追憶のステンドグラス

雪原るい

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一章 ステンドグラスは幻に…

閑話3:今更ながらの…(アルヴィド視点)

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――その昔、世界が崩壊せぬように…と創世の神が自身の半身に魔王としての役目を与えて送り込んだ。
魔王は魔族をまとめ上げ、世界に恐怖を与える存在となる…

そして、それと同時期に神は救世主となり得る者達の魂を4つ作りだした――その魂は、役目というものに縛られ…何度転生しても同じ役目を背負う運命だという。

これが、この世界で行われている"光と闇の戦いゲーム"のはじまりといわれている…

自分の役目――騎士、というものに縛られているという実感はない。
というのも、転生したら前世という記憶や経験など全てが失われるからだ。
…だが、役目を持つ者だとわかる"印"があるので運命から逃れようがないわけである。

魔族――主に、魔王やそれに近しい上位魔族達も本当の意味での死はないに等しいだろう。
勇者達は転生するのに対して、彼らは永い時をかけて身体を再生させているのだから…

こうして考えてみると、ある意味世界の為の生贄のようにも感じる。
――果たして、神以外の誰が気づいているのだろうか…?


***


一番初めの"光と闇の戦いゲーム"と2回目以降の"光と闇の戦いゲーム"には、些細な違いがある。
初代の時代…魔王配下である上位魔族の序列は8位までしかなかったのだ。
――そう、エルハルトとリルハルトの双子は存在していなかった。

初めの"光と闇の戦いゲーム"の際に、魔王の右腕を勇者が…左腕を騎士が斬り落とした――それが、双子誕生の起因だという…

両腕を斬り落とされた魔王だが、斬り落とされた両腕それはそのままに…両腕を再生、というか生やしたそうだ。
…そう、ノリス司祭に教わったので知っているだけだ。
しかし、失われても戻るとは魔族すごいな。

あぁ、双子の話に戻すが…エルハルトとリルハルトの双子は、2回目の"光と闇の戦いゲーム"前に魔王と配下である上位魔族達の前に姿を現したらしい。
それまでの間、何処にいたのか…は、ノリス司祭が言葉を濁したのでわからない。

魔王は双子の出生の秘密を知っていたので、双子と配下に序列争いを命じたそうだ。
その結果…エルハルトが序列2位を、リルハルトが序列3位となり――配下達は2つ序列を下げる事となった。

2回目から現在に至るまで、この序列は変わっていないのだが…稀に、成り上がろうとする者もいるらしいが失敗しているようだ。
役目を持つ者と持たぬ者では、やはり実力に差がでてしまうのだろう…と考える。

1度も序列が変わっていないのが序列1位の者で、"光と闇の戦いゲーム"終了時に魔族を束ねる役目を担うのだそうだ。
――魔王のひと声で、双子との序列争いに参加できなかった…という話をノリス司祭が教えてくれた。

この"光と闇の戦いゲーム"は、数百年毎に行われているのだが…何故か、開始前には世界が乱れている。
調べてみると、全ての戦いゲーム前には情勢不安や疫病などで乱れまくっていたのだ。

それらの状況を放置していては、やがて人々は争いはじめるだろう…
世界が壊れてしまう可能性だってあるだろうな。

だから、神はそれを防ぐ為に"光と闇の戦いゲーム"をはじめるしかなかったのかもしれない。

俺は初代の時代からあった全ての事を日記に残しているのだが、全てを読み返したのは今の名――アルヴィド・エト・ラウドゥになってだった。
それまでは、日記によるとだが…一代前のものしか読み返す時間がなかったらしく、そういった神話や歴史についてを熟読できなかったようだ。
今回、何故それらを思い返そうかと考えたのは…前世であるエンクヴィストの記憶を引き継いでしまったのがきっかけだった。

多分、人格の方もエンクヴィストのままなのだろう…リルとエルの反応だと。
今までは、記憶や人格など引き継ぐなんて起こらなかったというのに…何が起こっているのか?

勇者の役目を持つ幼馴染み――あいつも前世を引き継いでるのだが…異例な事態に、共に首をかしげたものだが答えはでなかった。
ただ、共通の認識で「転生が、今回早過ぎるのではないか」というのはある。

世界は乱れたり、歪んでいたりせず平穏だしな…
もしかすると、このまま戦いゲームが開始されずに済むかもしれない。

もしそうならば、リルと良い友人関係を築く事も…あぁ、エルともついでに友人となってもいいが。
同じように、役目に縛られた上級魔族の彼らの事を知る良い機会であるようにも思えた。



――あの日、我が国リグナイエの南西部にある廃教会で急に闇の気配が濃くなった事で調査命令がだされた。
だが、到着してみると気配はしなくなっていた…というか、周囲に大量の砂と朽ちた衣服が落ちているだけ。
意味はわからなかったが、部下達を周囲に配置して廃教会内を探る事にした…んだが、誰かがでてきたので驚いた。

その人物は、白銀の髪に青紫色の瞳をした聖職者の青年で…俺は驚きつつも歓喜に震えてしまったが。
思わず、リルの姿を確認するように見てしまったが…不審がられていないだろうか?
…そこを心配したが、深く気にしてる様子がなく安心した。

謝罪しつつ、「巡礼者か?」と訊ねてみると「そのようなものだ」という答えが返ってきてな…らしいな、と思えた。

そういえば、エルは近くにいないようだな…と気にはなったんだが、半日もしない内に現れたので思わず舌打ちしてしまったのはここだけの話だ。
部下達を帰した俺は、リルのアドバイスで近場にあるという墓場を調査する事にした…んだが、ひとりになるリルの事が心配だった。
だから、森へ向かうリルを尾行する事にしたんだが――数分位、見失ってしまい少し焦ったがすぐに見つける事ができた。
…そこで、エルがでてきたんだ。
何を話していたのかまでは聞こえなかったが、2人は仲良さげに教会へ戻っていたのを見送るのに留める。

俺は気づかれぬように、タイミングをずらしたのだが…何か間違えたのか、2人は呆れた表情を浮かべていたな。
いや、前にノリス司祭からステンドグラスのスケッチが中央にあると聞いていただけなのだが…

エルが不満そうに文句を言ってきたが知らん…
だが、気づけばエルと睨み合う事態になってしまったのは解せない。
そうこうしている内に、リルが骨を見つけた。

一体何が、この教会であったのか…?
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