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慈しむ心
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それからも陽菜は全てを諦めながら一日を過ごしていた
そんな姿を見て入れなくて、俺は問いかけた
『陽菜にとって、樹という自分は
どんな存在なんだ?』
『どうしたの、急に』
『深い意味はない 少し…気になっただけだ』
陽菜が俺の問いかけにどう思ったかは
わからない
ただ、願いが叶うまでの俺たちの関係性を
続けたかっただけの会話に過ぎない
俺の自己満だ
陽菜はそんな俺の会話にも耳を傾けてくれて
恥ずかしそうに、顔を赤らめながら言葉を紡いだ
『大切な人…一言では現せないくらい』
頬に手を当てて、その仕草は恋する女の子のようだった
可愛らしい仕草に、微笑ましく思えた
『病弱で外にも出れない私の話し相手に
なってくれた
それだけじゃなくて、色んなことを教えて
くれて…だからかな
亡くなったって聞かされて、悲しかったし
それ以上に思いを伝えとけばよかったって
すごく後悔したの』
あの時の思いを、言えなくて言えなかったこと
他にもいい足りないことが胸の中にいっぱいあった
樹君の話をしたのは、家族以外ではリアムだけだ リアムを人なのかどうかはともかく
『リアムは…大切な人とかいないの?
悪魔の中に…とか…』
リアムはゆっくりと首を振り
『俺は悪魔の中でも異端の存在だから
そういう存在はいない』
その瞳は仕方ないと諦めているようで、私は何故そうなのか知りたくなった
『どうして?リアムは何かしたの?』
『…何もしてない
俺が…元人間だから、受け入れられない
人間でもいるだろ、違う存在がいると
認めることができないそんな奴
それと同じだけだ』
その言葉に陽菜は反応する
元人間…という部分だろうか
俺の予想は外れた
『そんなのおかしいよ、何も悪いことして
ないのに!私は絶対許せないわ!』
『落ち着け、陽菜』
『どうしてリアムは受け入れられるの?
もし私がその場にいたら、あなたが異端
じゃないって、優しい人だって
言うのに…!』
涙で潤んだ瞳で陽菜は訴えた
けど興奮し過ぎたせいか、少し咳き込んだ
背中をさすろうとしたが、できなかった
ああ、今の俺は陽菜に触れることができないんだった
それを痛感し、また俺は一人自分の手を見つめる
そうした途端、あの時の陽菜の言葉が思い出して
『私は…あなたのこと見えてるよ
ちゃんと目視できてる』
陽菜の言葉に、心と優しさが含まれてて
俺は救われた気がした
この子は他人でも、優しい言葉をかける子だと
自分のことのように、他人を慈しむことができる
きっとこの子なら、俺の、樹の真実を知ってもなお、耐えきれてるのではないかと
そう思ってしまった
けど、それを決断するのが遅かったかもしれない
俺はアリアに忠告したことで安堵していたのだ何もしてこないと
そして陽菜と過ごす時間が心地よくて、危機がすぐ近くに迫っているのに気づくことができなかった
そんな姿を見て入れなくて、俺は問いかけた
『陽菜にとって、樹という自分は
どんな存在なんだ?』
『どうしたの、急に』
『深い意味はない 少し…気になっただけだ』
陽菜が俺の問いかけにどう思ったかは
わからない
ただ、願いが叶うまでの俺たちの関係性を
続けたかっただけの会話に過ぎない
俺の自己満だ
陽菜はそんな俺の会話にも耳を傾けてくれて
恥ずかしそうに、顔を赤らめながら言葉を紡いだ
『大切な人…一言では現せないくらい』
頬に手を当てて、その仕草は恋する女の子のようだった
可愛らしい仕草に、微笑ましく思えた
『病弱で外にも出れない私の話し相手に
なってくれた
それだけじゃなくて、色んなことを教えて
くれて…だからかな
亡くなったって聞かされて、悲しかったし
それ以上に思いを伝えとけばよかったって
すごく後悔したの』
あの時の思いを、言えなくて言えなかったこと
他にもいい足りないことが胸の中にいっぱいあった
樹君の話をしたのは、家族以外ではリアムだけだ リアムを人なのかどうかはともかく
『リアムは…大切な人とかいないの?
悪魔の中に…とか…』
リアムはゆっくりと首を振り
『俺は悪魔の中でも異端の存在だから
そういう存在はいない』
その瞳は仕方ないと諦めているようで、私は何故そうなのか知りたくなった
『どうして?リアムは何かしたの?』
『…何もしてない
俺が…元人間だから、受け入れられない
人間でもいるだろ、違う存在がいると
認めることができないそんな奴
それと同じだけだ』
その言葉に陽菜は反応する
元人間…という部分だろうか
俺の予想は外れた
『そんなのおかしいよ、何も悪いことして
ないのに!私は絶対許せないわ!』
『落ち着け、陽菜』
『どうしてリアムは受け入れられるの?
もし私がその場にいたら、あなたが異端
じゃないって、優しい人だって
言うのに…!』
涙で潤んだ瞳で陽菜は訴えた
けど興奮し過ぎたせいか、少し咳き込んだ
背中をさすろうとしたが、できなかった
ああ、今の俺は陽菜に触れることができないんだった
それを痛感し、また俺は一人自分の手を見つめる
そうした途端、あの時の陽菜の言葉が思い出して
『私は…あなたのこと見えてるよ
ちゃんと目視できてる』
陽菜の言葉に、心と優しさが含まれてて
俺は救われた気がした
この子は他人でも、優しい言葉をかける子だと
自分のことのように、他人を慈しむことができる
きっとこの子なら、俺の、樹の真実を知ってもなお、耐えきれてるのではないかと
そう思ってしまった
けど、それを決断するのが遅かったかもしれない
俺はアリアに忠告したことで安堵していたのだ何もしてこないと
そして陽菜と過ごす時間が心地よくて、危機がすぐ近くに迫っているのに気づくことができなかった
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