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第二二話 重ねる約束
第二二話 一〇
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外廊下に出たところで結月はおもむろに足を止めて空を見上げた。昴と秋之介は気づかず先に行ってしまうが、あかりは気づいて振り返ると結月の名前を呼んだ。
「結月、どうしたの?」
「……雨の、匂い」
あかりも結月に倣って空を見上げて見るが、夏も盛りの今日は気持ちが良いくらいの快晴だ。雨が降る気配など微塵も感じられない。
しかし結月の横顔は真剣そのもので、鬼気迫るような妙な緊張感があった。それに結月の性格からしても嘘を言っているようには思えない。
「……雨が、どうかしたの?」
あかりもいくらか慎重になって問いかける。すると結月は痛いくらいの切なさを帯びた瞳をあかりに向けた。思いがけないその青の美しさにあかりの目が奪われている間に、結月はあかりの手を引くとふわりと包み込むように抱きしめた。
「え、ゆづ……」
「あかりは……あかりこそ、どこにも遠くへ行かないよね? おれの隣にいてくれるよね?」
あかりの耳もとに結月の震えるささやきが落ちる。何かの恐怖を堪えるように結月の腕に力が籠められた。
あかりは驚きに目を丸くしていたが、結月の恐怖心を感じ取ると優しく抱きしめ返した。
「ねえ、約束しよう?」
「え?」
「戦いのない平和な未来で、一緒に笑い合って生きよう。この約束がきっと私たちの全部の願いを叶えてくれるよ」
幾重にも重ねてきた約束がある。そして今度の約束はそれらの約束とそこに込められた願いを全て叶えてくれるものだ。これまでの約束があかりたちを生かしてきたように、この約束は未来のあかりたちを救うのだろう。
「ね、約束だよ?」
あかりは結月の腕の中から彼の顔を見上げて柔らかに微笑んだ。結月は応えるように泣きそうで儚げな微笑を浮かべる。
「うん、約束」
結月はあかりを解放したが、あかりの方がなんだか離れがたくなってそっと結月の左手をとった。二人は自然に手をつなぎ合うと、先を行く昴と秋之介の後を追いかける。
当たり前のように隣にある結月の左手の温度に安心感を覚えながら、あかりはこの温度とともに今日の約束も忘れることはないだろうと思った。
その日の夜、雨が降りだした。最初はぽつりぽつりと地面に斑点を描いていた雨粒はあっという間に勢いを増し、地面に広大な水たまりをつくっていった。
地面を穿つような強雨が三日三晩続いたところで、あかりは司の卜占結果を昴から知らされた。
『雨が降ります。それが終わりの始まりでしょう』『貴女には悲痛な結末が待っています』と。
「結月、どうしたの?」
「……雨の、匂い」
あかりも結月に倣って空を見上げて見るが、夏も盛りの今日は気持ちが良いくらいの快晴だ。雨が降る気配など微塵も感じられない。
しかし結月の横顔は真剣そのもので、鬼気迫るような妙な緊張感があった。それに結月の性格からしても嘘を言っているようには思えない。
「……雨が、どうかしたの?」
あかりもいくらか慎重になって問いかける。すると結月は痛いくらいの切なさを帯びた瞳をあかりに向けた。思いがけないその青の美しさにあかりの目が奪われている間に、結月はあかりの手を引くとふわりと包み込むように抱きしめた。
「え、ゆづ……」
「あかりは……あかりこそ、どこにも遠くへ行かないよね? おれの隣にいてくれるよね?」
あかりの耳もとに結月の震えるささやきが落ちる。何かの恐怖を堪えるように結月の腕に力が籠められた。
あかりは驚きに目を丸くしていたが、結月の恐怖心を感じ取ると優しく抱きしめ返した。
「ねえ、約束しよう?」
「え?」
「戦いのない平和な未来で、一緒に笑い合って生きよう。この約束がきっと私たちの全部の願いを叶えてくれるよ」
幾重にも重ねてきた約束がある。そして今度の約束はそれらの約束とそこに込められた願いを全て叶えてくれるものだ。これまでの約束があかりたちを生かしてきたように、この約束は未来のあかりたちを救うのだろう。
「ね、約束だよ?」
あかりは結月の腕の中から彼の顔を見上げて柔らかに微笑んだ。結月は応えるように泣きそうで儚げな微笑を浮かべる。
「うん、約束」
結月はあかりを解放したが、あかりの方がなんだか離れがたくなってそっと結月の左手をとった。二人は自然に手をつなぎ合うと、先を行く昴と秋之介の後を追いかける。
当たり前のように隣にある結月の左手の温度に安心感を覚えながら、あかりはこの温度とともに今日の約束も忘れることはないだろうと思った。
その日の夜、雨が降りだした。最初はぽつりぽつりと地面に斑点を描いていた雨粒はあっという間に勢いを増し、地面に広大な水たまりをつくっていった。
地面を穿つような強雨が三日三晩続いたところで、あかりは司の卜占結果を昴から知らされた。
『雨が降ります。それが終わりの始まりでしょう』『貴女には悲痛な結末が待っています』と。
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