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51 さよならキュロット
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陛下が……陛下が成人を迎えてしまわれた。あたしの一番のお気に入りのバルーンキュロットもさようならだ。今日から殿下は、いえ、陛下はズボンになってしまう。
「やっと憧れのズボンだ。テレサ、よろしく頼む」
キュロット姿の国王陛下って、なんだかときめいていたのに……人の成長は儚くも早いものね。
「これで俺もズボンだ。爺様達みたいなかっこいいのを頼む」
可愛らしい背格好のままの配偶者様まで、あっさりとあたしのキュロットを捨てていく。
「はああ……」
あたしは今、陛下のお部屋のクローゼットの中身を泣く泣く片付けている。姫殿下と殿下が手伝うという名目で、衣装を広げていた。
「テレサ、ぼくはきてあげる」
「そうだな、セネカはまだキュロットが似合うからな」
配偶者様、殿下……違うんです。違うんですーーーっ!あたしはーー陛下にーー!
成人する前からしっかりした長身であらせられた陛下の、まだ子供らしさを残してくれた愛すべきキュロット……。さよならキュロット、あたしの良き仕事。
ズボンになったとしても、上着やブラウスへのフリルやリボンは欠かしません。あたしは陛下がどのようなお年になられても、可愛らしいお姿が似合うようにきっちり衣装演出いたします。もちろん、皆さまにもです。
衣装をまとめてある部屋に、ターク様の御子息殿下が来られました。とても綺麗な方です。金髪に金の瞳は、陛下の配偶者様のお血筋を感じさせます。確かお小さいながら配偶者様の叔父上になるのだとか。あたし達寿命が平均二百年ですから、ありっていえばありで、聞いたこともありますが、目の前で実感するのは初めてですね。
「どうされましたか?」
「これ」
植物紙に見たことない服のデザインが描かれていて、あたしは驚いた。襟ラインが独特でこんな服は見たことがない。
「こ、こ、こちらは?」
「セーラー服とキュロット。番いにとおもって。作れるかな?」
セーラー服……と、キュロット!!
「可愛らしいデザインですね。作りたいです!あ、番いがいらっしゃるのですか?」
御子息殿下は小首を傾げて、
「うん、ずっと先に」
と答えられる。ガルド神の依代でもあるターク様の腹実ですし、獣性の強い御子息殿下のことだから、遠い未来を見据えての話かもしれないですね。
「少しお時間をくださいまし」
あたしの言葉に、にこりと笑った御子息殿下は人好きのする笑顔で、あたしは心の中にその可愛らしい笑顔を焼き付けました。
「やっと憧れのズボンだ。テレサ、よろしく頼む」
キュロット姿の国王陛下って、なんだかときめいていたのに……人の成長は儚くも早いものね。
「これで俺もズボンだ。爺様達みたいなかっこいいのを頼む」
可愛らしい背格好のままの配偶者様まで、あっさりとあたしのキュロットを捨てていく。
「はああ……」
あたしは今、陛下のお部屋のクローゼットの中身を泣く泣く片付けている。姫殿下と殿下が手伝うという名目で、衣装を広げていた。
「テレサ、ぼくはきてあげる」
「そうだな、セネカはまだキュロットが似合うからな」
配偶者様、殿下……違うんです。違うんですーーーっ!あたしはーー陛下にーー!
成人する前からしっかりした長身であらせられた陛下の、まだ子供らしさを残してくれた愛すべきキュロット……。さよならキュロット、あたしの良き仕事。
ズボンになったとしても、上着やブラウスへのフリルやリボンは欠かしません。あたしは陛下がどのようなお年になられても、可愛らしいお姿が似合うようにきっちり衣装演出いたします。もちろん、皆さまにもです。
衣装をまとめてある部屋に、ターク様の御子息殿下が来られました。とても綺麗な方です。金髪に金の瞳は、陛下の配偶者様のお血筋を感じさせます。確かお小さいながら配偶者様の叔父上になるのだとか。あたし達寿命が平均二百年ですから、ありっていえばありで、聞いたこともありますが、目の前で実感するのは初めてですね。
「どうされましたか?」
「これ」
植物紙に見たことない服のデザインが描かれていて、あたしは驚いた。襟ラインが独特でこんな服は見たことがない。
「こ、こ、こちらは?」
「セーラー服とキュロット。番いにとおもって。作れるかな?」
セーラー服……と、キュロット!!
「可愛らしいデザインですね。作りたいです!あ、番いがいらっしゃるのですか?」
御子息殿下は小首を傾げて、
「うん、ずっと先に」
と答えられる。ガルド神の依代でもあるターク様の腹実ですし、獣性の強い御子息殿下のことだから、遠い未来を見据えての話かもしれないですね。
「少しお時間をくださいまし」
あたしの言葉に、にこりと笑った御子息殿下は人好きのする笑顔で、あたしは心の中にその可愛らしい笑顔を焼き付けました。
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