261 / 388
第一八話 凶星の瞬き
第一八話 九
しおりを挟む
「ふたりは御上様に呼ばれて、今は中央御殿にいるよ」
「御上様からの……」
定期報告の役目がある昴以外、四家の者が司から指名され呼び出されることなど滅多にない。それこそ、あかりだって司に呼び立てられたのは一度だけだ。その一回は……。
(昨年、葉月に起こる何かに気をつけろって忠告いただけたん、だよ、ね……)
あかりはじわりと目を見開き、固まった。はっとして顔を上げると、昴ははっきりとした頷きを返した。
「あかりちゃんの考えてる通りだよ、多分ね」
「結月と秋之介にも何かが起こるっていうこと?」
「詳細は僕にも報されてないけど、そういうことだろうね。あかりちゃんは、ちょっと前に凶星が上ってることに気がついた?」
卯月に結月と見た凶星が思い出される。あかりが首肯すると、昴は続けた。
「そう。御上様はその凶星を卜占で視て、何かを知ったんだと思う」
「凶星ってことは、悪い報せってことだよね……」
「そうだね。しかも御上様の卜占は必ず当たるときたからね……」
二人の間に重い沈黙が降りる。
やっと天翔がいなくなったことを受け入れられ、悪夢からも解放されるようになり、心が穏やかになり始めた矢先にこれだ。
運命はどこまでもあかりたちを弄ぶが、あかりはそんな運命に立ち向かうともう決めたのだ。あかりは沈黙を破った。
「どんな良くないことが起こるかは知らないけど、私は諦めないでできることをして運命とだって戦うよ。私たちが心から笑い合える未来を手に入れるために」
あかりの視線は明るい未来を見据えているかのように真っ直ぐで、瞳には濁りも曇りもない。眩しいほどのきらめきを放つあかりの赤い瞳に、昴は目を細めた。
「言霊使いのあかりちゃんが言うなら、きっとそうなる気がするよ。うん、一緒に戦おう」
「うん、ありがとう、昴! よーし、そうと決まれば一刻も無駄にはできないね。結月と秋が来るまで二人で稽古して待ってよう」
昴は「そうだね」と小さく声を立てて笑った。
「御上様からの……」
定期報告の役目がある昴以外、四家の者が司から指名され呼び出されることなど滅多にない。それこそ、あかりだって司に呼び立てられたのは一度だけだ。その一回は……。
(昨年、葉月に起こる何かに気をつけろって忠告いただけたん、だよ、ね……)
あかりはじわりと目を見開き、固まった。はっとして顔を上げると、昴ははっきりとした頷きを返した。
「あかりちゃんの考えてる通りだよ、多分ね」
「結月と秋之介にも何かが起こるっていうこと?」
「詳細は僕にも報されてないけど、そういうことだろうね。あかりちゃんは、ちょっと前に凶星が上ってることに気がついた?」
卯月に結月と見た凶星が思い出される。あかりが首肯すると、昴は続けた。
「そう。御上様はその凶星を卜占で視て、何かを知ったんだと思う」
「凶星ってことは、悪い報せってことだよね……」
「そうだね。しかも御上様の卜占は必ず当たるときたからね……」
二人の間に重い沈黙が降りる。
やっと天翔がいなくなったことを受け入れられ、悪夢からも解放されるようになり、心が穏やかになり始めた矢先にこれだ。
運命はどこまでもあかりたちを弄ぶが、あかりはそんな運命に立ち向かうともう決めたのだ。あかりは沈黙を破った。
「どんな良くないことが起こるかは知らないけど、私は諦めないでできることをして運命とだって戦うよ。私たちが心から笑い合える未来を手に入れるために」
あかりの視線は明るい未来を見据えているかのように真っ直ぐで、瞳には濁りも曇りもない。眩しいほどのきらめきを放つあかりの赤い瞳に、昴は目を細めた。
「言霊使いのあかりちゃんが言うなら、きっとそうなる気がするよ。うん、一緒に戦おう」
「うん、ありがとう、昴! よーし、そうと決まれば一刻も無駄にはできないね。結月と秋が来るまで二人で稽古して待ってよう」
昴は「そうだね」と小さく声を立てて笑った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
8
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる