311 / 390
第二二話 重ねる約束
第二二話 八
しおりを挟む
「結月とずっと一緒にいたい。でも、それだけじゃなくて昴と秋とも一緒にいられたらなぁって思ってるんだよ。戦いのない世界で、今みたいに四人ずっと一緒にいたいの」
向ける想いの種類に違いはあれど、あかりにとって幼なじみ三人はかけがえのない大切な存在だ。戦いに危険はつきもので、大人になれば皆結婚することになるのだろう。それで多少関係性は変わるかもしれないが、幼なじみたちを失いたくはないと思うのだ。
「平和で笑顔があって幸せな日々が続く……。そんな未来を、結月と秋と昴と一緒に私は生きたいな」
「……うん。叶えよう、一緒に」
結月が静かに、けれども強い決意を奥に秘めて答えると、あかりは安心したように顔を緩ませて、やがて寝息を立て始めた。
良い夢が見られていると良いと願いながら、結月と秋之介はあかりに優しい視線を注ぐ。昴もふっと柔らかな眼差しであかりのことを見守っていたが、すぐに顔に影を落とした。
「どうした、昴?」
「……『雨が降ります。それが終わりの始まりでしょう』」
沈鬱な表情で昴がぽつりと呟く。
「『皆が失わないものなどないほどに戦いは激しくなります。特に』……」
昴は切ないほどに哀しい色を瞳に浮かべてあかりを見た。
「『あかりさん。彼女には悲痛な結末が待っています』」
「今の言葉、何?」
結月は鋭い眼差しで昴のことを射抜くようにじっと見つめる。昴はあかりから結月に視線を移すと黒の瞳の哀しい色をそのままに暗い表情で答えた。
「さっき御上様から伝えられた卜占の結果だよ」
「……『悲痛な結末』ってなんだよ。その言い方じゃまるで……」
過酷な運命に抗いきれないことに対する怒りを感じながら、秋之介が低い声で唸るように呟く。昴も「僕も同じことを訊いたよ」とやはり暗い声で返した。
「あかりちゃんが……亡くなる……可能性もあるけど、そうとも限らないらしい。運命はまだ変えられるから諦めてはいけないと言われたよ」
「……」
「……」
重苦しい空気が場を支配する。
あかりが三人を必要としているように、三人にとってもあかりは欠けてはいけない大切な幼なじみのひとりだ。あれだけ四人一緒にいたいと願うあかりにとって、今回の卜占の結果は彼女にどう映るのだろう。考えるだけで胸が抉られるように痛む。
あかりが聞いたなら「私なら大丈夫だよ。絶対に諦めないから」と強く微笑むのかもしれないが、その心の裏で大きな恐怖と戦うのだろうことは容易に想像がついた。
だから三人は顔を見合わせて頷き、誓い合う。
運命の思い通りにはさせない。絶対にあかりを守りぬくと。
向ける想いの種類に違いはあれど、あかりにとって幼なじみ三人はかけがえのない大切な存在だ。戦いに危険はつきもので、大人になれば皆結婚することになるのだろう。それで多少関係性は変わるかもしれないが、幼なじみたちを失いたくはないと思うのだ。
「平和で笑顔があって幸せな日々が続く……。そんな未来を、結月と秋と昴と一緒に私は生きたいな」
「……うん。叶えよう、一緒に」
結月が静かに、けれども強い決意を奥に秘めて答えると、あかりは安心したように顔を緩ませて、やがて寝息を立て始めた。
良い夢が見られていると良いと願いながら、結月と秋之介はあかりに優しい視線を注ぐ。昴もふっと柔らかな眼差しであかりのことを見守っていたが、すぐに顔に影を落とした。
「どうした、昴?」
「……『雨が降ります。それが終わりの始まりでしょう』」
沈鬱な表情で昴がぽつりと呟く。
「『皆が失わないものなどないほどに戦いは激しくなります。特に』……」
昴は切ないほどに哀しい色を瞳に浮かべてあかりを見た。
「『あかりさん。彼女には悲痛な結末が待っています』」
「今の言葉、何?」
結月は鋭い眼差しで昴のことを射抜くようにじっと見つめる。昴はあかりから結月に視線を移すと黒の瞳の哀しい色をそのままに暗い表情で答えた。
「さっき御上様から伝えられた卜占の結果だよ」
「……『悲痛な結末』ってなんだよ。その言い方じゃまるで……」
過酷な運命に抗いきれないことに対する怒りを感じながら、秋之介が低い声で唸るように呟く。昴も「僕も同じことを訊いたよ」とやはり暗い声で返した。
「あかりちゃんが……亡くなる……可能性もあるけど、そうとも限らないらしい。運命はまだ変えられるから諦めてはいけないと言われたよ」
「……」
「……」
重苦しい空気が場を支配する。
あかりが三人を必要としているように、三人にとってもあかりは欠けてはいけない大切な幼なじみのひとりだ。あれだけ四人一緒にいたいと願うあかりにとって、今回の卜占の結果は彼女にどう映るのだろう。考えるだけで胸が抉られるように痛む。
あかりが聞いたなら「私なら大丈夫だよ。絶対に諦めないから」と強く微笑むのかもしれないが、その心の裏で大きな恐怖と戦うのだろうことは容易に想像がついた。
だから三人は顔を見合わせて頷き、誓い合う。
運命の思い通りにはさせない。絶対にあかりを守りぬくと。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
退屈令嬢のフィクサーな日々
ユウキ
恋愛
完璧と評される公爵令嬢のエレノアは、順風満帆な学園生活を送っていたのだが、自身の婚約者がどこぞの女生徒に夢中で有るなどと、宜しくない噂話を耳にする。
直接関わりがなければと放置していたのだが、ある日件の女生徒と遭遇することになる。
《完結》悪役聖女
ヴァンドール
ファンタジー
聖女になり、王妃となるため十年間も教育を受けて来たのに蓋を開ければ妹が聖女の力を持っていて私はには聖女の力が無かった。そのため祖国を追放されて隣国へと旅立ったがそこで……
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
竜皇女と呼ばれた娘
Aoi
ファンタジー
この世に生を授かり間もなくして捨てられしまった赤子は洞窟を棲み処にしていた竜イグニスに拾われヴァイオレットと名づけられ育てられた
ヴァイオレットはイグニスともう一頭の竜バシリッサの元でスクスクと育ち十六の歳になる
その歳まで人間と交流する機会がなかったヴァイオレットは友達を作る為に学校に通うことを望んだ
国で一番のグレディス魔法学校の入学試験を受け無事入学を果たし念願の友達も作れて順風満帆な生活を送っていたが、ある日衝撃の事実を告げられ……
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
生きるために逃げだした。幸せになりたい。
白水緑
ファンタジー
屋敷内に軟禁状態だったリリアは、宝物を取り戻したことをきっかけに屋敷から逃げ出した。幸せになるために。体力も力もない。成り行きに身を任せる結果になっても、自分の道は自分で選びたい。
2020/9/19 第一章終了
続きが書け次第また連載再開します。
2021/2/14 第二章開幕
2021/2/28 完結
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる