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第一八話 凶星の瞬き
第一八話 六
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「結月はいいの? こんな時間まで昴の家にいて。早朝からやることがたくさんあるんでしょ?」
「一晩くらい徹夜したって、平気。そんなことより、あかりのことの方が心配」
「心配、かぁ……」
あかりは目を開けると苦く笑った。
「私はいつも結月たちに心配かけてばっかりだよね。ごめんね」
「……あかりが心苦しく思う必要、ない。むしろ、心配させてほしい」
「え?」
思いがけない言葉に、あかりは結月の顔を振り仰いだ。欠けた月の明かりしかないが、青い瞳は真剣だということがわかった。
「迷惑だって思ったこと、一度もない。心配させてもらえないことの方が、ずっと寂しい。おれだけじゃない。昴も秋もきっと同じ」
「そう、なんだ……」
「そうだよ」
柔らかに細められた瞳は優しい色を宿していた。あかりの心の片隅でわだかまり、強張っていた思いがほどけていく。
「結月にはいつも助けてもらってる気がする」
「そう?」
「うん。辛いときは側に寄り添ってくれる。寂しいときは手を握ってくれる。苦しいときは優しい言葉をくれる。だから私は希望を信じられるし、笑顔を忘れずにいられるんだよ」
あかりが笑いかけると、結月は目を丸くした後淡く微笑んだ。
「そっか。だったら、おれと同じ」
「同じ?」
目を瞬かせるあかりを見つめて、結月は小さく笑った。
「あかりが笑ってくれるから、おれも希望を信じたいと思う。助けられてるのは、お互い様」
「……うん。きっとそうだね」
「一晩くらい徹夜したって、平気。そんなことより、あかりのことの方が心配」
「心配、かぁ……」
あかりは目を開けると苦く笑った。
「私はいつも結月たちに心配かけてばっかりだよね。ごめんね」
「……あかりが心苦しく思う必要、ない。むしろ、心配させてほしい」
「え?」
思いがけない言葉に、あかりは結月の顔を振り仰いだ。欠けた月の明かりしかないが、青い瞳は真剣だということがわかった。
「迷惑だって思ったこと、一度もない。心配させてもらえないことの方が、ずっと寂しい。おれだけじゃない。昴も秋もきっと同じ」
「そう、なんだ……」
「そうだよ」
柔らかに細められた瞳は優しい色を宿していた。あかりの心の片隅でわだかまり、強張っていた思いがほどけていく。
「結月にはいつも助けてもらってる気がする」
「そう?」
「うん。辛いときは側に寄り添ってくれる。寂しいときは手を握ってくれる。苦しいときは優しい言葉をくれる。だから私は希望を信じられるし、笑顔を忘れずにいられるんだよ」
あかりが笑いかけると、結月は目を丸くした後淡く微笑んだ。
「そっか。だったら、おれと同じ」
「同じ?」
目を瞬かせるあかりを見つめて、結月は小さく笑った。
「あかりが笑ってくれるから、おれも希望を信じたいと思う。助けられてるのは、お互い様」
「……うん。きっとそうだね」
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