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第一三話 守りたいもの
第一三話 六
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そうしてたどり着いた南朱湖は今日も穏やかに秋空の青を反射していた。
ここ数日のうちにすっかり見慣れた風景を目にすると、あかりのざわついていた心も自然と落ち着いていった。心の内に靄となってわだかまっていた感情が少しだけ解けて、言葉に変わる。
(みんな……。私、どうしたらいいのかな?)
どれだけ考えても昴の心情がわからないことがもどかしい。声を失い、言霊も扱えないために皆の力になれないことが悔しい。
(どうして私はこんなにも無力なんだろう……)
普段は抑えこめていた弱音が南朱湖を前にするとぽろぽろと零れ落ち、静かな湖面がそれらを受け止めた。
肝心なときに自分には力が足りない。もっと自分が強ければ今幼なじみたちの隣に立って戦えていたかもしれないし、昴を追い詰めることもなかったはずだ。
守りたいものを守るために、自分は戦わなくてはいけない。
それは朱咲家に定められた責務であり、御上からの勅命であり、なによりあかりの本心だった。
あかりにとって戦わずして自分だけ安穏と過ごすことはもとより考えの内に入っていない。そのせいで昴の隠された葛藤に気づけずにいるのもまた道理だ。まさか「戦ってほしくない」などと思われているとはあかりは露ほども考えていないのだった。
凪いだ水面に映る自身の顔がはっきりと見て取れた。晴れない顔を目にして、あかりはため息をもらした。
「悩み事ですか?」
「……っ⁉」
普段なら背後の気配に気づかないことなどないのだが、物思いに耽っていたので完全に不意打ちだった。驚きのあまり、息が詰まりそうになる。警戒しつつばっと振り返ると、そこには意外過ぎる人物が佇んでいた。
ここ数日のうちにすっかり見慣れた風景を目にすると、あかりのざわついていた心も自然と落ち着いていった。心の内に靄となってわだかまっていた感情が少しだけ解けて、言葉に変わる。
(みんな……。私、どうしたらいいのかな?)
どれだけ考えても昴の心情がわからないことがもどかしい。声を失い、言霊も扱えないために皆の力になれないことが悔しい。
(どうして私はこんなにも無力なんだろう……)
普段は抑えこめていた弱音が南朱湖を前にするとぽろぽろと零れ落ち、静かな湖面がそれらを受け止めた。
肝心なときに自分には力が足りない。もっと自分が強ければ今幼なじみたちの隣に立って戦えていたかもしれないし、昴を追い詰めることもなかったはずだ。
守りたいものを守るために、自分は戦わなくてはいけない。
それは朱咲家に定められた責務であり、御上からの勅命であり、なによりあかりの本心だった。
あかりにとって戦わずして自分だけ安穏と過ごすことはもとより考えの内に入っていない。そのせいで昴の隠された葛藤に気づけずにいるのもまた道理だ。まさか「戦ってほしくない」などと思われているとはあかりは露ほども考えていないのだった。
凪いだ水面に映る自身の顔がはっきりと見て取れた。晴れない顔を目にして、あかりはため息をもらした。
「悩み事ですか?」
「……っ⁉」
普段なら背後の気配に気づかないことなどないのだが、物思いに耽っていたので完全に不意打ちだった。驚きのあまり、息が詰まりそうになる。警戒しつつばっと振り返ると、そこには意外過ぎる人物が佇んでいた。
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