【本編完結】朱咲舞う

南 鈴紀

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第一八話 凶星の瞬き

第一八話 五

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 結月はあかりが開けたままにしていた戸をさらに広く開け、縁側に座ると隣を軽く叩いた。戸惑いながらあかりも結月の隣に腰を下ろす。
「小さい頃、よくこうした」
「あ……」
 結月の一言に思い出す。
 あかりが青柳家に泊まりに行ったとき、あるいは結月が朱咲家に泊まりに来たときのことだ。度々怖い夢をみて寝付けずにいるあかりを結月は縁側に誘い出すと、あかりが眠るまで隣にいてくれた。何かを話すときもあったし、お互いに無言で寄り添うだけのときもあった。いずれにせよ、それで幼いあかりは安眠していた。
 あかりは懐かしさに目を細めた。
「懐かしいなぁ」
 成長するにつれてぴったりくっついていた肩と体温は離れていき、夜中に会う回数も減っていった。当たり前だと納得する一方で、あかりはその変化を寂しくも感じていたのだった。
 星空を一緒に眺めたときともあかりが風邪をひいて弱っていたときとも状況が異なる今、結月の隣にいることはあかりに不思議な気持ちを与えた。
 近くにいると緊張するのに離れがたい。胸を打つ鼓動は痛いくらいなのにふわふわと心地良い。変化する関係に寂しさと切なさを感じる一方で、期待もある。
 二人の間を春の夜風が通り過ぎる。あかりが身震いすると、結月はおもむろに羽織りを脱ぎ、あかりを手招いた。
「あかり、もっとこっち寄って」
「う、うん」
 緊張に身を固くしながら、あかりは空けていた拳一つ分の距離を詰めた。結月の上腕にあかりの肩がぶつかり、そこからじんわりと体温を感じる。
 結月が手にしていた羽織を自分とあかりの肩にかけた。
 あかりはほうっと息を吐いた。胸の鼓動は速まるばかりだが、結月の隣は確かにあかりに安心感をもたらした。
 目を閉じ、あかりは結月の肩へ頭を預けた。
「ありがとね、結月」
「ううん。どう、少しは眠くなってきた?」
「うーん、どうだろう」
 あかりは小さく笑って答えた。閉じていたまぶたがほんの僅かに重くなる。けれどもここですぐに眠りに落ちてしまったらこの時間も終わってしまう。
(もうちょっとだけこのままでいたいなぁ)
 少しでもこの時間が長く続けばいいのにと、あかりはまどろみながら結月に話しかけることにした。
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