【本編完結】朱咲舞う

南 鈴紀

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第一三話 守りたいもの

第一三話 五

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任務に向かう三人を見送ってから、あかりも南朱湖へと出かけた。
  玄舞門を潜り、そのまま南下する。
(昴は何を考えてるのかな……?)
 先ほどの出がけに昴の様子をうかがってみたが、やはりどこかよそよそしい感じが拭えなかった。避けられているようではないが、どこか落ち着かない気持ちになりながらあかりは熟考する。
  あかりには昴のように難しいことを考えることはできない。けれど昴は一度懐に入れた者には親身になってくれる優しさがある。それが幼なじみに対してならなおさらだということもあかりにはわかっていた。
(多分だけど、昴は今も後悔してる)
  あかりを戦いの場に赴かせたこと。守ると約束したのに守りきれなかったこと。ようやく目覚めたのに声を失ったままであること。
  昴はそれらすべての責任を昴自身の至らなさが原因だと考えているのだろう。
(そんなことないのに)
 昴のように自罰的になるわけではないが、今回のことはあかりに責任があると思っている。むしろ昴はあかりを傷つけまいと、守ろうと必死になってくれた。その努力を無に帰したのはあかりの方だというのに。
 いつしか風景は建物の並ぶ整った大路ではなく、殺風景なものに変わっていた。南の地に入ったのだ。見通しの良すぎる朱咲大路からは遠くの正面に南朱湖が望めた。
 胸の内を吐き出したくて、あかりの歩は無意識に速まった。
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