……ゃあああっ!あーーっああーーっ!」
ソニン様の背中の金のマナが部屋中に飛び散り、ソニン様は痛みに失禁しました。ガルド神の神託と王様の制約の狭間でソニン様の心が試されているのです。
「ガルド神よ、余にはソニンが必要なのだ」
王様がさらにマナを込めてガルド神に願いでます。
「あ、あ、あ、あーーーっ!」
ソニン様が背を逸らして悲鳴を上げ続け、ぱた……と寝台に伏しました。背中の魔法陣が定着して破損することなく金の文字が背に落ち着きました。
ガルド神が王様の制約を認めた瞬間です。逆にいえば王様のお子様の実は必ず宿り木に着き、そのお子様にソニン様が嫁すことはないということになります。王様がソニン様の運命を変えたのか、元々ガルド神の神託に揺らぎがあったのか分かりませんが、王様の初めての魔法陣は成功しました。
「誰かある!余がソニンを湯に入れる。その後はこちらの宮で食事を取り夜を共にする」
失禁し肩で息をつくソニン様を抱き上げて、王様が呼びました。
「良い判断です、王様」
「今宵は三の宮だが……すまぬ」
「それでこそ、僕の良き教え子です。ソニン様と一緒に湯にお入りください」
僕がソニン様の髪を撫でました。
「よく辛抱しました。ソニン様は王様がご崩御される瞬間まで王様の妃であります」
「ターク様……わたくし……」
「ソニン様はガルド神に許されたのです。お元気になられたら、王様の宿り木に祈りましょう」
僕はソニン様の寝室を後にしました。ばあやさんがソニン様の悲鳴に泣いていますが、僕は大丈夫ですと告げ外に出ます。アリスさんとキレンさんがいました。
「お疲れ様です。王様はこちらで夕食を召し上がられます。王様への報告は明日でよろしいかと。恙き処理でしたか?」
アリスさんが僕に片膝をつきました。
「はい、恙無く」
僕は頷いて僕の宮に行こうとします。
「あの、三妃様」
「はい」
「願えば、私も読み書きを学べますか」
「もちろんです」
「お願いします、三妃さま」
「あーじゃあ、俺も。三妃さんお手柔らかに」
アリスさんとキレンさんが生徒になりました。
さあ、宿題を出さなくては。僕は宿題をよく出す先生でした。わくわくします。今日明日、王様は一の宮に渡ります。その次の日は二の宮。だから少し多めに渡さないと行けませんね。
「では、皆さん。また」
僕は僕の三の宮に戻ります。途中、僕の宮の上にある王様の宿り木が見えます。灰色の木肌が桃に変わりました。ソニン様がお元気になられたら魔法陣をお願いしましょう。妖精族の魔法陣、楽しみです。
ですが、僕の願いは叶いませんでした。
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