【本編完結】朱咲舞う

南 鈴紀

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第一三話 守りたいもの

第一三話 七

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 切りそろえられた滑らかな黄色の髪は美しい金糸のようで、空の陽光と湖の反射光を受けた黄色の瞳は聡明な光を湛えている。あかりよりも背の小さな彼は、しかしずっと大人びた雰囲気を醸し出していた。
(御上様……⁉)
 もとより大きな瞳をさらに見開いて驚愕するあかりを見て、司は満足そうににこりと笑んだ。
「お久しぶりです、あかりさん。話は聞いています。目覚めてくれて本当に良かった……」
 突然のことにあかりの頭はついていかない。ひたすらに慌てるあかりに、司は「そんなに畏まらないでください。今日はお忍びなので」と苦笑した。
 しばらくして落ち着きを取り戻したあかりは朱咲門の陰に司の護衛が少人数ついていることに気がついた。どうやら本当にお忍びらしい。
『どうしてここに?』
 あかりが紙を見せると、司はあかりを見上げて微笑んだ。
「貴女がここにいると聞いたので、会いに来ました」
『私に?』
「はい。……とても、心配していました」
柔らかな微笑みからは一転して、司は沈痛な面持ちで呟いた。
「勅命を下したのは他でもない余であるのに……」
  周囲は静かなため、司の小さな声はあかりの耳にもはっきり届いた。あかりは慌てて首を振ると、すばやく筆を走らせた。
『勅命を受けると決めたのは私です』
 しかし司の表情が明るくなることはなかった。司は小さく息を吐き出した。
「それでも余は卜占の結果を伝えるだけです。最終的に前線で戦うのは貴女たちだとわかっていて……。その上で心配しているなどと、虫の良すぎる話です」
『守りたいものを守るために私は戦っています。それは私の意思です』
  司は目を見開くとくすりと笑った。そこには微かな羨望が含まれているようだった。
「あかりさんは強いですね」
  その言葉にあかりは虚を突かれた。自分は強くなどない。今さっきまで落ち込んでいた理由もそれだったくらいだ。あかりは力なく首を左右に振った。
『私は強くないです。だから昴を困らせていて、みんなが戦っている今も私ひとりだけここにいるんです』
「昴さんが?」
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