五国王伝〜醜男は美神王に転生し愛でられる〜〈完結〉

クリム

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41 赤頭の言葉

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 点々と落ちる血を辿ると、やはりレティが言ったように白亜の巨大な浴場に差し掛かる。

 直樹が曲がった先でクロを捕まえようとして、

「待って、あれを!」

とシンラはレティに止められた。

 浴場の中央辺りで全裸の黒髪の少年は赤頭の男にうつ伏せに倒されており、足を開かれた尻には屹立が入り込み粘着質な音を響かせていた。

「や、やめて下さい」

「なんだ、おまえ。ティーの仲間か?」

 クロに乗る直樹が男の視線にびくりと肩を震わせた。

 野盗の頭のザトが明らかに面白がった風に、乱暴に尻を突き上げ、

「クロ、逃げて!ひっ……うあああ!」 

 ティーと呼ばれた黒髪の少年の肩口の傷に指を入れて、ザトが笑いながら血塗れの肉をわし掴む。

「こいつはなあ、俺たちの王様を逃がそうとしたんだ。聞けよ、森のガキ……んん?」

 距離が遠い。シンラは思う。弓を使うフルトリやハトリがいればと、シンラは歯軋りをした。

「お前……クロか?その捕まえやすそうな黒髪、へへへへっ、クロだろ?」

 急にザトの痩せた顔が破顔がする。嬉しくてたまらないといったように腰を打ち付け、ティーが床で苦しそうに呻いた。

「ひっ……あっーーーっ!」

 ザトがにやつきなから、手入れの行き届いた剣を手にするのが見えた。
 
「僕は……あなたを知りません!」

 子ども特有のやや甲高い直樹の声が響き渡る。

「いいや、お前はクロだ。俺にはわかるのさ。お前の匂い……柔らかくて微かな甘い肉の匂いだ。俺が拾って名前をつけて、いっぱい可愛がってやっただろう?」

「知りません!」

 直樹の悲痛な叫び声に、シンラは飛び出そうとするがレティに再度止められた。

 浴場の床に血の染みを作っている黒髪の少年は、うち捨てられたようにザトの足元に崩れてまだ犯されているのだ。ザトは犯しながら直樹に話し続けていた。

 直樹だけならまだしも、ティーを助けなければ、それにはティーからザトを引き離さなくてはならない。

「くそ……っ」

「ああ、お前は斬った後にはすぐに忘れちまう。何度も何度も斬って裂いて、千切っても治る。だが、忘れる。最後は一番愛した俺も忘れちまったよなあ。俺は腹が立ったんだぜ、全部忘れて怯えて逃げるからよう……」

 ザトの含み笑いが、シンラをさらに怒りへ向かわせた。

「お前ん中に無理矢理突き入れて、そのまま腹を裂いたんだったなあ。腸を引きずり出して俺の入ってる肉筒がびくびくして真っ赤になって、滅茶苦茶に突くたび脹れて可愛かったなあ……。あれが和合だ。俺の一番気持ちよかった和合だ。クーロー、あれをやろう!気持ちよかっただろーーーがぁーーー!!」

 シンラは血が滲み出すのが分かるほど歯を食い縛る。あの男は何を言っている?あの森で無理矢理の野合の時に、直樹の腹を裂いて腸を出した…?

「クロを迎えに行きたかったが、俺も瀕死でな。会いに来てくれたんだろ?なあ、クロ。また可愛がってやる。あんな気持ちいい交合はお前だけだ。魂の和合だ。お前は可愛かったなあ。泣いて、嫌がり、逃げまどい、暴れる。黄王は斬っても悲鳴しか上げないしなあ、つまらん、つまらん」

「い…嫌です。僕は森の伴侶で……シンラのものです」

「何年もお前と交合してきたザト様を捨てるのかあ。クロって可愛らしい名前をつけてやっただろう。森であちこちさ迷い、野合まみれで、泣きながら助けてって叫んで手を伸ばしたお前を助けてやっただろう?俺だよ、ザトだ。お前の身体のお陰で野盗の頭にもなれた。いつも俺の役に立ってくれた。なあ、また、可愛がってやるよ」

「知らない!あなたのことは分からないのです!」

 直樹の悲痛な声が震え、シンラは剣を握る手が震えた。

 あれは、あの幼き日のあれは!シンラは思い出す。あれは、直樹だったのではないか?

 『助けて』

 そう叫ぶように聞こえた自分よりも年上の黒髪の子供。

「じゃあ、こいつで思い出させてやるよ」

 ザトがティーの髪を掴んで、体位を替えた。胡座をかいて座るザトの足の中に、楔ががっちりと埋まる形で座らされたティーの腹を剣の刃でひたひたと触る。

 ティーの顔は殴られて無惨にも腫れ上がり、肩口の傷からは血が溢れ出し、浅い息を繰り返していた。

「腹をかっさばいて、腸を出してやるよ」 

 ティーの下腹をスッ…と薄刃が走り、ティーが歯を食い縛る。

「はっは…締め付けやがる!気持ちいいだろう。次は…もっと深く腹を斬って…」

「やめてください!僕が、僕がそちらに行きます!」

 しゃくりあげながら直樹が、クロから降りてザトの方へ歩き始める。

「そうだ、来い!クロ、お前の身体は二十年間、何千、何万の夜盗や森を彷徨う男に晒された。犯され、嬲られた。そんな汚いお前を赦し愛してやれるのは、俺だけだ!」

 もう限界だった。

 シンラはティーのことを忘れ、柱から飛び出した。 
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