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第二一話 祈りの言霊
第二一話 九
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そうしてさらに歩を進めて南朱湖に着いた。
湖の側に設置されている献花台には今日も花や果物などが供えられている。あかりもそこに持っていた百合の花を供えると、湖に向き直って手を合わせ、目を瞑った。結月たちもあかりに倣う。
(みんな、私ね、一八歳の誕生日を迎えられたよ)
あかりは心の内で語りかける。
(今年もね、結月と秋と昴が一緒にお祝いしてくれて。それがすごく嬉しいの)
任務は常に危険と隣り合わせだ。何かが違っていたらあかりたちのうちの誰かはいなくなっていたかもしれない。しかし現実には四人が揃っていて、あかりはそれが幸運なことだと思っていた。
(本音を言えばみんなにもお祝いしてほしかったけど……。でも、今の私の姿を冥府から見守ってくれていたらそれで十分かな)
それからいつものように近況報告をして、(また来るね)と告げる。結月たちはすでに黙とうを捧げ終わっていて、少し離れたところからあかりのことを待っていた。
「おまたせ」
「ううん」
「伝えられたいことはちゃんと伝えられた?」
「うん」
「そんじゃ、遊びに行くか。つってもそろそろ昼時だからまずは昼飯か。あかりのことだからどうせもう腹減ってんだろ?」
「そうだけど、そう言いきられるのもなんか複雑!」
そうして四人は笑い合う。
南朱湖の上を爽やかな風が吹き抜けた。
湖の側に設置されている献花台には今日も花や果物などが供えられている。あかりもそこに持っていた百合の花を供えると、湖に向き直って手を合わせ、目を瞑った。結月たちもあかりに倣う。
(みんな、私ね、一八歳の誕生日を迎えられたよ)
あかりは心の内で語りかける。
(今年もね、結月と秋と昴が一緒にお祝いしてくれて。それがすごく嬉しいの)
任務は常に危険と隣り合わせだ。何かが違っていたらあかりたちのうちの誰かはいなくなっていたかもしれない。しかし現実には四人が揃っていて、あかりはそれが幸運なことだと思っていた。
(本音を言えばみんなにもお祝いしてほしかったけど……。でも、今の私の姿を冥府から見守ってくれていたらそれで十分かな)
それからいつものように近況報告をして、(また来るね)と告げる。結月たちはすでに黙とうを捧げ終わっていて、少し離れたところからあかりのことを待っていた。
「おまたせ」
「ううん」
「伝えられたいことはちゃんと伝えられた?」
「うん」
「そんじゃ、遊びに行くか。つってもそろそろ昼時だからまずは昼飯か。あかりのことだからどうせもう腹減ってんだろ?」
「そうだけど、そう言いきられるのもなんか複雑!」
そうして四人は笑い合う。
南朱湖の上を爽やかな風が吹き抜けた。
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