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三年目
143:ねこちゃんというか獣。
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『……貴女は、』
フォラクスはアザレアが居るであろう場所に目を向ける。そして、やはり視界が見えないのは不便だと思った。
「なに?」
見上げ、魔女は首を傾げる。
『矢張り、特殊な趣味をしていらっしゃるようで』
「え、酷くない?」
突然の言葉に、アザレアは眉を寄せた。すると、彼は小さく笑う。
『斯様な出来損ないの化け物が好きとは』
その言葉には、嬉しそうな楽しんでいるような色が含まれていた気がした。
「本当に、すきだもん」
頬を少し膨らまして、アザレアは抗議する。
『然様ですか。貴女がそう仰るの成らば、強く否定は致しませぬ』
大分落ち着いた様子で、フォラクスは告げた。
「……でも、『その目』は嫌」
アザレアは身体を離しながら、彼の背中周辺に回していた手をその顔に再び持っていく。そして、彼の目を見つめた。
『“目”ですか』
「ん。今のきみ、おめめが黒っぽい赤の色してるの」
訊き返す彼にアザレアは頷く。
今の赤黒い色も、なんとなく色味がお揃いのような気にはなるのだが、アザレアはあの深い緑色の目の方が好きだった。よく見ると、彼の虹彩は濁った色をしている。そこで、もしかすると魔力が詰まっているのかも、と思い至った。
『……其れ成らば、貴女と似たような色味だと思いますが』
彼の言葉に、同じことを考えていたのだとなんとなくで嬉しくなる。だが、
「よくわかんないけど、なんか嫌」
その色を見ると、もやっとするのだ。眉をひそめ、アザレアは口を尖らせる。
『…………然様ですか』
両頬を彼女に触れられた感触はあるのだが、フォラクスにはその顔が見えない。酷く、惜しいものを見逃したような気がした。
彼も、そっとアザレアの頭部があるであろう場所に、獣の前脚のような手を持っていく。頬や側頭部の辺りに手の平を当てたが、彼の手は非常に大きく指先が後頭部にまで届いた。
「おっきいね、きみの手」
その手にアザレアは小さな手を重ね、くすぐったそうに小さく笑う。
『……』
どんな顔で笑っているのだろうと、気になってしまった。
「わ?!」
『……失礼』
突如、アザレアの頬に、生温く湿ったものが触れた。それはべろ、と彼女の頬を舐め上げて魔力で黒く染まった彼女の顔を拭う。
「ん、なにしてるの?」
唐突に顔を舐められ、アザレアは戸惑いの声をあげた。人間のものよりも大分ざらついたその感触に、「(やっぱり、ねこちゃんだ)」と思う。
『見えませんので。貴女の表情が知りたかったのです』
意外と素直に、フォラクスは答えた。
「触ったらいいのに」
『力加減を間違えて、傷付けてしまいそうで』
不満気にアザレアが言葉を零す。すると、彼は申し訳なさそうな様子で、彼女の頬に触れる手を少し動かす。その指先には鋭い鉤爪が付いており、確かに下手すれば怪我をしてしまうかもしれなかった。
「やっぱり、見えないんだ?」
『……ええ。諸事情がありまして』
「ふーん……」
ふと、アザレアは目の前の婚約者と、まともに会話できているのを不思議に思った。鎮静剤を投与されているにしても、思った以上にまともに会話ができていたからだ。部屋の外や先程の姿、聞いていた話を加味すると、もう少し会話が難しいものだと思っていた。
『如何されましたか』
彼の頬を撫で、アザレアはそのまま目元に手を持っていく。
「きみの中に入ってるそれ。少しだけ取ってあげる。……全部は、深すぎて取れないけど」
そう言うと、彼女は手袋を静かに外した。それから彼の頭を抱き寄せる。そして、フォラクスにアザレア自身の魔力を染み込ませた。
『……う、』
顔をしかめ、彼は低く唸る。アザレアの柔らかく小さな手の感触が、心地よかったのだ。
このタイミングで、とフォラクスは強く目を閉じたのだが、それよりも、アザレアの方が酷い状態だった。
「…………ん」
強い感覚に、小さく呻く。
「(……そうだった、黒い液体、この人の魔力なんだっけ)」
彼の魔力がどこからともなく溢れて、彼の顔に触れるアザレアの手に直接かかった。
触れた側から、放出器官同士を触れ合わせた時と桁違いの感覚が襲う。それには心地良さなどなく、むしろ火傷しそうな熱さとひりひりとした痛みがあるだけだった。
自覚すると、手だけでなく黒い液体がたっぷりかかっていた顔にも熱く、ひりひりとした感覚を覚える。
「(やっぱり、なにか変なのが混ざってる……)」
以前に触れた時と違い、フォラクスの魔力には何か濁った感覚がある。魔力に直接触れたお陰で、それがよくわかった。
ゆっくり、じわりと魔力を染み込ませ、彼の目に留まっていた『何か変なの』を抽出する。
「っ、」
彼の頭を抱き抱え、魔力を染み込ませた時。強い違和感が体を襲った。物凄い異物感、というものだろうか。彼の魔力の中に潜む、『何か変なの』がすごく嫌な感じがするのだ。
「(すっごく、『嫌なもの』だ)」
すさまじく強い、悪意の感覚がある。そして、それは去年の今頃にも触れた記憶のある魔力だった。
「(確か、)」
『春来の儀』のあと、だったはずだ。そして今回も『春来の儀』のあとに倒れたと聞く。
「(……やっぱり、あんまりよくない儀式なんじゃないかな……)」
心配になるが、直接かかわっていないので、とやかく言えた立場ではないことは分かっていた。
「……どう? とれた……かな」
アザレアの魔力と共に抽出された『何か変なの』をそこら辺にてきとうに放置して、彼女は問う。
『…………嗚呼、』
薄く開いたフォラクスの目の色が、元の常盤色に戻っていた。
『見えます。貴女の顔が、良く』
嬉しそうに目を細め、彼は自身の出した液体で汚れたアザレアの頬を拭うように触れる。
「よかったー」
その言葉に、心底安心した様子でアザレアは息を吐いた。
『貴女は、私の言葉が分かるのですか』
「え、言葉?」
フォラクスが零した疑問に、アザレアも首を傾げる。
『家の者は、殆どが理解出来ていなかったというのに』
「んー。なんとなく、おばあちゃんが教えてくれた言葉に似てるからわかるよ」
歌とかいっぱい教えてくれるんだよ、とアザレアはフォラクスに話した。
×
それから少しして、呪猫当主が『そろそろ薬が切れる頃だから戻りなさい』と、戸の向こうから声をかけた。
「……お薬切れるんだって。だいじょうぶ?」
心配しながらアザレアはフォラクスに問う。
『……』
フォラクスは戸の方を睨み付け、アザレアを抱きしめたまま動かない。
「あのー」
『…………』
気不味そうに見上げると、彼は低く唸りながらも渋々と手を離した。
×
「ふむ」
部屋から出ると、出迎えた呪猫当主が面白そうに声を上げた。
「後朝の様な顔をしているな。楽しめたか」
心底愉快そうに呪猫当主が言った直後、
ダァンッ!
と、強く戸を叩き付ける音が響き、アザレアは飛び上がる。
「ぴっ?!」
すさまじい強さで、今にも戸や壁が破られそうな音だった。
「ははは、何か言いたければ其処から出るのだな」
呪猫当主は軽く笑い、
「扨。急な処悪いが暫しの間、此の家に泊まってくれまいか」
とアザレアに問いかける。
「なんで? ……ですか?」
「1週間程だ。苦ではないだろう。其れに、手紙にも『此方が全て用意する』と記していただろう?」
詳細は教えてくれなかったが、帰るための道順も知らないし持ち物も何も持っていなかったので、そのまま泊まることになった。
フォラクスはアザレアが居るであろう場所に目を向ける。そして、やはり視界が見えないのは不便だと思った。
「なに?」
見上げ、魔女は首を傾げる。
『矢張り、特殊な趣味をしていらっしゃるようで』
「え、酷くない?」
突然の言葉に、アザレアは眉を寄せた。すると、彼は小さく笑う。
『斯様な出来損ないの化け物が好きとは』
その言葉には、嬉しそうな楽しんでいるような色が含まれていた気がした。
「本当に、すきだもん」
頬を少し膨らまして、アザレアは抗議する。
『然様ですか。貴女がそう仰るの成らば、強く否定は致しませぬ』
大分落ち着いた様子で、フォラクスは告げた。
「……でも、『その目』は嫌」
アザレアは身体を離しながら、彼の背中周辺に回していた手をその顔に再び持っていく。そして、彼の目を見つめた。
『“目”ですか』
「ん。今のきみ、おめめが黒っぽい赤の色してるの」
訊き返す彼にアザレアは頷く。
今の赤黒い色も、なんとなく色味がお揃いのような気にはなるのだが、アザレアはあの深い緑色の目の方が好きだった。よく見ると、彼の虹彩は濁った色をしている。そこで、もしかすると魔力が詰まっているのかも、と思い至った。
『……其れ成らば、貴女と似たような色味だと思いますが』
彼の言葉に、同じことを考えていたのだとなんとなくで嬉しくなる。だが、
「よくわかんないけど、なんか嫌」
その色を見ると、もやっとするのだ。眉をひそめ、アザレアは口を尖らせる。
『…………然様ですか』
両頬を彼女に触れられた感触はあるのだが、フォラクスにはその顔が見えない。酷く、惜しいものを見逃したような気がした。
彼も、そっとアザレアの頭部があるであろう場所に、獣の前脚のような手を持っていく。頬や側頭部の辺りに手の平を当てたが、彼の手は非常に大きく指先が後頭部にまで届いた。
「おっきいね、きみの手」
その手にアザレアは小さな手を重ね、くすぐったそうに小さく笑う。
『……』
どんな顔で笑っているのだろうと、気になってしまった。
「わ?!」
『……失礼』
突如、アザレアの頬に、生温く湿ったものが触れた。それはべろ、と彼女の頬を舐め上げて魔力で黒く染まった彼女の顔を拭う。
「ん、なにしてるの?」
唐突に顔を舐められ、アザレアは戸惑いの声をあげた。人間のものよりも大分ざらついたその感触に、「(やっぱり、ねこちゃんだ)」と思う。
『見えませんので。貴女の表情が知りたかったのです』
意外と素直に、フォラクスは答えた。
「触ったらいいのに」
『力加減を間違えて、傷付けてしまいそうで』
不満気にアザレアが言葉を零す。すると、彼は申し訳なさそうな様子で、彼女の頬に触れる手を少し動かす。その指先には鋭い鉤爪が付いており、確かに下手すれば怪我をしてしまうかもしれなかった。
「やっぱり、見えないんだ?」
『……ええ。諸事情がありまして』
「ふーん……」
ふと、アザレアは目の前の婚約者と、まともに会話できているのを不思議に思った。鎮静剤を投与されているにしても、思った以上にまともに会話ができていたからだ。部屋の外や先程の姿、聞いていた話を加味すると、もう少し会話が難しいものだと思っていた。
『如何されましたか』
彼の頬を撫で、アザレアはそのまま目元に手を持っていく。
「きみの中に入ってるそれ。少しだけ取ってあげる。……全部は、深すぎて取れないけど」
そう言うと、彼女は手袋を静かに外した。それから彼の頭を抱き寄せる。そして、フォラクスにアザレア自身の魔力を染み込ませた。
『……う、』
顔をしかめ、彼は低く唸る。アザレアの柔らかく小さな手の感触が、心地よかったのだ。
このタイミングで、とフォラクスは強く目を閉じたのだが、それよりも、アザレアの方が酷い状態だった。
「…………ん」
強い感覚に、小さく呻く。
「(……そうだった、黒い液体、この人の魔力なんだっけ)」
彼の魔力がどこからともなく溢れて、彼の顔に触れるアザレアの手に直接かかった。
触れた側から、放出器官同士を触れ合わせた時と桁違いの感覚が襲う。それには心地良さなどなく、むしろ火傷しそうな熱さとひりひりとした痛みがあるだけだった。
自覚すると、手だけでなく黒い液体がたっぷりかかっていた顔にも熱く、ひりひりとした感覚を覚える。
「(やっぱり、なにか変なのが混ざってる……)」
以前に触れた時と違い、フォラクスの魔力には何か濁った感覚がある。魔力に直接触れたお陰で、それがよくわかった。
ゆっくり、じわりと魔力を染み込ませ、彼の目に留まっていた『何か変なの』を抽出する。
「っ、」
彼の頭を抱き抱え、魔力を染み込ませた時。強い違和感が体を襲った。物凄い異物感、というものだろうか。彼の魔力の中に潜む、『何か変なの』がすごく嫌な感じがするのだ。
「(すっごく、『嫌なもの』だ)」
すさまじく強い、悪意の感覚がある。そして、それは去年の今頃にも触れた記憶のある魔力だった。
「(確か、)」
『春来の儀』のあと、だったはずだ。そして今回も『春来の儀』のあとに倒れたと聞く。
「(……やっぱり、あんまりよくない儀式なんじゃないかな……)」
心配になるが、直接かかわっていないので、とやかく言えた立場ではないことは分かっていた。
「……どう? とれた……かな」
アザレアの魔力と共に抽出された『何か変なの』をそこら辺にてきとうに放置して、彼女は問う。
『…………嗚呼、』
薄く開いたフォラクスの目の色が、元の常盤色に戻っていた。
『見えます。貴女の顔が、良く』
嬉しそうに目を細め、彼は自身の出した液体で汚れたアザレアの頬を拭うように触れる。
「よかったー」
その言葉に、心底安心した様子でアザレアは息を吐いた。
『貴女は、私の言葉が分かるのですか』
「え、言葉?」
フォラクスが零した疑問に、アザレアも首を傾げる。
『家の者は、殆どが理解出来ていなかったというのに』
「んー。なんとなく、おばあちゃんが教えてくれた言葉に似てるからわかるよ」
歌とかいっぱい教えてくれるんだよ、とアザレアはフォラクスに話した。
×
それから少しして、呪猫当主が『そろそろ薬が切れる頃だから戻りなさい』と、戸の向こうから声をかけた。
「……お薬切れるんだって。だいじょうぶ?」
心配しながらアザレアはフォラクスに問う。
『……』
フォラクスは戸の方を睨み付け、アザレアを抱きしめたまま動かない。
「あのー」
『…………』
気不味そうに見上げると、彼は低く唸りながらも渋々と手を離した。
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「ふむ」
部屋から出ると、出迎えた呪猫当主が面白そうに声を上げた。
「後朝の様な顔をしているな。楽しめたか」
心底愉快そうに呪猫当主が言った直後、
ダァンッ!
と、強く戸を叩き付ける音が響き、アザレアは飛び上がる。
「ぴっ?!」
すさまじい強さで、今にも戸や壁が破られそうな音だった。
「ははは、何か言いたければ其処から出るのだな」
呪猫当主は軽く笑い、
「扨。急な処悪いが暫しの間、此の家に泊まってくれまいか」
とアザレアに問いかける。
「なんで? ……ですか?」
「1週間程だ。苦ではないだろう。其れに、手紙にも『此方が全て用意する』と記していただろう?」
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