【本編完結】朱咲舞う

南 鈴紀

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第一四話 交わす約束

第一四話 一〇

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 一通り話し終えたあかりの心はいくらか軽くなり、終始滲みかけていた視界はようやくはっきりと像を結べるようになった。
「少しは落ち着いた?」
 縁側に座り直した結月はあかりの右手を握り続けていてくれた。昔から変わらない、結月の左手はいつだってあかりの心に安らぎをもたらしてくれる。あかりが頷くと、結月はほっとしたように息を吐いた。
「きっと大丈夫なんて、安請け合いはできない。だけど、諦めない限りは希望を信じて良いと、おれは思う」
「……」
「治療に関してはおれにできることは、ほとんどない、けど。こうして話を聞くことくらいなら、いつでもできるから」
「……」
「だから、また頼ってくれたら、嬉しい」
 結月の紡ぐ一言一句があかりの胸に沁みわたる。そして言葉以上に今この瞬間にあかりの隣にいてくれることが、なによりあかりにとっての心の支えになっていた。
(私にとって大切な人が側にいてくれる。だから今も希望を信じられるんだよ、結月)
 きっと一人だったら耐えきれなかっただろう。
 心からの感謝を伝えるように、あかりは握られた右手にぎゅっと僅かに力をこめた。振り向いた結月は柔らかな笑みを湛え、小さく頷くのだった。
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