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第一話 優しい日常
第一話 一〇
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そうして四半刻の道のりを半刻ほどかけて進むと、いよいよ町の入り口が見えてきた。
大門の先には広い大路が敷かれていて、路の左右に商店が軒を連ねている。老若男女問わずたくさんの人が路を行き交い、威勢の良い声が飛び交っていた。
呆然と大門を見上げる夜桜の横を数人の子どもたちが駆け抜けていった。
「すごいわ……」
「はぐれないように気をつけてね」
「は、はい」
夜桜は緊張しながら大門をくぐり、落ち着かなげにあたりを見回した。食材を扱う店、小間物や反物を売る店、食事を提供する店など多くの店がある。
隣で紫苑が小さく笑う気配がした。
「な、何かおかしかったですか?」
「おかしいというか、あなたの反応が素直だったから、つい。こんなに楽しそうにしてくれるなら、もう少し早く町へ案内すれば良かったかも。どこか行きたいところはある?」
「それなら……」
夜桜が興味を示した店を紫苑はどんな店か説明し、案内してくれた。
そしてあっという間に一刻が経過した。午の刻を報せる鐘が鳴る。
「そろそろお昼ご飯にしようか。希望はある?」
「そうですね……。では紫苑さんのおすすめはありますか?」
夜桜がぱっと思いついた案を口にすれば、紫苑は少し悩んだあと「だったら……」と大路の先へと向かった。
いくらも歩かないうちに到着したのはまだ新しそうな蕎麦屋だった。夜桜と紫苑が暖簾をくぐると「いらっしゃい!」という元気な声が飛んでくる。
「こんにちは、大将」
「お、渡良瀬くんじゃねえか」
紫苑が大将と呼んだ中年の男性は、紫苑を目にするとにっかりと笑う。それから紫苑の後ろできょろきょろと店内を眺めている夜桜の存在に気がつくと、目を丸くした。
「ずいぶんな別嬪さんじゃねえか。まさか渡良瀬くんの嫁さんか?」
「へ?」
大将の視線が自分に向いていることにようやく気づいた夜桜は間抜けな声をあげた。
夜桜くらいの女性であればとうに結婚していてもおかしな年齢ではない。だから大将が勘違いするのも無理からぬ話ではあったが、夜桜は困惑に目を瞬かせた。
(傍から見たら夫婦に見えるのかしら……。私はともかく、それでは紫苑さんを困らせるのでは……)
夜桜は否定しようと口を開きかけるが、先に声に出したのは紫苑の方だった。
「違う。僕はともかく、彼女が困ってる」
「なんだ、違ったか。悪い悪い」
大して悪びれた様子もなく謝る大将に紫苑は呆れたため息を吐くと、ほどほどに混雑している店内に空いている席を見つけ、夜桜を案内した。
「ここにはよく来るんですか?」
「うん。早いし安いし美味しいから」
紫苑は既に何を注文するか決めているらしく、手に取った品書きをそのまま夜桜に手渡す。お礼を言って受け取った夜桜は、品書きとにらめっこをして「これにします」ときつね蕎麦を指さした。
紫苑は店員を呼ぶとざる蕎麦ときつね蕎麦を一つずつ注文した。
「この後はどうしようか」
「紫苑さんの行きたいところはないんですか」
午前中は夜桜の行きたい店に付き合ってもらった。町も既に十分楽しめたので、もし紫苑に用事があるならそれを済ませた方がいいだろう。
「行きたいところ……」
「食材の買い出しとか。そろそろ干物がなくなりそうでしたが……」
「そうなんだ。じゃあそれを買いに行くのと、花屋に寄ってもいい?」
「はい」
ちょうどそのとき注文した蕎麦が二つとも運ばれてきた。
紫苑の言った通り、早くて美味しい蕎麦だった。
昼食後、夜桜と紫苑は来た道を戻り、干物を扱う店を目指した。そうしてたどり着いたのは比較的新しそうな干物屋だった。
「いつもここで買い付けているんですか」
「ううん、いつもは違うところ。たまには店を変えてみるのもいいかと思って」
紫苑が店内の商品を眺め出したので、夜桜も視線を巡らせる。
これまでの献立を思い出しながらどれにしようか考える。
(あれは安いけれど二日前に出したばかりだし、こっちは珍しいけれど少し高いわ……)
商品を比べて候補を絞っていったところで夜桜は紫苑にも意見を求めようと、ぱっと振り向いた。
「紫苑さんは……」
思いがけずばっちりと目が合って、夜桜は続けるはずだった言葉を飲みこんだ。
紫苑は慈しむようでいて寂しそうな目をして夜桜の後ろ姿を見ていたようだった。しかし、それも彼が瞬きすることですっと消えてしまった。
「うん、どうしたの?」
普段と変わらない調子で紫苑が尋ねる。だから夜桜も何も気づかなかったことにして「これとあれ、どちらがいいか訊こうと思ったんです」といつもの調子で答えた。
「なら、どっちも買っていこう。そんなに高くないし、干物ならそうそう傷まないし」
干物を買って、次の目的地である花屋に向かう。
「庭にもたくさんのお花がありますよね。まだ増やすのですか」
「庭にはない切り花がほしいから」
庭は確かにたくさんの庭木や草花で彩られているが、この世全ての花があるわけではない。庭の花を切り花にしてもいいが、あえて庭にはない花を買って飾るというのも良いだろう。
「あなたは、何がいいと思う?」
「そうですね……」
夜桜の脳裏に、庭の光景と書から得た知識が思い浮かぶ。
(庭にはなくて、切り花に適している春の花といえば……)
「麝香連理草はどうでしょう?」
白色や薄桃色の薄くてひらひらした花びらが特徴の麝香連理草が、柔らかな春のそよ風にふわふわと揺れる様を想像する。儚くも優しげなその花は春にぴったりだと思う。
紫苑も頬を緩めて「いいね」と頷いた。
二人は花屋で薄桃色の麝香連理草を買って、そのまま帰路につくことにした。
最初こそ緊張していた夜桜だったが、いつの間にか町での買い物を楽しんでいた。時間はあっという間に過ぎていき、時刻は申の刻を超えたところだ。
来た時とは反対方向に大門をくぐり抜け、畑の間のあぜ道を歩く。遠くの林から烏の鳴き声が耳に届き、橙色を湛える大きな夕陽が二人の影を長く映し出した。
「今日はありがとうございました。とても楽しかったです」
心なしかいきいきとした顔で夜桜が告げると、紫苑はほろ苦く微笑んだ。
「あなたが楽しめたなら、なにより。一日中歩き回ったけど、疲れてない?」
「はい、大丈夫です。記憶を失う前の私がどんな生活を送っていたかはわかりませんが、体力はあるみたいです」
「……そう、なんだ」
それからしばらくの沈黙が降りる。次に口を開いたのは紫苑だった。
「今日の夕飯は何がいい? 仕事のある日はあなたに任せきりだから、今日は僕がやるよ」
「それだと私の仕事がなくなってしまいます」
身を置いてもらえるだけでも有難いのにそこまで甘えられない。夜桜が困ったように呟けば、紫苑は「じゃあ」と柔らかに目を細めた。
「二人でやろう。その方が効率もいいし、楽しいから」
「はい……!」
まもなく眼前に竹林が現れる。そこを抜ければ家はもうすぐだ。
自分に向き合って過去の記憶を取り戻し、紫苑の優しさに報いたいという思いは今も変わっていない。けれども心穏やかな毎日を送っていると、ずっとこんな日が続けばいいのにとも思ってしまう。記憶を取り戻した夜桜がどんな選択をするかは未知数だが、いつまでも紫苑と暮らし続ける可能性は低いだろう。
(でも、だからこそ……今を大事に生きましょう)
過去の記憶をほとんど持たない夜桜は、心からそう思った。
大門の先には広い大路が敷かれていて、路の左右に商店が軒を連ねている。老若男女問わずたくさんの人が路を行き交い、威勢の良い声が飛び交っていた。
呆然と大門を見上げる夜桜の横を数人の子どもたちが駆け抜けていった。
「すごいわ……」
「はぐれないように気をつけてね」
「は、はい」
夜桜は緊張しながら大門をくぐり、落ち着かなげにあたりを見回した。食材を扱う店、小間物や反物を売る店、食事を提供する店など多くの店がある。
隣で紫苑が小さく笑う気配がした。
「な、何かおかしかったですか?」
「おかしいというか、あなたの反応が素直だったから、つい。こんなに楽しそうにしてくれるなら、もう少し早く町へ案内すれば良かったかも。どこか行きたいところはある?」
「それなら……」
夜桜が興味を示した店を紫苑はどんな店か説明し、案内してくれた。
そしてあっという間に一刻が経過した。午の刻を報せる鐘が鳴る。
「そろそろお昼ご飯にしようか。希望はある?」
「そうですね……。では紫苑さんのおすすめはありますか?」
夜桜がぱっと思いついた案を口にすれば、紫苑は少し悩んだあと「だったら……」と大路の先へと向かった。
いくらも歩かないうちに到着したのはまだ新しそうな蕎麦屋だった。夜桜と紫苑が暖簾をくぐると「いらっしゃい!」という元気な声が飛んでくる。
「こんにちは、大将」
「お、渡良瀬くんじゃねえか」
紫苑が大将と呼んだ中年の男性は、紫苑を目にするとにっかりと笑う。それから紫苑の後ろできょろきょろと店内を眺めている夜桜の存在に気がつくと、目を丸くした。
「ずいぶんな別嬪さんじゃねえか。まさか渡良瀬くんの嫁さんか?」
「へ?」
大将の視線が自分に向いていることにようやく気づいた夜桜は間抜けな声をあげた。
夜桜くらいの女性であればとうに結婚していてもおかしな年齢ではない。だから大将が勘違いするのも無理からぬ話ではあったが、夜桜は困惑に目を瞬かせた。
(傍から見たら夫婦に見えるのかしら……。私はともかく、それでは紫苑さんを困らせるのでは……)
夜桜は否定しようと口を開きかけるが、先に声に出したのは紫苑の方だった。
「違う。僕はともかく、彼女が困ってる」
「なんだ、違ったか。悪い悪い」
大して悪びれた様子もなく謝る大将に紫苑は呆れたため息を吐くと、ほどほどに混雑している店内に空いている席を見つけ、夜桜を案内した。
「ここにはよく来るんですか?」
「うん。早いし安いし美味しいから」
紫苑は既に何を注文するか決めているらしく、手に取った品書きをそのまま夜桜に手渡す。お礼を言って受け取った夜桜は、品書きとにらめっこをして「これにします」ときつね蕎麦を指さした。
紫苑は店員を呼ぶとざる蕎麦ときつね蕎麦を一つずつ注文した。
「この後はどうしようか」
「紫苑さんの行きたいところはないんですか」
午前中は夜桜の行きたい店に付き合ってもらった。町も既に十分楽しめたので、もし紫苑に用事があるならそれを済ませた方がいいだろう。
「行きたいところ……」
「食材の買い出しとか。そろそろ干物がなくなりそうでしたが……」
「そうなんだ。じゃあそれを買いに行くのと、花屋に寄ってもいい?」
「はい」
ちょうどそのとき注文した蕎麦が二つとも運ばれてきた。
紫苑の言った通り、早くて美味しい蕎麦だった。
昼食後、夜桜と紫苑は来た道を戻り、干物を扱う店を目指した。そうしてたどり着いたのは比較的新しそうな干物屋だった。
「いつもここで買い付けているんですか」
「ううん、いつもは違うところ。たまには店を変えてみるのもいいかと思って」
紫苑が店内の商品を眺め出したので、夜桜も視線を巡らせる。
これまでの献立を思い出しながらどれにしようか考える。
(あれは安いけれど二日前に出したばかりだし、こっちは珍しいけれど少し高いわ……)
商品を比べて候補を絞っていったところで夜桜は紫苑にも意見を求めようと、ぱっと振り向いた。
「紫苑さんは……」
思いがけずばっちりと目が合って、夜桜は続けるはずだった言葉を飲みこんだ。
紫苑は慈しむようでいて寂しそうな目をして夜桜の後ろ姿を見ていたようだった。しかし、それも彼が瞬きすることですっと消えてしまった。
「うん、どうしたの?」
普段と変わらない調子で紫苑が尋ねる。だから夜桜も何も気づかなかったことにして「これとあれ、どちらがいいか訊こうと思ったんです」といつもの調子で答えた。
「なら、どっちも買っていこう。そんなに高くないし、干物ならそうそう傷まないし」
干物を買って、次の目的地である花屋に向かう。
「庭にもたくさんのお花がありますよね。まだ増やすのですか」
「庭にはない切り花がほしいから」
庭は確かにたくさんの庭木や草花で彩られているが、この世全ての花があるわけではない。庭の花を切り花にしてもいいが、あえて庭にはない花を買って飾るというのも良いだろう。
「あなたは、何がいいと思う?」
「そうですね……」
夜桜の脳裏に、庭の光景と書から得た知識が思い浮かぶ。
(庭にはなくて、切り花に適している春の花といえば……)
「麝香連理草はどうでしょう?」
白色や薄桃色の薄くてひらひらした花びらが特徴の麝香連理草が、柔らかな春のそよ風にふわふわと揺れる様を想像する。儚くも優しげなその花は春にぴったりだと思う。
紫苑も頬を緩めて「いいね」と頷いた。
二人は花屋で薄桃色の麝香連理草を買って、そのまま帰路につくことにした。
最初こそ緊張していた夜桜だったが、いつの間にか町での買い物を楽しんでいた。時間はあっという間に過ぎていき、時刻は申の刻を超えたところだ。
来た時とは反対方向に大門をくぐり抜け、畑の間のあぜ道を歩く。遠くの林から烏の鳴き声が耳に届き、橙色を湛える大きな夕陽が二人の影を長く映し出した。
「今日はありがとうございました。とても楽しかったです」
心なしかいきいきとした顔で夜桜が告げると、紫苑はほろ苦く微笑んだ。
「あなたが楽しめたなら、なにより。一日中歩き回ったけど、疲れてない?」
「はい、大丈夫です。記憶を失う前の私がどんな生活を送っていたかはわかりませんが、体力はあるみたいです」
「……そう、なんだ」
それからしばらくの沈黙が降りる。次に口を開いたのは紫苑だった。
「今日の夕飯は何がいい? 仕事のある日はあなたに任せきりだから、今日は僕がやるよ」
「それだと私の仕事がなくなってしまいます」
身を置いてもらえるだけでも有難いのにそこまで甘えられない。夜桜が困ったように呟けば、紫苑は「じゃあ」と柔らかに目を細めた。
「二人でやろう。その方が効率もいいし、楽しいから」
「はい……!」
まもなく眼前に竹林が現れる。そこを抜ければ家はもうすぐだ。
自分に向き合って過去の記憶を取り戻し、紫苑の優しさに報いたいという思いは今も変わっていない。けれども心穏やかな毎日を送っていると、ずっとこんな日が続けばいいのにとも思ってしまう。記憶を取り戻した夜桜がどんな選択をするかは未知数だが、いつまでも紫苑と暮らし続ける可能性は低いだろう。
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