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第三話 欠落の二年間
第三話 五
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それから一年かけて、昴は北の地の再建に尽力した。その甲斐あって、ほぼ全壊だった町ももとの姿を取り戻しつつある。
当主としての責務を全うしながらも、幼なじみの昴としての願いを達成するための努力も怠らなかった。
結月と秋之介も、そんな昴に劣らないように任務に稽古、修行とできることは何でもやった。やがて、当主である父の力を大きく超えたことから、結月たちもまた正式に当主の座についた。とはいえやることはそう変わらない。当主の方が四神の加護を受けやすいから禅譲されたものの、当面はあかりの救出に専念できるように政務は引き受けてくれるそうだ。
そんな周囲の協力もあって、あかりの足取りがようやくつかめた。
「あかりちゃんは陰の国の艮にある牢に監禁されてるらしい」
「艮の結界っていったら、一年前の侵攻からずっと不安定なあそこだよな」
秋之介の言う通り、二年前は強固に閉ざされていたそこは、一年前の侵攻後、結界巡回で行ったときには一応閉ざされているものの少しでも力を加えたら開いてしまいそうなほど脆いものに変わっていた。遺った玄舞家の面々が結界を維持管理しているが、やはり人を失った分、完璧にとはいかないのが現状だった。
「周囲に遮蔽物がないらしいから、見つかるのを覚悟で乗り込むしかないけど。まあ、あかりちゃんを探す手間は省けそうで良かったともいえるね」
「それってさあ、誰情報?」
やけに詳しいなと思いながら秋之介が尋ねると、昴は爽やかな、しかし確実に腹黒さを含んだ笑みを返した。
「陰の国の式神使い。最近牢番から昇格したんだって話してくれたよ」
「話してくれた、ねえ……」
秋之介は腕をさすり、それ以上深追いしないことにした。もとより結月は聞くつもりがないようだったが、意思に関係なく耳に入っているであろうこの会話も聞こえないふりをするようだった。触らぬ神になんとやら。
「計画は大体立てたから、あとは準備だけ。特にゆづくんには先陣きってもらうからそのつもりでね」
「もちろん」
結月は胸元にあてた手を固く握りしめた。拳の下には例の符がある。それは今もなお、ほのかな温かさを宿していた。
当主としての責務を全うしながらも、幼なじみの昴としての願いを達成するための努力も怠らなかった。
結月と秋之介も、そんな昴に劣らないように任務に稽古、修行とできることは何でもやった。やがて、当主である父の力を大きく超えたことから、結月たちもまた正式に当主の座についた。とはいえやることはそう変わらない。当主の方が四神の加護を受けやすいから禅譲されたものの、当面はあかりの救出に専念できるように政務は引き受けてくれるそうだ。
そんな周囲の協力もあって、あかりの足取りがようやくつかめた。
「あかりちゃんは陰の国の艮にある牢に監禁されてるらしい」
「艮の結界っていったら、一年前の侵攻からずっと不安定なあそこだよな」
秋之介の言う通り、二年前は強固に閉ざされていたそこは、一年前の侵攻後、結界巡回で行ったときには一応閉ざされているものの少しでも力を加えたら開いてしまいそうなほど脆いものに変わっていた。遺った玄舞家の面々が結界を維持管理しているが、やはり人を失った分、完璧にとはいかないのが現状だった。
「周囲に遮蔽物がないらしいから、見つかるのを覚悟で乗り込むしかないけど。まあ、あかりちゃんを探す手間は省けそうで良かったともいえるね」
「それってさあ、誰情報?」
やけに詳しいなと思いながら秋之介が尋ねると、昴は爽やかな、しかし確実に腹黒さを含んだ笑みを返した。
「陰の国の式神使い。最近牢番から昇格したんだって話してくれたよ」
「話してくれた、ねえ……」
秋之介は腕をさすり、それ以上深追いしないことにした。もとより結月は聞くつもりがないようだったが、意思に関係なく耳に入っているであろうこの会話も聞こえないふりをするようだった。触らぬ神になんとやら。
「計画は大体立てたから、あとは準備だけ。特にゆづくんには先陣きってもらうからそのつもりでね」
「もちろん」
結月は胸元にあてた手を固く握りしめた。拳の下には例の符がある。それは今もなお、ほのかな温かさを宿していた。
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