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第一五話 希望の声
第一五話 七
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夢を見た。
「いい、あかり? 力だけあっても意味がないの。想いをこめなくちゃ、私たちは朱咲様の加護をうまく扱えない」
どこかで聞いたことのある台詞に、小さい頃の記憶が夢となっていることに気づいた。あかりは俯瞰して母・まつりと五歳くらいのあかりを眺めていた。
(これは、そう。お母様に稽古をつけてもらっていたときの休憩時間で言われたことだわ)
母の言うことがなかなか理解できなくて苦しんだことで印象に残っていた。
幼いあかりは縁側に腰かけたまつりの膝の上に座っている。幼いあかりはそのままは首を傾げ、上向いた。
「ちからがあれば、つよいんじゃないの?」
まつりは「いいえ」と首を振った。
「言霊を力に変えるのには、自身の想いがなにより重要なのよ。強大な力を扱いたければなおのこと、それに応じた想いの強さが必要となるの」
「ええ? むずかしいよ、おかあさま」
「そうね、あかりにはまだ難しいかしら。でも覚えていてほしいの。この言葉がいつかあなたを助けるときが来るかもしれないから……」
まつりは悲しげに微笑むと、優しく慈しむような手つきであかりの頭を撫でた。
(お母様……)
夢の世界からゆっくりと意識が浮上する。寝起きのためかまだ思考がうまく働かないあかりには、母の手の温度がまだ残っているような気がした。名残惜しく思いながらまぶたを押し上げる。障子の向こうはまだ暗かったが、睦月中旬であること鑑みればそこまで早い時間でもない。おそらく時刻は卯の刻前だろう。つまるところ、あかりはいつもと同じくらいの時間に起床した。
(今日は寺子屋のお手伝いの日だったよね)
「あかり先生」と子どもたちに慕われることが嬉しくて、くすぐったい。あかりの朝支度の手も早まるというものだ。身支度を整えたあかりは意気揚々と食堂へ足を進めた。
「いい、あかり? 力だけあっても意味がないの。想いをこめなくちゃ、私たちは朱咲様の加護をうまく扱えない」
どこかで聞いたことのある台詞に、小さい頃の記憶が夢となっていることに気づいた。あかりは俯瞰して母・まつりと五歳くらいのあかりを眺めていた。
(これは、そう。お母様に稽古をつけてもらっていたときの休憩時間で言われたことだわ)
母の言うことがなかなか理解できなくて苦しんだことで印象に残っていた。
幼いあかりは縁側に腰かけたまつりの膝の上に座っている。幼いあかりはそのままは首を傾げ、上向いた。
「ちからがあれば、つよいんじゃないの?」
まつりは「いいえ」と首を振った。
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「ええ? むずかしいよ、おかあさま」
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まつりは悲しげに微笑むと、優しく慈しむような手つきであかりの頭を撫でた。
(お母様……)
夢の世界からゆっくりと意識が浮上する。寝起きのためかまだ思考がうまく働かないあかりには、母の手の温度がまだ残っているような気がした。名残惜しく思いながらまぶたを押し上げる。障子の向こうはまだ暗かったが、睦月中旬であること鑑みればそこまで早い時間でもない。おそらく時刻は卯の刻前だろう。つまるところ、あかりはいつもと同じくらいの時間に起床した。
(今日は寺子屋のお手伝いの日だったよね)
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