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掟の意味
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歪んでいく空間に、風が吹雪いた
邪悪な空気が漂う
雷鳴が漂い、陽菜は耳を塞ぐ
俺は翼で陽菜に危害を加えられないように警戒をぬるめなかった
樹とアリアは睨め合う
一瞬の隙も油断できない状況だ
樹の頬から少し汗が滴り落ちる
それが合図だったのだろうか、アリアは陽菜の方へと手を伸ばし魂を刈り取られる、はずだった
アリアが陽菜に触れた途端、その美貌が崩れていったのだった
触れた手は焼け爛れ、体は血を抜かれたように肉は削がれ、骨と皮のようになった
顔も痩せこけ、まるで老婆のようだ
それに気づいたアリアは、自分の体を抱きしめ隠すようにして叫んだ
『何、この姿…嘘よ!
こんなの、私じゃないわ…!』
声も凛とした声ではなく、掠れた声だった
アリアは二人に攻撃する気力もなく、自分自身の容姿が変わったことに衝撃を受けているようだった
何度も、今の自分の容姿を否定しては叫ぶ
現実逃避のようだ
樹は今のアリアの容姿に驚きながらも、彼女が今までしてきた行為の報いが、返ってきたのだとそう思い、慈悲の心など持ち合わせることはなかった
陽菜の方へ視線を向けると、驚きながらもその様子を目を背けるとはなかった
そんな視線に気付いたのか、憎悪の目で俺たちを見る
『あと少しで…喰らえたのに!
お前達のせいだ…私の美しさを返せ!』
歩く力もないのだろう、叫ぶことしかできず
体を引きずるようにゆっくりとこちらに進もうとしてきた
『人のせいにするな、お前が俺にやってきた
行為が自分に返ってきたんだ
自分だけが正しいと思うな』
啖呵を切り、空間がまた歪んだ
雷鳴は鳴り止んだが、暗闇は拭えなかった
そして突然中央に池のようなものが実現した
その池は禍々しさを漂わせている
周りには骸骨や、人ならずものが助けを求めるような叫び声が響いた
その中から眩い光が開き、誰かが現れた
長髪の黒い髪を靡かせ、髪から際立たせるような尖った耳
額からは角のようなものが、鋭く2本生えていて
その瞳は、漆黒のような黒い瞳でこちらを見据えているように見え、威圧感にも溢れていた
急に見知らぬ人物が溢れ、唖然してしまう
それを気にせず、長髪の男はアリアへと足を向けた
アリアは怯えるように、その男にひざまづいた
『アリア、何か申し開きはあるか』
『サ、サタン様…お許しください
もう、このような事を致しませんから
私の容姿を、返してくださいませ』
アリアは縋るように、長髪の男、サタンに懇願していた
彼がサタン、悪魔の王
彼の存在感が納得させられた
その名にふさわしい容姿をしていると身を持って知った
『俺はお前に言ったよな、おいたが過ぎると
しばらく大人しかったようだが
それも束の間だったようだ』
二人に目線を一瞬置き、少し間を置いてサタンは問う
『アリア、なぜこの俺が悪魔界に掟を
作ったのかわかるか?』
アリアは言葉にできず、体を震わせるだけで頭を上げようともしなかった
だがサタンは強引に、彼女の頭を上げさせ逃げられないように視線を自分に固定させた
そして言葉を紡がせるようにして再度問う
『アリア、俺の言葉聞こえているよな?』
彼の言葉には力がこもっていた
断じて拒否は許されないと
『あ、貴方様が悪魔界を統べるものですから
当然の…ことかと』
震える声で彼女は言葉を選びながら答える
その答えで全てが変わるかもしれないのだから
それは、サタン次第だが
『そうか、そうとも考えられるかも
知れないな』
不敵な笑みを浮かべて、サタンは語る
『俺が掟を作ったのは、逆らうことを
できなくする為
俺は悪魔の王だ、そんな俺に逆らおうと思
う奴はいなかったな、恐ろしいからだろう
だがお前はこの俺に反抗的だったな
よっぽど俺のことを見下していると
見える』
そして彼は決断を下す 悪魔の支配者らしく
『掟に従えず、逆らったお前に
慈悲をというものを俺は持ち合わせて
いない
よってお前は永遠にその姿のまま
地獄とも呼べる時を過ごすがいい』
アリアは絶望し、絶叫した
その声は、耳よりも心が痛むような声音だった
だが、彼女に手を差し伸べ許してはいけない
彼女はそれほどのことをしたのだから
邪悪な空気が漂う
雷鳴が漂い、陽菜は耳を塞ぐ
俺は翼で陽菜に危害を加えられないように警戒をぬるめなかった
樹とアリアは睨め合う
一瞬の隙も油断できない状況だ
樹の頬から少し汗が滴り落ちる
それが合図だったのだろうか、アリアは陽菜の方へと手を伸ばし魂を刈り取られる、はずだった
アリアが陽菜に触れた途端、その美貌が崩れていったのだった
触れた手は焼け爛れ、体は血を抜かれたように肉は削がれ、骨と皮のようになった
顔も痩せこけ、まるで老婆のようだ
それに気づいたアリアは、自分の体を抱きしめ隠すようにして叫んだ
『何、この姿…嘘よ!
こんなの、私じゃないわ…!』
声も凛とした声ではなく、掠れた声だった
アリアは二人に攻撃する気力もなく、自分自身の容姿が変わったことに衝撃を受けているようだった
何度も、今の自分の容姿を否定しては叫ぶ
現実逃避のようだ
樹は今のアリアの容姿に驚きながらも、彼女が今までしてきた行為の報いが、返ってきたのだとそう思い、慈悲の心など持ち合わせることはなかった
陽菜の方へ視線を向けると、驚きながらもその様子を目を背けるとはなかった
そんな視線に気付いたのか、憎悪の目で俺たちを見る
『あと少しで…喰らえたのに!
お前達のせいだ…私の美しさを返せ!』
歩く力もないのだろう、叫ぶことしかできず
体を引きずるようにゆっくりとこちらに進もうとしてきた
『人のせいにするな、お前が俺にやってきた
行為が自分に返ってきたんだ
自分だけが正しいと思うな』
啖呵を切り、空間がまた歪んだ
雷鳴は鳴り止んだが、暗闇は拭えなかった
そして突然中央に池のようなものが実現した
その池は禍々しさを漂わせている
周りには骸骨や、人ならずものが助けを求めるような叫び声が響いた
その中から眩い光が開き、誰かが現れた
長髪の黒い髪を靡かせ、髪から際立たせるような尖った耳
額からは角のようなものが、鋭く2本生えていて
その瞳は、漆黒のような黒い瞳でこちらを見据えているように見え、威圧感にも溢れていた
急に見知らぬ人物が溢れ、唖然してしまう
それを気にせず、長髪の男はアリアへと足を向けた
アリアは怯えるように、その男にひざまづいた
『アリア、何か申し開きはあるか』
『サ、サタン様…お許しください
もう、このような事を致しませんから
私の容姿を、返してくださいませ』
アリアは縋るように、長髪の男、サタンに懇願していた
彼がサタン、悪魔の王
彼の存在感が納得させられた
その名にふさわしい容姿をしていると身を持って知った
『俺はお前に言ったよな、おいたが過ぎると
しばらく大人しかったようだが
それも束の間だったようだ』
二人に目線を一瞬置き、少し間を置いてサタンは問う
『アリア、なぜこの俺が悪魔界に掟を
作ったのかわかるか?』
アリアは言葉にできず、体を震わせるだけで頭を上げようともしなかった
だがサタンは強引に、彼女の頭を上げさせ逃げられないように視線を自分に固定させた
そして言葉を紡がせるようにして再度問う
『アリア、俺の言葉聞こえているよな?』
彼の言葉には力がこもっていた
断じて拒否は許されないと
『あ、貴方様が悪魔界を統べるものですから
当然の…ことかと』
震える声で彼女は言葉を選びながら答える
その答えで全てが変わるかもしれないのだから
それは、サタン次第だが
『そうか、そうとも考えられるかも
知れないな』
不敵な笑みを浮かべて、サタンは語る
『俺が掟を作ったのは、逆らうことを
できなくする為
俺は悪魔の王だ、そんな俺に逆らおうと思
う奴はいなかったな、恐ろしいからだろう
だがお前はこの俺に反抗的だったな
よっぽど俺のことを見下していると
見える』
そして彼は決断を下す 悪魔の支配者らしく
『掟に従えず、逆らったお前に
慈悲をというものを俺は持ち合わせて
いない
よってお前は永遠にその姿のまま
地獄とも呼べる時を過ごすがいい』
アリアは絶望し、絶叫した
その声は、耳よりも心が痛むような声音だった
だが、彼女に手を差し伸べ許してはいけない
彼女はそれほどのことをしたのだから
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