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第六話 幸せはいつもそばに
第六話 一二
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和やかな昼食を終え、あかりたち一行は二つ目の目的地に向かった。行き先は東青川の中流にあるお社である。
道すがら見つけたりんご飴をあかりは左手に持っていた。右手ははぐれないように結月と繋いでいる。
歩みを進めるにつれ、川のせせらぐ音がはっきりと耳に届くようになってくる。やがて開けた視界には、澄んだ水の流れる東青川と多くの人、そして青いお社が映りこんだ。
「うっわ。ここもすげー人だな」
毎年のことであっても秋之介が驚くほどには混雑している。
四人はなんとかお社が拝める位置まで達すると、そこから詣でた。
(青柳様、いつもありがとうございます。皆にご加護をお与えください。東の地が平穏であり続けますように)
最後まで祈っていた結月を待ってから、あかりたちはその場を後にした。
三つ目の目的地である南朱湖へと歩を進めながら、あかりはひょいと結月の顔を覗き込んだ。かちりと青い瞳と目が合う。
「どうしたの?」
「んー? 結月は熱心に何を祈ってたのかなって」
すると結月はさらりと答えた。
「日頃の感謝」
「ゆづは本当に真面目だよなー」
話を聞いていたらしい秋之介が感嘆のため息を吐く。
「そういう秋は何を祈ったの?」
「俺? 昨年はありがとう。今年はいいこといっぱいありますようにーって感じだな」
「秋くんらしいね」
昴は苦笑いを浮かべていたが特に追及はしなかった。
参詣では神への感謝を述べることが陽の国においては理想とされている。四家の当主としては秋之介の対応は満点とは言い難いのだが、神にも縋りたい現状を鑑みれば非難もできない。
「じゃあ、昴は?」
「僕も感謝とかを伝えたよ」
「『とか』ってなんだよ、『とか』って」
秋之介が半眼で昴を見遣るが、昴は笑顔を絶やさずに「うん? 何だと思う?」と問いを問いで返した。どうやら教える気はなさそうだ。
「あかりは、何をお祈りしたの?」
結月が訊いたことで、三人の視線が一斉にあかりに注がれる。あかりは心の内で祈念したことをそのまま伝えた。
「玄舞様と青柳様にちゃんと届いてるといいな」
「きっと、届いてる」
「うん。僕もそう思うよ」
結月と昴がそういうならきっとそうなのだろう。あかりは大きく頷いた。
道すがら見つけたりんご飴をあかりは左手に持っていた。右手ははぐれないように結月と繋いでいる。
歩みを進めるにつれ、川のせせらぐ音がはっきりと耳に届くようになってくる。やがて開けた視界には、澄んだ水の流れる東青川と多くの人、そして青いお社が映りこんだ。
「うっわ。ここもすげー人だな」
毎年のことであっても秋之介が驚くほどには混雑している。
四人はなんとかお社が拝める位置まで達すると、そこから詣でた。
(青柳様、いつもありがとうございます。皆にご加護をお与えください。東の地が平穏であり続けますように)
最後まで祈っていた結月を待ってから、あかりたちはその場を後にした。
三つ目の目的地である南朱湖へと歩を進めながら、あかりはひょいと結月の顔を覗き込んだ。かちりと青い瞳と目が合う。
「どうしたの?」
「んー? 結月は熱心に何を祈ってたのかなって」
すると結月はさらりと答えた。
「日頃の感謝」
「ゆづは本当に真面目だよなー」
話を聞いていたらしい秋之介が感嘆のため息を吐く。
「そういう秋は何を祈ったの?」
「俺? 昨年はありがとう。今年はいいこといっぱいありますようにーって感じだな」
「秋くんらしいね」
昴は苦笑いを浮かべていたが特に追及はしなかった。
参詣では神への感謝を述べることが陽の国においては理想とされている。四家の当主としては秋之介の対応は満点とは言い難いのだが、神にも縋りたい現状を鑑みれば非難もできない。
「じゃあ、昴は?」
「僕も感謝とかを伝えたよ」
「『とか』ってなんだよ、『とか』って」
秋之介が半眼で昴を見遣るが、昴は笑顔を絶やさずに「うん? 何だと思う?」と問いを問いで返した。どうやら教える気はなさそうだ。
「あかりは、何をお祈りしたの?」
結月が訊いたことで、三人の視線が一斉にあかりに注がれる。あかりは心の内で祈念したことをそのまま伝えた。
「玄舞様と青柳様にちゃんと届いてるといいな」
「きっと、届いてる」
「うん。僕もそう思うよ」
結月と昴がそういうならきっとそうなのだろう。あかりは大きく頷いた。
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