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25 オーロとリオン※
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「リオンが離宮にいるんじゃないのか?」
「どうして、ジェスが知ってるの?」
思わず大きな声になってしまい、ターク先生とクロルが振り向いた。
「あ、や、オ、オーロと友達で」
ああ、なんだ。胸を撫で下ろす。
「リオンは今深く眠っているよ。夜に起きてくるんだ」
用意してある言葉を吐いた。
「なんだ、従獣だろ?だらしないなあ」
「もう、悪口いわないの!セシル兄様のハーピィアやハンロックのガルーダは鳥型の従獣だから、昼間の方が強いよね。獅子型のリオンは夜型だから、丁度いいんだって、セシル兄様が話していたよ。オーロだって昼間は寝ているんじゃないの?」
ジェスは
「そ、そ、そうだな。オーロは昼間は寝てる、多分。すごく会いたいみたいだから、今晩来るかもな」
なんて言っていて、僕はオーロに会える喜びに両手を合わせた。
「わあ、楽しみだなあ。離宮の庭を駆けっこして、離宮の小川を飛び越えてーー」
「どうして、サリオンがそんなに喜んでるんだよ」
あ、そうだ。僕はサリオンで、リオンではなくて。
「ーーと、リオンが喜びそうだよ」
「そりゃあいい、オーロも楽しみだ」
そんな話しをしていると、デザートのチョコガレットとお茶が運ばれて来た。テレサがお茶を注いでから、ソファの背後に待機する。お茶のおかわりを出すためだ。
四人でソファに座り直し、少し低めのテーブルに置かれた茶菓を食していると、ふと思い出したように、クロルが話し始めた。
「そう言えば、申し上げていませんでした。殿下、ミューラー子爵ご家族を死に至らしめたネムドですが、老齢の親である伯爵が爵地一部を国に譲渡するかわりに温情をと。昨晩、王宮内地下牢にて毒杯による貴族らしい死を賜りました。残念ながら、立派な最後とはいかずにてこずったそうですが。実行犯は取り調べ後、すぐに断罪せしめてございます」
クロルの言葉にジェスが鼻を鳴らす。
「ふん、命を奪っておいて打ち首が妥当だろう。なんて甘っちょろい。こちらの国王陛下はお優しいとみえる」
父様の悪口……でも、本当のことだ。でも父様は優しい。優しすぎる。それを補うのがセシル兄様だ。セシル兄様はふわりと甘い口調だけれど、かなり厳しいところがある。
「それもまた陛下の良きところかと。臣下の中には歯痒い思いをしておられるかもしれませんが」
ターク先生はそれには何も答えず、チョコガレットを口に入れて凄く困った顔をして眉を潜め、
「甘い……ジェスどうぞ」
とジェスにお皿を寄こしたのだった。
ジェスは離宮に来るためにクロルの養子として名を連ねたと聞いた時は、本当に驚いた。ジェスのご家族も理解しているみたいで、僕は胸が苦しくて苦しくてたまらない。どうしよう、僕はアーロンの婚約者なのに。アーロンも好きなんだけれど、ジェスの好きの方が、胸が苦しい。
月が現れて月明かりによって変幻する。僕は、今、獅子型の鈍色の体毛を持つ魔獣。そのままテラスに出た。月明かりと秋風が心地よかった。
薄荷の香りがしたからそちらに向かって四つ足で歩いていく。ジェスの部屋の近くを通ると頭が眩むほど薄荷の香りがした。なんだろう、身体の血が速く巡るような感覚は。
『くそ、こんな時に……。番いがいるってのは、こんなかよ』
少し曇った鼻に掛かる声はオーロだ。
『オーロ?』
名前を呼ぶと足に震えが来る。なんだろう、動悸が酷い。酷くて、耳がうるさいほどに。
『リオン……?』
オーロはジェスの部屋の下の生垣の隅に伏せていて、僕はその横に行こうとして、頭が眩んだ。オーロの身体から薄荷の甘く爽やかな香りがする。それを嗅ぐと血の巡りが速い。それでも寄り添って伏せた。伏せると生垣からは僕の耳しか見えない。
『リオン、リオン、俺の番い。助けてくれ……っ』
『どこか痛いの?番いって?』
『獣の伴侶』
オーロは何度も僕の顎髭に耳を擦り付けて来て、薄荷の香りが強い。お腹の中が熱くてたまらない。
『俺、俺、発情してる。番いのお前なら分かるだろ。お前の中に出したい』
荒い息のオーロが辛そうに息を吐く。僕はオーロの顔を舐めた。リオンの僕はオーロのことが大好きで、オーロに寄り添い続けた。
『リオン、リオン。責任を取る。だから……』
『うん。オーロ、魔獣同士支え合おうよ』
オーロが僕の背中に前足をついて、背後についた。尻尾の付け根が温かい。理性的だったのはここまでだった。
下草に伏せている僕のお尻に熱いものが触れて、お尻の孔に熱い塊が入ってくる。
『う……んっ……』
「どうして、ジェスが知ってるの?」
思わず大きな声になってしまい、ターク先生とクロルが振り向いた。
「あ、や、オ、オーロと友達で」
ああ、なんだ。胸を撫で下ろす。
「リオンは今深く眠っているよ。夜に起きてくるんだ」
用意してある言葉を吐いた。
「なんだ、従獣だろ?だらしないなあ」
「もう、悪口いわないの!セシル兄様のハーピィアやハンロックのガルーダは鳥型の従獣だから、昼間の方が強いよね。獅子型のリオンは夜型だから、丁度いいんだって、セシル兄様が話していたよ。オーロだって昼間は寝ているんじゃないの?」
ジェスは
「そ、そ、そうだな。オーロは昼間は寝てる、多分。すごく会いたいみたいだから、今晩来るかもな」
なんて言っていて、僕はオーロに会える喜びに両手を合わせた。
「わあ、楽しみだなあ。離宮の庭を駆けっこして、離宮の小川を飛び越えてーー」
「どうして、サリオンがそんなに喜んでるんだよ」
あ、そうだ。僕はサリオンで、リオンではなくて。
「ーーと、リオンが喜びそうだよ」
「そりゃあいい、オーロも楽しみだ」
そんな話しをしていると、デザートのチョコガレットとお茶が運ばれて来た。テレサがお茶を注いでから、ソファの背後に待機する。お茶のおかわりを出すためだ。
四人でソファに座り直し、少し低めのテーブルに置かれた茶菓を食していると、ふと思い出したように、クロルが話し始めた。
「そう言えば、申し上げていませんでした。殿下、ミューラー子爵ご家族を死に至らしめたネムドですが、老齢の親である伯爵が爵地一部を国に譲渡するかわりに温情をと。昨晩、王宮内地下牢にて毒杯による貴族らしい死を賜りました。残念ながら、立派な最後とはいかずにてこずったそうですが。実行犯は取り調べ後、すぐに断罪せしめてございます」
クロルの言葉にジェスが鼻を鳴らす。
「ふん、命を奪っておいて打ち首が妥当だろう。なんて甘っちょろい。こちらの国王陛下はお優しいとみえる」
父様の悪口……でも、本当のことだ。でも父様は優しい。優しすぎる。それを補うのがセシル兄様だ。セシル兄様はふわりと甘い口調だけれど、かなり厳しいところがある。
「それもまた陛下の良きところかと。臣下の中には歯痒い思いをしておられるかもしれませんが」
ターク先生はそれには何も答えず、チョコガレットを口に入れて凄く困った顔をして眉を潜め、
「甘い……ジェスどうぞ」
とジェスにお皿を寄こしたのだった。
ジェスは離宮に来るためにクロルの養子として名を連ねたと聞いた時は、本当に驚いた。ジェスのご家族も理解しているみたいで、僕は胸が苦しくて苦しくてたまらない。どうしよう、僕はアーロンの婚約者なのに。アーロンも好きなんだけれど、ジェスの好きの方が、胸が苦しい。
月が現れて月明かりによって変幻する。僕は、今、獅子型の鈍色の体毛を持つ魔獣。そのままテラスに出た。月明かりと秋風が心地よかった。
薄荷の香りがしたからそちらに向かって四つ足で歩いていく。ジェスの部屋の近くを通ると頭が眩むほど薄荷の香りがした。なんだろう、身体の血が速く巡るような感覚は。
『くそ、こんな時に……。番いがいるってのは、こんなかよ』
少し曇った鼻に掛かる声はオーロだ。
『オーロ?』
名前を呼ぶと足に震えが来る。なんだろう、動悸が酷い。酷くて、耳がうるさいほどに。
『リオン……?』
オーロはジェスの部屋の下の生垣の隅に伏せていて、僕はその横に行こうとして、頭が眩んだ。オーロの身体から薄荷の甘く爽やかな香りがする。それを嗅ぐと血の巡りが速い。それでも寄り添って伏せた。伏せると生垣からは僕の耳しか見えない。
『リオン、リオン、俺の番い。助けてくれ……っ』
『どこか痛いの?番いって?』
『獣の伴侶』
オーロは何度も僕の顎髭に耳を擦り付けて来て、薄荷の香りが強い。お腹の中が熱くてたまらない。
『俺、俺、発情してる。番いのお前なら分かるだろ。お前の中に出したい』
荒い息のオーロが辛そうに息を吐く。僕はオーロの顔を舐めた。リオンの僕はオーロのことが大好きで、オーロに寄り添い続けた。
『リオン、リオン。責任を取る。だから……』
『うん。オーロ、魔獣同士支え合おうよ』
オーロが僕の背中に前足をついて、背後についた。尻尾の付け根が温かい。理性的だったのはここまでだった。
下草に伏せている僕のお尻に熱いものが触れて、お尻の孔に熱い塊が入ってくる。
『う……んっ……』
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