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第1章 始まりの章
11話 真実
しおりを挟む「ん、う……、こ、くっ、んっ……、……はぁ……はぁ……」
25時間舐めても逝かなかったのに……。
お掃除フェラしている最中で、溶かした蝋燭みたいな濃い精液を口の中に吐き出された。
ついさっき前の暴発みたいな口内射精を思い出しながらナツキは呟いた。
それから暫く経ったものの、味と熱感が口の中に残ったまま。
飲んだばかりの余韻が残っているせいで、1人湯船に浸かっても、とてもリラックスなんて出来なかった。
オネエ忍者は、ナツキに入浴を許可して部屋から出て行ったのだ。
しかし、暗殺に失敗したにもかかわらずフェラチオで済んだのは驚きだ。
取引としては悪くはない。
いつまで生かされるかの保証はされていないけど――。
とは言え、ナツキを自由にさせて部屋から出て行くなど、油断しきっていると言わざるを得ない。傀儡の術に嵌めているとは言えだ。
いや、油断とは言えないな。他者操縦系の術の解除は得意の筈だった。
しかし、オネエの術は自力で解除出来る気がしない。
針金一本で、国家機密のデーター全て引っこ抜くよりも遥かに難易度が高い。
何せ、軽々と傀儡にしてしまうような凄腕の術者だ。
忍びの常識では考えられない術の掛かり。やはり油断と言うよりは余裕だ。
なんて厄介なやつだ。変装術の質だって高い。
正体暴けるヒントは腐るほどあった、にもかかわらず見抜けなかった。
おじいちゃんは凄腕の忍者だったが、今となってはおじいちゃんが捕まったことも納得しざるを得ない。
なんでこんなに有能な忍びが政治家なんかのもとで……。
――プシーーッ。
風呂から上がったところで、電子音を鳴らしてルームドアが横滑りに開いた。
(だ、誰、……だ、この人……)
突然現れたのは、腰が90度に曲がってしまったせいで、ナツキよりも背が低くなっている皺くちゃなおじいさんだった。
ヤギっぽい顔をしているが、見たことも無い顔だった。
「あら? 逃げ出さなかったのねぇ」
……ああ、オネエか。なんのための変装なんだ。意味が分からない。
オネエと分かってため息が漏れた。
「逃げ出さなかったって……。逃げられないからに決まっているでしょ。命令に逆らえないんだから」
「傀儡の術なら風呂に入る前に解いたわよ?」
嘘か本当か分からない。
「何を企んでいる。逃げていたらどうするつもりだったの?」
「少し困ったかも知れないわねぇ。性処理させる子がいなくなるのはねぇ~」
「そうですか」
狙いが全く分からない。
おじいさんになっているせいで、表情では何を企んでいるかが読めなくなった。
皺くちゃなせいもあって、オネエモードのとき以上に表情の機微に気付けない。
読めない以上に、色惚け末期なおじいさんからセクハラされてる気分になる。
「納得いかないみたいね。色々なことに対して。いいわ。――着いてらっしゃい」
変装した姿と分かっていても、色惚けしたおじいさんを見て風魔の長老でもあるおじいちゃんも、いつかはこうなるのか……、そんなことを想像して不憫に思ってしまい、複雑な表情をしていたら部屋から出る許可が下りた。
プシューッと電子ドアがスライドして、傀儡の術の解除を知ったナツキは、のうのうと前を歩いているおじいさんの背中に斬り掛かってやろうかと企む。
が、このおじいさんはただの色惚けおじいさんではない。
傀儡の術に簡単に嵌めたほどの手練れの忍者だ。――おそらく返り討ちに遭う。
現状命の危機から脱した感じにはなっている。
せっかく命は助かったんだ。今は様子を見よう。
オネエの後ろに着いて、MARSの検査をした研究所の廊下を歩いていくと、
人語を喋る獣の声と言ったら良いのだろうか、凄く気持ち悪い声が多重してくる。
猿小屋の猿を寿司詰めにしたような奇声が聞こえてくる。
施設自体が想像以上にハイテクで、ハリウッド映画とかに出てくる巨大な宇宙船、そんな超未来をイメージしたデザインだ。人体実験の一つや二つしていてもおかしくないくらいに、科学の先端をイメージさせる内観ではある。
そんな鉄板作りの壁を震わせるほどのおぞましい声が、歩みを進める度に近付いてくる。だぁせええええ、だぁせええええと低い癖してはっきりとした声だ。
近付くにつれて不安感が芽生え出す。
「どこに連れて行く気?」
「樽男のところよー」
「……何を考えている?」
命は助かったものの、結局金田樽男のメイドでもさせるつもりか。
いや、売られるよりは敵の懐に入り込んだほうがマシか。
現状の解決策を見出すためにもそのほうが良いかもしれない。
そんなことを思っている中――。
「だせぇええええええええええええええええええええええええっ!!」
多重した樽男の声が鼓膜を震え上がらせた。
「――どういう……、こと」
連れてこられたのは樽男の元ではあった。
しかしなぜか樽男が5人もいるのだ。しかも留置所のように鉄格子を介して分けられていて、1人1部屋で隔てられている。
オネエに言われたとおり樽男の元には連れてこられた。
だが、なぜ樽男が監禁されているのか、5人居るのかさっぱり分からない。
「こ、これ、……どういうこと」
予想さえしていない展開に目を疑った。聞きたいことがあり過ぎて、どこから聞いたらいいのかさえ分からなくて混乱してしまう。
「オネエ。これ、どういう、こと……」
「驚いたかしら?」
自動ドアを潜ったところから、聞き慣れた雄叫びが多重しているとは思っていた。 その声が樽男に似ているとも思っていた。
しかし、暗殺対象者だった男が何人もいて、出せー、出せー、と叫んでいるとは思わない。
樽男がカラオケで喉を潰したらこんな声になりそうだとは何度か思ったが、そもそもの選択肢から除外されていた。
だいたい、オネエが雇い主である樽男を監禁しているとは思わない。
……これはほんとに、ほんとにどういうことだ。
「そりゃ……驚くでしょ」
「肉分裂。それが金田樽男の能力よ」
「にく、ぶん、れつ?」
聞いたことがない。忍術とは違うのだろう。
ほかの流派によって呼び名が異なるから聞いたことがない、なんて小さな理由とも思えない。
「身体をちょん切って2人になったりするのよー」
「んー……」
この状況を目の当たりにして、肉分裂なんて奇怪な名前を聞かなければ、口頭だけでは理解出来なかっただろう。
忍術というよりも、人間業じゃない。
忍術も人間業じゃないとはいえ、そう言った次元の話ではない。
樽男達は、5人が5人同じ顔と同じ身体で、クローン人間のように生きている。
しかし命令によって動いている様子は無い。
どう見ても1人1人が自我を持っていた。
「肉分裂…………のこともそうだけど、色々と分かるように説明して」
「金田大臣の様子がおかしいから調べて欲しい。って、わたしたち伊賀忍軍に依頼が来たの」
「伊賀……」
「そう、風魔と違って対人を避けている伊賀忍軍よ」
伊賀忍軍。超がつく有名どころだ。
言われたように、人間同士の戦いを避けているとは聞いていた。
しかし平和ボケした忍びと化しているわけではないようだ。
人と争うのを避けているとはいえ、そもそも伊賀は何と戦っているんだ?
「知っての通りあたしたちは人間相手の仕事は長いことしていない。そう、金田樽男は人間じゃないわ。恐らく最近になって人から人外に化けたと思うけど――」
オネエ忍者は、スパイとして樽男のところに潜り込んでいたらしい。
とりあえずは話半分で聞いておこう。
こいつも殺すつもりで犯してきた男だ。
「教えて。一番最初に私が殺したのはダミー? それとも本物?」
「本物と言えば本物、ニセ者と言えばニセ者」
「なに? 格好つけようとしてるの? レイプ魔のくせに」
「違うわよ。いくら分裂しても、もとは1人の男。そして、一番厄介なのはそこ」
「そこって、どこ……」
「1つに戻れるってとこよ。ここにいる5人も1つに戻れる。この中の1人でも、自由に外界とのやり取りが可能な樽男と合流したら、あなた指名手配されるわよ。情報を共有されてしまうからね」
え? 樽男ってこの5人のほかにも居るの……。
なんか凄い面倒なことになってきた気がする。
「なんで私が指名手配? どさくさに紛れて犯されたんだし……、樽男だって気が済んだんじゃないの?」
「ここにいる1人の樽男の気は済んだかも知れないわね。でも、さっき言ったとおり樽男はほかにもいるのよ? だからこんなに難詰してるんじゃないのぉ」
「指名手配は凄く嫌だ。白黒な感じで全国区とか……。しかも奇跡的に撮れたような人相が極端に悪い写真を使われる。しかも、大臣暗殺未遂で指名手配って、インパクトがおかしい。大体そうなったらオネエだって指名手配……」
うわ……。腰が丸まっているヤギみたいなおじいさんがオネエとは誰も思わないだろう。しかし、こいつは何にでも姿を変えられるのか。
誰が追いかけてきても関係ない。どんなに優れた情報網があったとしても、誰を追いかければ良いのか分からなければ意味が無い。
そう言いたげな、まるで勝ち誇ったように顎がしゃくれている。
「樽男を仕留めようとした伊賀の忍びが半数以上消えちゃったの。思った以上に敵の規模が大きくてね。だからあたしも手段を選ぶのを止めた。姑息な手も使ったわ」
――姑息。確かに鬼ごっこで捕まりそうになった途端やめると言いだす男の子と同じくらい姑息だ。何も言えない。
「伊賀では心許ないと思ったのか、依頼主は風魔にも依頼したの。難詰していたあたしは、風魔のくノ一が金田樽男を籠絡している隙に、秘書として内部に入り込んだ。そして確信した」
――近い将来、この国は乗っ取られる。さらに近い将来、人間はこの地上で一番の座にはいられなくなる。
「分かった。帰っていい?」
「だめ。おじいちゃんを救いたいんでしょ?」
ああ。そうか。こいつは勘違いしたままなんだ。
自分が助かるためにおじいちゃんを助けたかった、って言いそびれていた。
「いや、いいよ。おじいちゃんのことは。そこにいる樽男5人を消せば、私が指名手配されることも無いでしょ?」
「え? おじいちゃんは?」
「勘違いしてるよ」
大体おじいちゃんがくノ一になったら小遣いたくさんくれるって、お金で釣るから……。――お金……。まずい。
おじいちゃんがいないとお小遣いとか抜きにして、生活が出来ない。
500円しかないのに、どうやって1ヶ月暮らせって?
昔テレビでやっていた1ヶ月1万円生活よりきつい。20倍きつい。
お金の管理を全て1人に任せるからこういうことになる。洒落にならない。
コーラのレシピを知ってる人間が二人しかいないって聞いたとき、そのうちコーラがこの世から消えるとは思っていた。
(今、私の身にも同じことが起きている。――私が……、消える)
二人でもまずいと思っていたのに、1人で全てを管理してるからこのざまだ。
「やっぱり助けたい」
「ふふっ。可愛いわね」
「いや、言っておくけどめちゃくちゃ勘違いしてるからね」
「まぁいいわ。相手は樽男5人。――やってもらえるかしら?」
「いいよ。犯されたままじゃ気が済まないと思っていたから。全員やっていい?」
「当然よ。5人全員ともやってもらえないと困るわ」
オネエとのイントネーションに違和感はあった。
とはいえ、まさか5人の樽男とやって=セックスして、とは思っていない。
人間かも分からない男とやれ。
そんなことを言われているなんて、ナツキが思う筈もなかった。
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