41 / 200
一年目
41:春雷
しおりを挟む
穏やかな陽光が空から覗く。その光に刺され、目を開いた。
「…………」
春来の儀の後、神と直接相見えたとしてとても穢れてしまった宮廷魔術師達は状態を問わず、物のように身体の至る所をも清めさせられた。
清められるこの瞬間ばかりは、気を失った方が良かったと後悔するような扱いをされるが、抵抗する気力すら残されていない。
そして清められ、本物の高僧の手によって清められた部屋へ全員が投げ込まれた後が現状である。
清潔さと潔癖さを全面に押し出したかのように真っ白な壁や床に、金属の管で作られた簡易的な寝台とその枕元に簡易的な小さな台とが並んだだけの部屋。
清められた者達は、生成りの簡素な植物繊維の衣服を着せられている。普段着と異なり、肌触りが悪い。
「……(陽光が、痛い……)」
フォラクスは目を細め、今回も無事に儀式を終えた事を悟った。
この国では年に一度『春の神』のみが召喚されるので、幾分かはましである。国によっては、年に様々な神を数度呼んでいる所もあるからだ。
「……(矢張り、春の神は)」
本来ならば接触してはいけないはずの、強い穢れではないのか。あんな悍ましいものが神とは到底、信じがたい。
「(……だが、恵みと実りを与えるのは確か、か)」
神が居た場所に残された宝珠を思い出す。あの宝珠が祀られている間は春と夏と秋が有る。
宝珠は飴玉のように、段々と小さくなり秋が終わる頃にやがて消える。
「(…………消えなければ、)」
何度も、あんな悍ましい神など呼び出さなくとも済むだろうに。いや、逆に日照りに苦しむようになるかも知れない。
「(其れは其れで愉快ですが)」
その時は、一体何の神を呼ぶのか。
神の姿は、フォラクスが初めて春来の儀に捧げられた一度目にだけ、うっかり直視してしまった。
しかし、ただの宮廷魔術師には見えていないらしい。誰も、姿の話をしないからだ。
だが、自身と同じような身元の者は、そもそも宮廷魔術師などになるわけもないので、姿の有無の確認が出来ない。
姿を見てしまった際に、穢れに耐え切れず目玉が焼き切れた、ような気がしていたのだが、こうして目があるので治療されたのだろう。
「(……然し、)」
目を閉じ重い腕を動かして、そっと目蓋越しに自身の目に触れた。
「(此の様な、目に成るとは、)」
目蓋越しでも自身の手が良く見える。
それだけでなく、目に魔力を流し込めば式神を使わなくともある程度の遠方が見え、思考を読み、睨んだ対象を硬直させる事が出来る。
フォラクスは生まれのお陰か、元より魔眼を持っていた。それは精霊の類いと魔力が観測出来る程度のものだったが、神を直視して以来、邪眼のような力を目に宿していた。
「(……だが、邪眼では無い)」
書物によると、本物は光るような目をしているのだと。フォラクスの目の奥のように、魔獣のように濁った赤い色をしていないという。
だが、この目はどの仕事でも役立っているのでフォラクスに不満はない。顔から腕を下ろし、楽な姿勢をとる。
×
ふと、部屋の出入り口付近に人影があることに気付く。目を閉じたまま、そちらに視線だけを向ける。
「……あのぉ、大丈夫ですか?」
胡桃色の頭髪の……転入生の女学生の姿があった。恐らく、聖女修行の名目で儀式の場にその身を置かせていたのだろう。側には器の置かれた車付きの台があるようだ。
「……どなたか、起きていませんかぁ?」
恐る恐ると言った様子で、死んだように眠る宮廷魔術師達に声をかけている。
「え、と……お食事、ここに置いておきますね」
食事を届けに来たらしい。まだ一応食事と呼べる流動食を入れた容器を、車付きの台から眠る者達の側の台に置き、そっと部屋から離れて行った。
気配が無くなった事を確認してからゆっくりと起き上がり、器を手に取る。
「(……漸く、真面な食事が摂れる)」
乾燥した口を器に付け、流動食を流し込む。しかし、フォラクスには野菜のにおいと滑らかな舌触りしか感じなかった。味覚が少し麻痺しているらしい。
呑み込んだそれがひりつく喉を、ゆっくりと潤す。春来の儀が始まる頃には養分を溶かし込んだ水しか体内に入れていなかったからか、酷く胃に沁みた。
×
その翌日、聖女候補と教会から派遣された者達が動けず横たわる宮廷魔術師達の部屋に現れた。宮廷魔術師達を介抱するためだ。
「私は6度目で既に慣れておりますので、他の方々へ施して頂ければと」
と、フォラクスは、聖女候補が渡そうとした水をやんわりと押し返す。
周囲では教会から派遣された者達が他の宮廷魔術師達の状態を採血や検査等を行い確認していた。
宮廷魔術師にさせられた時から今まで、春来の儀は結界内で過ごしてきた。恐らくは適齢期が過ぎる頃、あるいは使い潰れるまで、フォラクスは儀式に捧げられるだろう。
ほとんどの魔術師達は4、5回捧げられた後は気が触れるか死ぬので、3回までに留められているのだが。
「……でも。一番、魔力が吸われていませんでしたか?」
聖女候補が差し出した水の正体は、魔力を回復させる特殊な水である。
どうやら、この聖女候補は魔力を観測出来る程度の目を持っているらしい。精霊等はまだ見えていないだろうが、恐らく聖女になる頃には見えるようになるのだろう。
そして、聖女候補が修行の末に聖女になるのは成人した時だった筈だと、フォラクスふと思い出した。
「其の様に見えましたか」
その言葉を聞き流しながら、アザレアが成人する頃には相性結婚の制度は撤廃されているのだろうかと思考をしていた。
「お気遣いなく。私は慣れておりますので、他の方々へ先に施されて下さい」
特に、魔力の不足により魂を削られた者に優先して渡して欲しいと伝える。対処が遅ければ、失われた分の魂を魔力で補填出来なくなるのだ。
「私以外の、特に重症な方にその水を飲ませてください」
「……分かりました」
やや訝しげな表情をしながらも聖女候補は水を下げ、教会の者と同様に、ようやく起き上がれるようになった者達の介抱に向かった。
フォラクスは既に、外へ出歩ける程に回復している。この回復力の高さは恐らく自身に古い貴族の血が流れているからなのだろうと、見当を付けている。
そして、宮廷魔術師達がある程度回復するであろう4日後に、城内で全ての貴族を対象にした春を祝う祝賀会が行われるのを思い出し、心底嫌になった。
「…………」
春来の儀の後、神と直接相見えたとしてとても穢れてしまった宮廷魔術師達は状態を問わず、物のように身体の至る所をも清めさせられた。
清められるこの瞬間ばかりは、気を失った方が良かったと後悔するような扱いをされるが、抵抗する気力すら残されていない。
そして清められ、本物の高僧の手によって清められた部屋へ全員が投げ込まれた後が現状である。
清潔さと潔癖さを全面に押し出したかのように真っ白な壁や床に、金属の管で作られた簡易的な寝台とその枕元に簡易的な小さな台とが並んだだけの部屋。
清められた者達は、生成りの簡素な植物繊維の衣服を着せられている。普段着と異なり、肌触りが悪い。
「……(陽光が、痛い……)」
フォラクスは目を細め、今回も無事に儀式を終えた事を悟った。
この国では年に一度『春の神』のみが召喚されるので、幾分かはましである。国によっては、年に様々な神を数度呼んでいる所もあるからだ。
「……(矢張り、春の神は)」
本来ならば接触してはいけないはずの、強い穢れではないのか。あんな悍ましいものが神とは到底、信じがたい。
「(……だが、恵みと実りを与えるのは確か、か)」
神が居た場所に残された宝珠を思い出す。あの宝珠が祀られている間は春と夏と秋が有る。
宝珠は飴玉のように、段々と小さくなり秋が終わる頃にやがて消える。
「(…………消えなければ、)」
何度も、あんな悍ましい神など呼び出さなくとも済むだろうに。いや、逆に日照りに苦しむようになるかも知れない。
「(其れは其れで愉快ですが)」
その時は、一体何の神を呼ぶのか。
神の姿は、フォラクスが初めて春来の儀に捧げられた一度目にだけ、うっかり直視してしまった。
しかし、ただの宮廷魔術師には見えていないらしい。誰も、姿の話をしないからだ。
だが、自身と同じような身元の者は、そもそも宮廷魔術師などになるわけもないので、姿の有無の確認が出来ない。
姿を見てしまった際に、穢れに耐え切れず目玉が焼き切れた、ような気がしていたのだが、こうして目があるので治療されたのだろう。
「(……然し、)」
目を閉じ重い腕を動かして、そっと目蓋越しに自身の目に触れた。
「(此の様な、目に成るとは、)」
目蓋越しでも自身の手が良く見える。
それだけでなく、目に魔力を流し込めば式神を使わなくともある程度の遠方が見え、思考を読み、睨んだ対象を硬直させる事が出来る。
フォラクスは生まれのお陰か、元より魔眼を持っていた。それは精霊の類いと魔力が観測出来る程度のものだったが、神を直視して以来、邪眼のような力を目に宿していた。
「(……だが、邪眼では無い)」
書物によると、本物は光るような目をしているのだと。フォラクスの目の奥のように、魔獣のように濁った赤い色をしていないという。
だが、この目はどの仕事でも役立っているのでフォラクスに不満はない。顔から腕を下ろし、楽な姿勢をとる。
×
ふと、部屋の出入り口付近に人影があることに気付く。目を閉じたまま、そちらに視線だけを向ける。
「……あのぉ、大丈夫ですか?」
胡桃色の頭髪の……転入生の女学生の姿があった。恐らく、聖女修行の名目で儀式の場にその身を置かせていたのだろう。側には器の置かれた車付きの台があるようだ。
「……どなたか、起きていませんかぁ?」
恐る恐ると言った様子で、死んだように眠る宮廷魔術師達に声をかけている。
「え、と……お食事、ここに置いておきますね」
食事を届けに来たらしい。まだ一応食事と呼べる流動食を入れた容器を、車付きの台から眠る者達の側の台に置き、そっと部屋から離れて行った。
気配が無くなった事を確認してからゆっくりと起き上がり、器を手に取る。
「(……漸く、真面な食事が摂れる)」
乾燥した口を器に付け、流動食を流し込む。しかし、フォラクスには野菜のにおいと滑らかな舌触りしか感じなかった。味覚が少し麻痺しているらしい。
呑み込んだそれがひりつく喉を、ゆっくりと潤す。春来の儀が始まる頃には養分を溶かし込んだ水しか体内に入れていなかったからか、酷く胃に沁みた。
×
その翌日、聖女候補と教会から派遣された者達が動けず横たわる宮廷魔術師達の部屋に現れた。宮廷魔術師達を介抱するためだ。
「私は6度目で既に慣れておりますので、他の方々へ施して頂ければと」
と、フォラクスは、聖女候補が渡そうとした水をやんわりと押し返す。
周囲では教会から派遣された者達が他の宮廷魔術師達の状態を採血や検査等を行い確認していた。
宮廷魔術師にさせられた時から今まで、春来の儀は結界内で過ごしてきた。恐らくは適齢期が過ぎる頃、あるいは使い潰れるまで、フォラクスは儀式に捧げられるだろう。
ほとんどの魔術師達は4、5回捧げられた後は気が触れるか死ぬので、3回までに留められているのだが。
「……でも。一番、魔力が吸われていませんでしたか?」
聖女候補が差し出した水の正体は、魔力を回復させる特殊な水である。
どうやら、この聖女候補は魔力を観測出来る程度の目を持っているらしい。精霊等はまだ見えていないだろうが、恐らく聖女になる頃には見えるようになるのだろう。
そして、聖女候補が修行の末に聖女になるのは成人した時だった筈だと、フォラクスふと思い出した。
「其の様に見えましたか」
その言葉を聞き流しながら、アザレアが成人する頃には相性結婚の制度は撤廃されているのだろうかと思考をしていた。
「お気遣いなく。私は慣れておりますので、他の方々へ先に施されて下さい」
特に、魔力の不足により魂を削られた者に優先して渡して欲しいと伝える。対処が遅ければ、失われた分の魂を魔力で補填出来なくなるのだ。
「私以外の、特に重症な方にその水を飲ませてください」
「……分かりました」
やや訝しげな表情をしながらも聖女候補は水を下げ、教会の者と同様に、ようやく起き上がれるようになった者達の介抱に向かった。
フォラクスは既に、外へ出歩ける程に回復している。この回復力の高さは恐らく自身に古い貴族の血が流れているからなのだろうと、見当を付けている。
そして、宮廷魔術師達がある程度回復するであろう4日後に、城内で全ての貴族を対象にした春を祝う祝賀会が行われるのを思い出し、心底嫌になった。
0
あなたにおすすめの小説
転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。
琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。
ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!!
スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。
ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!?
氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。
このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
白い結婚のはずが、旦那様の溺愛が止まりません!――冷徹領主と政略令嬢の甘すぎる夫婦生活
しおしお
恋愛
政略結婚の末、侯爵家から「価値がない」と切り捨てられた令嬢リオラ。
新しい夫となったのは、噂で“冷徹”と囁かれる辺境領主ラディス。
二人は互いの自由のため――**干渉しない“白い結婚”**を結ぶことに。
ところが。
◆市場に行けばついてくる
◆荷物は全部持ちたがる
◆雨の日は仕事を早退して帰ってくる
◆ちょっと笑うだけで顔が真っ赤になる
……どう見ても、干渉しまくり。
「旦那様、これは白い結婚のはずでは……?」
「……君のことを、放っておけない」
距離はゆっくり縮まり、
優しすぎる態度にリオラの心も揺れ始める。
そんな時、彼女を利用しようと実家が再び手を伸ばす。
“冷徹”と呼ばれた旦那様の怒りが静かに燃え――
「二度と妻を侮辱するな」
守られ、支え合い、やがて惹かれ合う二人の想いは、
いつしか“形だけの夫婦”を超えていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる