追憶のステンドグラス

雪原るい

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一章 ステンドグラスは幻に…

閑話4:気づいたらピンチ…!?(アルマン視点)

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やっほー!ぼくはアルマン・リカネン…そして、ぼくの頭に乗ってるのがスライムの"スー君"だよ。
他にもスライムはいるんだけど…今はぼくの中で休憩中なんだ。

え、どういう事か?って――そりゃ、ぼくが人の姿で生まれたスライムだからだよ?
他に意味はないよ…でも、そこんところの説明って正直メンドーだから「テイマー」って事で通してるんだ。
魔族以外なら、それで納得してくれるからさ!
あ、こう見えてぼく…序列5位の実力ある魔族だからね!


――現実逃避を、こうしてしてみたけど…何とかなるわけじゃないな~
はぁ、こんな事なら外に出てればよかった…って思っちゃう――あ、待って…"我が君"、斬り刻もうとしないでください!!


ぼくが何でこんな状況になっているのか話す説明すると…

実は、自室でお昼寝してたら白金髪の吸血鬼ヴラチスラフがにっこり笑いながら来てさ~

「あぁ、丁度目覚めてくれましたか…では、後はよろしくお願いします」

寝ぼけてるぼくに説明らしい説明も無しに、移送魔法で玉座の間に送られたんだよ…
さすがに、目の前に武器を選んでる"我が君"の姿があったら気づくよね――何がよろしくなのかさ。
というか、うちの宰相酷くないっ!?

そうそう、前なんてさ…エルハルトに首刎ねられたんだ。
本人曰く、ほんのイタズラのつもりだったみたいだけど…知ってるんだよ、ぼく――本当の理由を。
ぼくがリルハルトに挑んだ数日後だったからね…さすがに気づくって。

しかも、再生したばかりなのにヴラチスラフに私刑リンチされるし――本当に最悪だった。

リルハルトに挑んだ理由わけ…?
そりゃ、あわよくば序列3位になりたかったからだよ…ヴラチスラフより上に立てるし、昔からの野心でもあったしさ。

でも、結果は惨敗…子飼いのスライムも大量に滅されちゃったのは痛かった。
実力の差を思い知らされたわけだよ…もう、やろうと思えなくなるレベルで。

はぁ…エルハルトとリルハルトの2人が現れるまで、ぼくが序列3位だったんだけどな~

うん、もう序列は5位で全然大丈夫です…だから、死神の鎌デス・サイズを振り回さないでー!!
三等分にしたいとか、やーめーてー!!


***


さ、三等分にされたけど…何とか、分身ともいえるスライムをだして"我が君"の興味を逸らす事に成功したからぼくはちょっと休憩――あ、もちろん回復の為だよ。
分身スライムの核はぼくの中にあるから滅されても問題ないし…いや、ダメージはこっちにくるから問題ありかな?

"我が君"は今、スライムの上を転がったり…ジャンプしてみたり…と忙しそうにされているよ。
楽しそうで何よりだけど…それに飽きたら、また攻撃してきそうだな~

そういえば…ヴラチスラフの奴、何でぼくを玉座の間に転送してきたんだろう?
もしかして、ミンナがやらかしたってやつ…バレたのかな――ぼくが報告を握り潰した事を。
ミンナの奴には、ぼくが報告しとく~と言って黙らせておいたけど…あの様子じゃ、自分で言ったな。
で、ぼくの事も喋ったってところかな…うーん、まさか覚えていたとはね。

馬鹿力メイドの記憶力を侮っていたよ…失敗失敗。

でも、ミンナが勢いよくモップを振り上げてステンドグラスを割ったのは…本当、面白かったな~
思わず二度見しちゃったし…しばらく動けなくなったんだよね、笑い過ぎて。

――そうそう、思いだし笑いしたくて…あの教会へ行ってみたんだけど、すっかり廃れていたよ。
まぁ、ぼくが行ったのはリルハルトが"我が君"に命じられて行く10年位前だったんだよね。

何も無い教会をスライム達と見て回っていたら、人間の気配複数と下級魔族の気配を感じたんだ…
場所は、確か礼拝堂だったかな~?
ちょっとそこはおぼろげにしか覚えてないんだけど――そこで、ぼく見ちゃったんだよね…ゴミの不法投棄してるところをね。


あの下級魔族って、多分だけど淫魔だったんじゃないかな~?
んで、人間達を魅了して操ってたんだろうね…あんな変な格好の淫魔の何がいいんだろう?
わかんないけど。


連中がいなくなってからゴミを確認すると、人間の亡骸だった…
隠すっていうより、メンドーだから放置したという感じだろうけども。

この亡骸――そこそこ良いところの、いわゆる「お坊ちゃん」という格好だったけど…その死に顔は不思議そうな表情だった。
顔色も悪いようだったから、もしかしたら患っていたのかもしれない…

だけど、スライムにはそんなの問題ないから美味しくいただいたよ。
骨だけはカワイソーだから残しておいたけど、今頃リルハルトの奴驚いてるだろうね~

ステンドグラス無いわ…骨出てくるわ…で、任務どころじゃなくて困ってるかな?
困ればいいんだ、ザマーミロー!

…そういえば、エルハルトの奴の姿が見えないな~
もしかして、リルハルトのところに行ったのかな…んで、一緒に困った事態になってればいいんだけど――


***


はぁ…そろそろ"我が君"がスライムで遊ぶのを飽きる頃だね。
というか…ちょっと目を離した隙に、だしていた分身たるスライムが減ってる気がするんだけど――ぼくの気のせい?
あ、気のせいじゃないや…"我が君"がスライムを千切ってはかじってるよ。

「あ、あのですね…"我が君"、美味しそうな色合いをしてるけどスライムなんで――その、食べないでほしい…かな?」

ぼくがこう言うと、無表情なまま"我が君"はこっちを見て…何故か、手に持っていたスライムの身部分を投げ捨てた。
投げ捨てられたスライムの身部分が、玉座の後ろに置かれた棺に当たってはじけた…んだけど、大丈夫かな?

え、いや…スライムじゃなくて、棺の中身の話――あの位の衝撃じゃ、中身は起きないと思うけど…

あの棺の中には、ヴラチスラフと同格の力を持つ序列1位がいるんだよね~
…ぼくにとっては、最も苦手な――ううん、相性が悪過ぎる奴なんだ…
もし今起きたら、"光と闇の戦いゲーム"がはじまる前にぼくは退場状態になっちゃうって!

ま、まぁ…ヴラチスラフが念入りに確認してるだろうから起きないだろうけども。

はっ…余所事を考えていたら、"我が君"がまた死神の鎌デス・サイズを振り回してるよ~ぅ。

ぇ…何でぼくを斬り刻む事に重きを置いてしまったんですか、"我が君"!
どうせ斬っても、すぐ繋がるだろって…そりゃ、一応スライムですから核さえ無事ならすぐくっつきますけど――
核やられちゃうと、復活まで数百年単位でかかりますよ…まぁ、役目持ちの上位魔族のぼく限定だけど。

ぼくの言葉に、"我が君"が死神の鎌デス・サイズを構えたまま口を開いた。

「安心せよ、核はやらん…身がくっつくところが見たいのだ」

え゛っ…ちょっ、待って!
"我が君"、本当にちょっと待ってよ…暇だからって、魔王のする遊びがこれでいいのっ!?

わーん!誰かー…序列1位以外の誰かー、ぼくの代わりをやってー!
身が持たないってー!!
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