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三年目
106:相性の確かめ方。
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とある休日、普段のようにアザレアはフォラクスの元に来ていた。
「……ねぇ」
お茶の入った器で顔を少し隠しながら、アザレアは遠慮がちにフォラクスを見上げる。
「何で御座いましょうか」
彼は普段通りの様子で本を読んでいた。その本の表紙の文字によれば、魔術の構築の書籍のようだ。
フォラクスは本から視線をアザレアに向ける。
「『相性が良い』って、どんな感じなのかな、」
少し頬を染め、アザレアはフォラクスから視線を逸らした。
「……興味がお有りか」
「…………だって。なんていうか、法律に影響を与えるくらいなんだもん」
「ふむ。『何れ程良いものか気になる』……と」
「……ん」
アザレアが小さく頷いたのを確認し、フォラクスは本を閉じた。
「……仕方ありませんね。少しだけ、なら大丈夫でしょう」
「え? な、何するの」
傍に本を置いたフォラクスの様子に、アザレアは固まる。
「手袋を、何方でも良いので片方外して下さらぬか」
うっそりと目を細め、フォラクスは片手を差し出す。
「えっ?! そんな……恥ずかしい、よ」
「貴女が訊いた事でしょう」
たじろぐアザレアを見つめ、フォラクスは呆れた様子で溜息を吐いた。
「そ、そうだけど手袋外すの関係ある?」
「えぇ。掌には魔力の放出器官が有りますでしょう」
「……あ。……まさか、」
フォラクスが言わんとする内容に気付き、アザレアは頬を赤く染める。
「器官同士を触れさせる事が、最も簡単に相性の良さを感じられるのです」
「な、なるほど。……理屈は分かったけど、ほかに方法ないの?」
アザレアは、口頭で『相性』について説明してくれると思っていた。だが、フォラクスはそれ以外の方法で教えようとしているらしい。
「此れが互いに被害を最小限に済ませる方法で御座いますよ」
「被害?」
「婚前交渉等、未だ、したくはありませんでしょう」
「っ?! もしかして、その2択?」
手袋を外して放出器官を直接合わせるか、粘膜接触で体液に混ざる魔力に触れるか。
「えぇ。他は接吻くらいでしょうかね」
「……」
思わぬ提案にアザレアは耳先まで顔を赤くし、唇をきゅっと結んだ。しかし、婚前交渉と接吻は順序が逆じゃないのか。
「止めますか?」
「…………ほっぺとか」
「はい?」
消え入りそうな程の小さな声に、フォラクスは首を傾ける。
「わたし、全身が放出器官だから。わたしのほっぺ触るくらいとかにできない?」
顔を真っ赤にしながら、アザレアは必死な様子で提案をした。
「……ふむ。まあ、其れでも宜しいが……」
「うん」
口元に手を遣り、フォラクスは考えるように視線を少し横に動かす。
「私には手袋を外させておいて、貴女は其れから逃げるのですね」
「む……」
ぼそ、と低く呟かれたフォラクスの声に、アザレアは少したじろいだ。
「冗談で御座いますとも。私は男ですが貴女は女性。加えて私は魔術師故、手袋を外す事も多々有ります。恥じらいに差は御座いましょう」
「…………ん」
恥ずかしそうに頷くアザレアの様子を、フォラクスは口元に手を遣ったまま静かに見下ろしていた。
その口元は愉快そうに歪んでいたが、アザレアからは見えなかった。
×
フォラクスは片方の袖を少し捲り、手袋に手をかけた。薄く伸びる生地のためか、彼は緩慢とした動きで手袋を外してゆく。
やがて、ぴったりとその手を覆う黒い生地から、手首、手背が露わになった。
男性らしい節や筋の目立つ手背は白く、血管の色や形が薄く浮かび上がっている。
「……何か?」
手袋から指をそっと引き抜きながら、フォラクスはアザレアに視線を向けた。
ゆっくりと手袋を外すその動作に、目が釘付けになっていたらしい。
「なん、でも……ないよ」
流し目で余計に色気が増したような気がして、アザレアはぎこちなく目を逸らす。
「……準備が出来ましたよ」
「ん、」
返事をするとフォラクスは席を立ち、アザレアに近付いた。
手の平を見せないよう気を付けているらしく、フォラクスは指先を曲げ軽く手を握っている。
「……では、ゆっくり触れます」
「う、うん」
アザレアがぎゅっと目をつぶると、フォラクスが手を伸ばした気配がした。
彼の少し冷たく硬い指先が、アザレアの両頬に触れる。
自身とは異なるその感触に一瞬、呼吸を忘れそうになったが、耐えた。
「っ、両方で……触るの?」
アザレアは戸惑いの声を上げるも、
「……その方が、じっくりと感じられるでしょう」
と、愉しそうに笑う。
そのままフォラクスはゆっくりと手を滑らせ、アザレアの頬と触れ合う面を指先から手のひらへと広げる。そして、アザレアの両頬を両手でしっかりと包み込んだ。
「むー……」
アザレアは少し顔をしかめ、ゆっくりとフォラクスとの温度が馴染むのを感じていた。
互いに、じわり、と自身と相手の魔力が自身の体内へ染み込むのを自覚する。
魔力が混ざると触れ合った部分が熱を帯び、輪郭が溶けてしまうと、錯覚しそうになった。
あまりもの心地よさに、アザレアは、ほう、と小さく息を吐く。
放出器官同士を触れ合わせる行為は、暖かくてくすぐったいような、ずっと触れ合っていたいような心地だった。
「…………如何、です?」
少ししてフォラクスが声をかけ、ゆっくりとアザレアは目を開く。涙腺が緩んだのか、視界が少し潤んでいた。
「ん、……なんだか、すごい」
顔が熱くて、頭が茹だりそうだった。恐らく、すごく顔が赤くなっているだろう。心なしか、彼も目元の血色が良くなっているように見えた。
「……是が恐らく、『相性が良い』という事で御座いますよ、アウラヴィテ殿」
頬に触れたまま、フォラクスはゆっくりと答える。
「そう、なの?」
「えぇ。……私は、他の魔力を弾く性質を持ち合わせているので、斯様に魔力が混ざった事自体は初めてなのですが」
「……わたし、も初めて、かな」
「…………其れは、如何言う事で?」
「きみとだと、くっついても疲れなくって、あと……なんだかあったかいの」
「……ふむ。其れは詰まり、馴染み易過ぎて貴女の魔力ばかりが削れていた、と言う事でしょうかね」
アザレアの言葉に、フォラクスは仮説を立てた。
「そうなの?」
「恐らくは。……貴女が何とも思わなくとも、相手方が好ましく感じている事、ありませんでしたか」
「……あ、」
「…………覚えが有る様ですね」
小さく声を上げたアザレアに、フォラクスは目を細める。
「……ちょっとしかないよ」
「豊富な方が、寧ろ困ります」
口を尖らせるアザレアに、フォラクスは苦笑を零した。
「まあ、斯様に。放出器官同士を合わせるのが、『相性を確かめる』には実に宜しい、と言う訳で御座います」
そう答えると、フォラクスはアザレアの頬からそっと手を離す。
「……ぁ、」
「…………其の様に、」
さっと手袋を両の手に嵌め、手を隠したフォラクスは
「物欲しそうな顔をしてはいけませぬ」
にこ、と薄く笑みを浮かべてアザレアに注意を促す。
「えっ、そ、そんな顔してた?」
アザレアは驚いた様子で、自身の頬に手を当てた。
「……えぇ。まあ」
「…………ごめん、ね」
「いいえ。他でしなければ宜しいのです」
「うん……ん?」
「さ、これで貴女の疑問には答えました」
首を捻るアザレアに、フォラクスは言い放つ。
「……ねぇ」
お茶の入った器で顔を少し隠しながら、アザレアは遠慮がちにフォラクスを見上げる。
「何で御座いましょうか」
彼は普段通りの様子で本を読んでいた。その本の表紙の文字によれば、魔術の構築の書籍のようだ。
フォラクスは本から視線をアザレアに向ける。
「『相性が良い』って、どんな感じなのかな、」
少し頬を染め、アザレアはフォラクスから視線を逸らした。
「……興味がお有りか」
「…………だって。なんていうか、法律に影響を与えるくらいなんだもん」
「ふむ。『何れ程良いものか気になる』……と」
「……ん」
アザレアが小さく頷いたのを確認し、フォラクスは本を閉じた。
「……仕方ありませんね。少しだけ、なら大丈夫でしょう」
「え? な、何するの」
傍に本を置いたフォラクスの様子に、アザレアは固まる。
「手袋を、何方でも良いので片方外して下さらぬか」
うっそりと目を細め、フォラクスは片手を差し出す。
「えっ?! そんな……恥ずかしい、よ」
「貴女が訊いた事でしょう」
たじろぐアザレアを見つめ、フォラクスは呆れた様子で溜息を吐いた。
「そ、そうだけど手袋外すの関係ある?」
「えぇ。掌には魔力の放出器官が有りますでしょう」
「……あ。……まさか、」
フォラクスが言わんとする内容に気付き、アザレアは頬を赤く染める。
「器官同士を触れさせる事が、最も簡単に相性の良さを感じられるのです」
「な、なるほど。……理屈は分かったけど、ほかに方法ないの?」
アザレアは、口頭で『相性』について説明してくれると思っていた。だが、フォラクスはそれ以外の方法で教えようとしているらしい。
「此れが互いに被害を最小限に済ませる方法で御座いますよ」
「被害?」
「婚前交渉等、未だ、したくはありませんでしょう」
「っ?! もしかして、その2択?」
手袋を外して放出器官を直接合わせるか、粘膜接触で体液に混ざる魔力に触れるか。
「えぇ。他は接吻くらいでしょうかね」
「……」
思わぬ提案にアザレアは耳先まで顔を赤くし、唇をきゅっと結んだ。しかし、婚前交渉と接吻は順序が逆じゃないのか。
「止めますか?」
「…………ほっぺとか」
「はい?」
消え入りそうな程の小さな声に、フォラクスは首を傾ける。
「わたし、全身が放出器官だから。わたしのほっぺ触るくらいとかにできない?」
顔を真っ赤にしながら、アザレアは必死な様子で提案をした。
「……ふむ。まあ、其れでも宜しいが……」
「うん」
口元に手を遣り、フォラクスは考えるように視線を少し横に動かす。
「私には手袋を外させておいて、貴女は其れから逃げるのですね」
「む……」
ぼそ、と低く呟かれたフォラクスの声に、アザレアは少したじろいだ。
「冗談で御座いますとも。私は男ですが貴女は女性。加えて私は魔術師故、手袋を外す事も多々有ります。恥じらいに差は御座いましょう」
「…………ん」
恥ずかしそうに頷くアザレアの様子を、フォラクスは口元に手を遣ったまま静かに見下ろしていた。
その口元は愉快そうに歪んでいたが、アザレアからは見えなかった。
×
フォラクスは片方の袖を少し捲り、手袋に手をかけた。薄く伸びる生地のためか、彼は緩慢とした動きで手袋を外してゆく。
やがて、ぴったりとその手を覆う黒い生地から、手首、手背が露わになった。
男性らしい節や筋の目立つ手背は白く、血管の色や形が薄く浮かび上がっている。
「……何か?」
手袋から指をそっと引き抜きながら、フォラクスはアザレアに視線を向けた。
ゆっくりと手袋を外すその動作に、目が釘付けになっていたらしい。
「なん、でも……ないよ」
流し目で余計に色気が増したような気がして、アザレアはぎこちなく目を逸らす。
「……準備が出来ましたよ」
「ん、」
返事をするとフォラクスは席を立ち、アザレアに近付いた。
手の平を見せないよう気を付けているらしく、フォラクスは指先を曲げ軽く手を握っている。
「……では、ゆっくり触れます」
「う、うん」
アザレアがぎゅっと目をつぶると、フォラクスが手を伸ばした気配がした。
彼の少し冷たく硬い指先が、アザレアの両頬に触れる。
自身とは異なるその感触に一瞬、呼吸を忘れそうになったが、耐えた。
「っ、両方で……触るの?」
アザレアは戸惑いの声を上げるも、
「……その方が、じっくりと感じられるでしょう」
と、愉しそうに笑う。
そのままフォラクスはゆっくりと手を滑らせ、アザレアの頬と触れ合う面を指先から手のひらへと広げる。そして、アザレアの両頬を両手でしっかりと包み込んだ。
「むー……」
アザレアは少し顔をしかめ、ゆっくりとフォラクスとの温度が馴染むのを感じていた。
互いに、じわり、と自身と相手の魔力が自身の体内へ染み込むのを自覚する。
魔力が混ざると触れ合った部分が熱を帯び、輪郭が溶けてしまうと、錯覚しそうになった。
あまりもの心地よさに、アザレアは、ほう、と小さく息を吐く。
放出器官同士を触れ合わせる行為は、暖かくてくすぐったいような、ずっと触れ合っていたいような心地だった。
「…………如何、です?」
少ししてフォラクスが声をかけ、ゆっくりとアザレアは目を開く。涙腺が緩んだのか、視界が少し潤んでいた。
「ん、……なんだか、すごい」
顔が熱くて、頭が茹だりそうだった。恐らく、すごく顔が赤くなっているだろう。心なしか、彼も目元の血色が良くなっているように見えた。
「……是が恐らく、『相性が良い』という事で御座いますよ、アウラヴィテ殿」
頬に触れたまま、フォラクスはゆっくりと答える。
「そう、なの?」
「えぇ。……私は、他の魔力を弾く性質を持ち合わせているので、斯様に魔力が混ざった事自体は初めてなのですが」
「……わたし、も初めて、かな」
「…………其れは、如何言う事で?」
「きみとだと、くっついても疲れなくって、あと……なんだかあったかいの」
「……ふむ。其れは詰まり、馴染み易過ぎて貴女の魔力ばかりが削れていた、と言う事でしょうかね」
アザレアの言葉に、フォラクスは仮説を立てた。
「そうなの?」
「恐らくは。……貴女が何とも思わなくとも、相手方が好ましく感じている事、ありませんでしたか」
「……あ、」
「…………覚えが有る様ですね」
小さく声を上げたアザレアに、フォラクスは目を細める。
「……ちょっとしかないよ」
「豊富な方が、寧ろ困ります」
口を尖らせるアザレアに、フォラクスは苦笑を零した。
「まあ、斯様に。放出器官同士を合わせるのが、『相性を確かめる』には実に宜しい、と言う訳で御座います」
そう答えると、フォラクスはアザレアの頬からそっと手を離す。
「……ぁ、」
「…………其の様に、」
さっと手袋を両の手に嵌め、手を隠したフォラクスは
「物欲しそうな顔をしてはいけませぬ」
にこ、と薄く笑みを浮かべてアザレアに注意を促す。
「えっ、そ、そんな顔してた?」
アザレアは驚いた様子で、自身の頬に手を当てた。
「……えぇ。まあ」
「…………ごめん、ね」
「いいえ。他でしなければ宜しいのです」
「うん……ん?」
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