17 / 39
番外 てがみの裏側
『奈智からしっかり離れた?』
「ああ」
堀は振り返って、奈智を見つめた。
そこで待っていろと、無言で牽制する。
ベッド上で不思議そうに小首を傾げる奈智の首元は色っぽく肌蹴ている。たぶん、本人はとんと気付いてはいない。
『まぁー、奈智に言ったのは序のくちー。よーやくするとー、奈智のこと食べたい。けっこー露骨な表現あるね。閉じ込めて、自分のモノにしたい。自分だけのモノにしたい。綺麗なままにして飾っておくってのが、詩みたいになってるー。あとはー見たくも無いけど、変な液体の付いた明らかに盗撮なアングルの奈智の写真と、堀ちゃん先輩と、カワちゃんと、多聴兄ぃの会社のしゃちょーさんと、誰か解んないけど多分奈智のガッコの生徒の顔写真がマジックで黒く塗りつぶされた後、ガビョーとかクギみたいので刺した跡があるー』
「……中々あからさまだな」
『ただ、プライベートの写真だけじゃなくって、学校での盗撮けっこーあるんだよねー。半分くらいー? ……堀ちゃん先輩がどー動くかはしらないけどー、奈智の周りちょっとちゅーいしてあげてー。それだけー』
「何も言ってなかったな」
『奈智本人がー? あの子、自分への好意には鈍いし、なんらかの接触があったとしても人にゆーと思うー?』
「無いな」
『っでっしょー? 自分で解決しよーとするよー。このレベルはちょっとムリそーだけどー』
「……過保護な理由がコレか」
『理に適ってるでしょー?』
「ああ」
たぶん、自分だったとしても心配する。
だが──。
「小さい人間だな」
『ストーカーが? いまさらじゃなーい?』
男だろうが、女だろうが。
「あいつは伸び伸びしてるほうが、『らしい』」
囲いの中ではその色を失う。
『本人にゆってあげればー? オレが言いたかったのは、さっきゆったのだけー』
奈智に早めに帰っといでーって言っといてー。
そう託を残して、名ばかりの後輩は電話を切った。
さて、どうしたものか。
堀が思うに今朝急遽、奈智の長兄が本人の了承なしにピアッシングをして取り付けたのは、そこから来たものだろう。あれは、タダのピアスではない。
足立多聴という人物は堀が在学中の頃から、様々な噂が飛び交っていた。それこそ素から玄まで。
その兄を持っている割には、中々に一般的な弟達だと思っていたが、甘かった。
とんでもない、魔性。
本人が気付いていないだけである。まぁ、自分もその魅力に掛かった一人であろうが。
それに、本人の性格も関係しているだろう。
奈智は基本的に誰にでもやさしい。性格も良いので人に好かれやすい。
物事に対しても、それほど嫌だとは言わず、解決策を模索する。押しに弱い。
自分の意思はあるが、それも照れているとして受け取られかねない。己を正当化しようとする輩には、良いように映ってしまう。そして、本人全く気にしていない、あの容姿。ほどほどに整っているが、芸能人ほど飛び抜けてではなく、一般人の中では綺麗な方。手の届く範囲かもしれない、高嶺の花。それがより一層、被ストーキング対象となるのを助長しているのであろう。
堀はベッドで不安気にしている奈智の元へとゆっくり足を運んだ。
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科
空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する
高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体
それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった
至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する
意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク”
消える教師
山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー
魔性の男
makase
BL
俺はとにかくモテる。学生の頃から、社会人になった今でも、異性問わずにモテてしまう。
最近、さえない同性の先輩に好意を持たれている。いつものことだろう。いい人だから、傷つけたくはないな。
そう、思っていた。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
大嫌いなこの世界で
十時(如月皐)
BL
嫌いなもの。豪華な調度品、山のような美食、惜しげなく晒される媚態……そして、縋り甘えるしかできない弱さ。
豊かな国、ディーディアの王宮で働く凪は笑顔を見せることのない冷たい男だと言われていた。
昔は豊かな暮らしをしていて、傅かれる立場から傅く立場になったのが不満なのだろう、とか、
母親が王の寵妃となり、生まれた娘は王女として暮らしているのに、自分は使用人であるのが我慢ならないのだろうと人々は噂する。
そんな中、凪はひとつの事件に巻き込まれて……。
私が制作した著作物、また、私が依頼し描いていただいたイラスト含め、全ての文章・画像はAI学習、無断転載、無断使用を禁止します。
2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~
青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」
その言葉を言われたのが社会人2年目の春。
あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。
だが、今はー
「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」
「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」
冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。
貴方の視界に、俺は映らないー。
2人の記念日もずっと1人で祝っている。
あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。
そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。
あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー
※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。