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第一一話 夏のひととき
第一一話 七
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梅雨が明けると途端に毎日太陽が顔を出すようになった。雄大な青空に真っ白な雲、輝く太陽、蝉の鳴き声と、夏らしいこの光景が好きで、ほとんど毎日あかりは夏の香りを楽しんでいた。
そうして文月も終わりの日。
「今日も朝から暑いねぇ……」
食事用の部屋に向かうため、あかりと昴は並んで廊下を歩いていた。
「そうだね。でも私は夏が好きだよ?」
「あかりちゃんはそうだろうね。僕は暑いのは大の苦手だな……」
昴の声にいつもの覇気はない。連日の猛暑と重なる疲労からか心なしか昴の表情は優れないように思えた。あかりは眉を寄せると気づかわしげに昴を見遣った。
「昴、大丈夫? ちゃんと休めてないんじゃないの?」
昴は「そうだね……」と苦笑いを浮かべた。
「熱帯夜が続くからよく眠れないんだよね」
「そうなの? あ、私が子守歌歌ってあげようか?」
あかりの言霊の力を使えばただの子守歌も有効な睡眠導入になると思っての提案だったが、昴は首を振った。
「気持ちだけ受け取っておくよ」
「そう?」
話しているうちに目的の部屋に着いた。いつもの席に座り、二人は向かい合って食事を共にする。その少し後に隣の席に玄舞家に仕える青年がやって来た。
「あっ! おはよう、清忠さん」
「おはよう」
「おはようございます、昴様、あかり様」
あかりの元気いっぱいの笑顔に、清忠は品良く微笑み返した。
清忠が着席する傍らで、あかりは再び箸を動かしたが、昴は箸を置いてしまった。
「昴、もう食べないの?」
「うーん、今日はね。暑さに参ってるのかも」
「ちゃんと食べないと倒れちゃうよ。いつもは昴が私に言ってるじゃない」
「……そう、だね」
昴は頷くとゆっくりと箸を手に取った。
あかりは隣に座る清忠と顔を見合わせた。あかりと同様に清忠も心配そうな表情をしていた。しかし、いつもならその気配に敏感に気づく昴にそんな様子は見られない。
朝、会ってからの一連の昴の様子はどこかいつもと違っていた。
「ねえ、昴。今日は休んだら?」
「あかり様のおっしゃる通りです。今日の昴様は見ていて心配になります」
昴は顔を上げると目を瞬いた。そしてふっと曖昧に笑った。
「大丈夫だよ。それにやることはたくさんあるから休んでいられないよ」
その微笑には確かに疲れが滲んでいたが、頑固な昴のこと。あかりはそれ以上何も言えず、再度清忠と顔を見合わせては途方に暮れた。
そうして文月も終わりの日。
「今日も朝から暑いねぇ……」
食事用の部屋に向かうため、あかりと昴は並んで廊下を歩いていた。
「そうだね。でも私は夏が好きだよ?」
「あかりちゃんはそうだろうね。僕は暑いのは大の苦手だな……」
昴の声にいつもの覇気はない。連日の猛暑と重なる疲労からか心なしか昴の表情は優れないように思えた。あかりは眉を寄せると気づかわしげに昴を見遣った。
「昴、大丈夫? ちゃんと休めてないんじゃないの?」
昴は「そうだね……」と苦笑いを浮かべた。
「熱帯夜が続くからよく眠れないんだよね」
「そうなの? あ、私が子守歌歌ってあげようか?」
あかりの言霊の力を使えばただの子守歌も有効な睡眠導入になると思っての提案だったが、昴は首を振った。
「気持ちだけ受け取っておくよ」
「そう?」
話しているうちに目的の部屋に着いた。いつもの席に座り、二人は向かい合って食事を共にする。その少し後に隣の席に玄舞家に仕える青年がやって来た。
「あっ! おはよう、清忠さん」
「おはよう」
「おはようございます、昴様、あかり様」
あかりの元気いっぱいの笑顔に、清忠は品良く微笑み返した。
清忠が着席する傍らで、あかりは再び箸を動かしたが、昴は箸を置いてしまった。
「昴、もう食べないの?」
「うーん、今日はね。暑さに参ってるのかも」
「ちゃんと食べないと倒れちゃうよ。いつもは昴が私に言ってるじゃない」
「……そう、だね」
昴は頷くとゆっくりと箸を手に取った。
あかりは隣に座る清忠と顔を見合わせた。あかりと同様に清忠も心配そうな表情をしていた。しかし、いつもならその気配に敏感に気づく昴にそんな様子は見られない。
朝、会ってからの一連の昴の様子はどこかいつもと違っていた。
「ねえ、昴。今日は休んだら?」
「あかり様のおっしゃる通りです。今日の昴様は見ていて心配になります」
昴は顔を上げると目を瞬いた。そしてふっと曖昧に笑った。
「大丈夫だよ。それにやることはたくさんあるから休んでいられないよ」
その微笑には確かに疲れが滲んでいたが、頑固な昴のこと。あかりはそれ以上何も言えず、再度清忠と顔を見合わせては途方に暮れた。
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