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一章 ステンドグラスは幻に…
5:ゾンビ祭りの真相…?
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とりあえず、僕にとっての恐怖の存在であるアルヴィドを墓地の調査へ向かわせ…その間に、件のワーウルフの元へ行く事にしました。
彼の気配と首輪の力を辿り…人目につかない木の洞で、僕が渡した服を身に着けて丸くなり寝ている様子。
…やはり夜行性なので、日中は眠っているんでしょうが――正体を知らなかったら、昼間でも寝てるダメ人間にしか見えないでしょう。
そんな事よりも…です。
早々に、こいつに事情説明しておかないと勘違いストーカーな神官騎士が暴走する予感しかしません…
「…あ、リルハルト様」
僕の気配に気づいたらしい彼は目を覚ましてくれました…気持ち良く寝ているところを申し訳ない気分です。
どうしたのかと尋ねる彼に、僕は簡単に今の状況を説明しました。
…もちろん、あの神官騎士の存在も。
危険な状況でもあるので、手伝いは日中だけしてほしいと頼むと彼は小さく頷いてくれました。
あぁ…そういえば、このワーウルフの名は訊いてませんでしたね。
その事を尋ねてみると、彼は少し慌てたように頭を下げた。
「申し訳ありません、俺の名はダウィト=ロウです。あ…後、真名は――」
きちんと真名も教えてくれたので、ちゃんと褒めておきます…頭を撫でて。
とりあえず、今日はゆっくり休むよう命じて僕はダウィトのねぐらを後にしたんですが…どうも、あいつの気配がするんです。
あの神官騎士アルヴィドの気配が…――
墓地とは反対方向ですが、あいつは何を…あぁ、僕の動向の監視でしょうね。
大人しく墓地を調査していろよ…とは思います。
何故、あいつが僕に興味を持ったのか本気でわかりませんが…
***
ダウィトのねぐらからだいぶ離れた所にある大きな樫の根元に僕は腰をおろす事にしました。
…まだアルヴィドの気配を感じるので、付かず離れずの距離を保っているのでしょう。
ダウィトの所から引き離す事には成功ですが、一体何の用があるというのか…僕に。
大きなため息ひとつ出てしまったところで、頭上から笑い声が聞こえてきました。
「あはは、お前また変なのに目をつけられてんのな?好かれ過ぎだろー」
見上げると、そこには兄のエルハルトが太めの枝の上に立っているのがわかりました。
兄はおそらく気づいているのでしょう…アルヴィドがエンクヴィストの生まれ変わりなのを――
そういえば、あいつと一番剣を交えていたのが兄だったと思うのですが…友認定されてませんでしたね。
ちなみに、僕は剣を扱うより魔法を使う方が得意なんですよ。
――兄が前衛、僕が後衛で戦う感じになります。
「そう思うのでしたら、兄さん…何とかして下さい」
ダメ元で兄に助けを求めてみましたが、「無理無理」と断られてしまった。
…残念です。
そういえば、今日は何をしに来たのだろうか…兄は?
どう見ても一人のようですし…粉砕犯も連れてきていない。
「…兄さん、手ぶらで何をしに?」
目の前に降りてきた兄へ、思わず怒りを込めて訊いてみると…兄は肩をすくめて、また笑う。
「いや、本当はミンナを連れてこようとしたんだが『ゾンビは嫌だー』って逃げてしまってなー。あはははー」
ミンナというのは、序列8位の…やらかしたと言いながら、実際はステンドグラスを粉砕した凶悪犯です。
ちなみに、魔族のくせにゾンビが大の苦手なんだそうですが…よくそれで8位を保てるものだと感心しますよ。
…というか、よく序列2位の兄から逃げ遂せたものだ。
逃げ遂せた、というより兄が手をかなり抜いてあげたんでしょうねぇ。
弟である僕にも、そういう優しさをくれてもいいのでは…?
「そんな事よりも、面白い話があるんだが聞くか?」
「…今の、僕の状況より面白いなら聞いてもいいですよ」
話題を変えようとしてきた兄に笑顔で答えておきました。
僕の言動に、若干ひきつった笑みを兄は浮かべてますが…何か思うところでもあるんですかねぇ?
僕は別に怒ってませんよ、兄さん…
小さく息をついた兄は僕の隣に腰掛けると、辺りの様子をうかがいながら話しはじめました。
「…どうも、前回俺達に協力してた魔術師達があちこちに魔道具を仕掛けてるみたいでなー。俺達の気配というか魔力を感知すると作動するらしいんだ…で、あの廃協会近くの墓地にも置かれてるようだぞ」
「それが…ゾンビ祭りが開催された理由ですか。というか、そんな物を仕掛けたという話も報告もなかったと思うのですが?」
人を裏切った魔術師というのは、前回多かった…
理由はいつも通り、力を持たぬ人々に恐れられ虐げられたからというものに加え…情勢不安と疫病も流行っていたのも合俟ったようです。
そんな彼らは、僕達が倒された後に呪いのつもりで各地に魔道具を仕掛け…僕らが復活した時に作動するようにしていたようだ、と兄が教えてくれました。
まぁ、調べたのは"我が君"なのでしょう…さすがです。
…でも、何故それがわかったのでしょうか?
"我が君"も倒された後に仕掛けられたそうですが…?
疑問が僕の顔に出ていたのでしょう、兄が笑みを浮かべて教えてくれました。
「逃げ回るミンナを追ってたら、ゾンビがあちこち出現してなー…追うのをやめて、"我が君"に報告したんだわ」
その流れでいくと、ゾンビに遭遇して恐怖したミンナを回収した兄が"我が君"に報告…で、"我が君"がお調べになったという事でしょう。
あちこちゾンビが出現って…何ですか、そのちょっとした地獄風景は。
しかも、その原因は僕と同じく魔力が不安定な…序列2位と8位の魔力を糧に魔道具が動いてるんですから、本当に笑うしかない状況ですね。
あの魔導師ども、余計な事をしてくれましたね…僕が思わず笑い声をあげると、兄も笑いはじめました。
…よし、アルヴィドを兄に押しつけよう――
久しぶりに剣を交えればいいんじゃないですか、もっと楽しいと思いますよ。
彼の気配と首輪の力を辿り…人目につかない木の洞で、僕が渡した服を身に着けて丸くなり寝ている様子。
…やはり夜行性なので、日中は眠っているんでしょうが――正体を知らなかったら、昼間でも寝てるダメ人間にしか見えないでしょう。
そんな事よりも…です。
早々に、こいつに事情説明しておかないと勘違いストーカーな神官騎士が暴走する予感しかしません…
「…あ、リルハルト様」
僕の気配に気づいたらしい彼は目を覚ましてくれました…気持ち良く寝ているところを申し訳ない気分です。
どうしたのかと尋ねる彼に、僕は簡単に今の状況を説明しました。
…もちろん、あの神官騎士の存在も。
危険な状況でもあるので、手伝いは日中だけしてほしいと頼むと彼は小さく頷いてくれました。
あぁ…そういえば、このワーウルフの名は訊いてませんでしたね。
その事を尋ねてみると、彼は少し慌てたように頭を下げた。
「申し訳ありません、俺の名はダウィト=ロウです。あ…後、真名は――」
きちんと真名も教えてくれたので、ちゃんと褒めておきます…頭を撫でて。
とりあえず、今日はゆっくり休むよう命じて僕はダウィトのねぐらを後にしたんですが…どうも、あいつの気配がするんです。
あの神官騎士アルヴィドの気配が…――
墓地とは反対方向ですが、あいつは何を…あぁ、僕の動向の監視でしょうね。
大人しく墓地を調査していろよ…とは思います。
何故、あいつが僕に興味を持ったのか本気でわかりませんが…
***
ダウィトのねぐらからだいぶ離れた所にある大きな樫の根元に僕は腰をおろす事にしました。
…まだアルヴィドの気配を感じるので、付かず離れずの距離を保っているのでしょう。
ダウィトの所から引き離す事には成功ですが、一体何の用があるというのか…僕に。
大きなため息ひとつ出てしまったところで、頭上から笑い声が聞こえてきました。
「あはは、お前また変なのに目をつけられてんのな?好かれ過ぎだろー」
見上げると、そこには兄のエルハルトが太めの枝の上に立っているのがわかりました。
兄はおそらく気づいているのでしょう…アルヴィドがエンクヴィストの生まれ変わりなのを――
そういえば、あいつと一番剣を交えていたのが兄だったと思うのですが…友認定されてませんでしたね。
ちなみに、僕は剣を扱うより魔法を使う方が得意なんですよ。
――兄が前衛、僕が後衛で戦う感じになります。
「そう思うのでしたら、兄さん…何とかして下さい」
ダメ元で兄に助けを求めてみましたが、「無理無理」と断られてしまった。
…残念です。
そういえば、今日は何をしに来たのだろうか…兄は?
どう見ても一人のようですし…粉砕犯も連れてきていない。
「…兄さん、手ぶらで何をしに?」
目の前に降りてきた兄へ、思わず怒りを込めて訊いてみると…兄は肩をすくめて、また笑う。
「いや、本当はミンナを連れてこようとしたんだが『ゾンビは嫌だー』って逃げてしまってなー。あはははー」
ミンナというのは、序列8位の…やらかしたと言いながら、実際はステンドグラスを粉砕した凶悪犯です。
ちなみに、魔族のくせにゾンビが大の苦手なんだそうですが…よくそれで8位を保てるものだと感心しますよ。
…というか、よく序列2位の兄から逃げ遂せたものだ。
逃げ遂せた、というより兄が手をかなり抜いてあげたんでしょうねぇ。
弟である僕にも、そういう優しさをくれてもいいのでは…?
「そんな事よりも、面白い話があるんだが聞くか?」
「…今の、僕の状況より面白いなら聞いてもいいですよ」
話題を変えようとしてきた兄に笑顔で答えておきました。
僕の言動に、若干ひきつった笑みを兄は浮かべてますが…何か思うところでもあるんですかねぇ?
僕は別に怒ってませんよ、兄さん…
小さく息をついた兄は僕の隣に腰掛けると、辺りの様子をうかがいながら話しはじめました。
「…どうも、前回俺達に協力してた魔術師達があちこちに魔道具を仕掛けてるみたいでなー。俺達の気配というか魔力を感知すると作動するらしいんだ…で、あの廃協会近くの墓地にも置かれてるようだぞ」
「それが…ゾンビ祭りが開催された理由ですか。というか、そんな物を仕掛けたという話も報告もなかったと思うのですが?」
人を裏切った魔術師というのは、前回多かった…
理由はいつも通り、力を持たぬ人々に恐れられ虐げられたからというものに加え…情勢不安と疫病も流行っていたのも合俟ったようです。
そんな彼らは、僕達が倒された後に呪いのつもりで各地に魔道具を仕掛け…僕らが復活した時に作動するようにしていたようだ、と兄が教えてくれました。
まぁ、調べたのは"我が君"なのでしょう…さすがです。
…でも、何故それがわかったのでしょうか?
"我が君"も倒された後に仕掛けられたそうですが…?
疑問が僕の顔に出ていたのでしょう、兄が笑みを浮かべて教えてくれました。
「逃げ回るミンナを追ってたら、ゾンビがあちこち出現してなー…追うのをやめて、"我が君"に報告したんだわ」
その流れでいくと、ゾンビに遭遇して恐怖したミンナを回収した兄が"我が君"に報告…で、"我が君"がお調べになったという事でしょう。
あちこちゾンビが出現って…何ですか、そのちょっとした地獄風景は。
しかも、その原因は僕と同じく魔力が不安定な…序列2位と8位の魔力を糧に魔道具が動いてるんですから、本当に笑うしかない状況ですね。
あの魔導師ども、余計な事をしてくれましたね…僕が思わず笑い声をあげると、兄も笑いはじめました。
…よし、アルヴィドを兄に押しつけよう――
久しぶりに剣を交えればいいんじゃないですか、もっと楽しいと思いますよ。
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