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第二三話 昇る朝陽と舞う朱咲
第二三話 一
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雨は断続的に降り続け、眩しい太陽と雄大な青空を隠してからひと月が経とうとしていた。
ざあざあと降りしきる雨が身を打つ。小さな傷に雨がしみてじくりと痛み、葉月も終わりとはいえ例年ならまだ暑い時期であるにも関わらず身体は四肢の先からひんやりと冷え切っていた。
(まるで三年前のようだわ……)
あのときもひと月以上の雨が続き、陰の国の侵攻に遭った。あの戦いで、あかりは大事なものを失った。愛していた両親も家臣も町民も、思い出深い南の地という土地も。三年が経っても心の傷が癒えきることはなく、それはきっとこの先も変わらないだろう。
(でも、この雨はその時とは違う。終わりの始まりの雨……。きっと最後の戦いになる)
これ以上大事なものを失わないために、戦い、生き抜くと誓った。過酷な運命に抗った先、希望に満ち溢れた平和な世界で笑顔で一緒に生きようと約束したのだ。
司の卜占ではこの戦いはあかりに『悲痛な結末』をもたらすと出たらしい。もちろん怖い。だけれど幾重にも重ねてきた約束があかりを支えていた。
(何があっても諦めない……! 私は私の望む未来を手に入れるために、希望を信じることを決して止めない!)
顔を空から正面に戻すと、側に立つ結月と目が合った。
「あかり、大丈夫? 疲れてない?」
淡々としているがあかりには結月が自分のことを心配してくれていることが手に取るようにわかった。そんな結月にあかりは強く微笑みかける。
「大丈夫。……諦めないって決めてるから」
あかりは希望を真っ直ぐに信じる赤い瞳をきらめかせた。結月は魅入られるようにその瞳を見つめ返し、ふっと幽かに微笑んだ。
「……うん。おれも、あかりと同じ。約束があるから、頑張ろうって思える」
つい先ほどまで陰の国の式神と式神使いと対峙していたために乱れた息を整え終えたあかりは結月に頷いて止めていた足を動かした。ここで悠長にしている場合ではない。最前線に飛び込んで戦わなくてはいけないのだから。
全ては望む未来のために。いくつもの約束を守り、果たすために。
ざあざあと降りしきる雨が身を打つ。小さな傷に雨がしみてじくりと痛み、葉月も終わりとはいえ例年ならまだ暑い時期であるにも関わらず身体は四肢の先からひんやりと冷え切っていた。
(まるで三年前のようだわ……)
あのときもひと月以上の雨が続き、陰の国の侵攻に遭った。あの戦いで、あかりは大事なものを失った。愛していた両親も家臣も町民も、思い出深い南の地という土地も。三年が経っても心の傷が癒えきることはなく、それはきっとこの先も変わらないだろう。
(でも、この雨はその時とは違う。終わりの始まりの雨……。きっと最後の戦いになる)
これ以上大事なものを失わないために、戦い、生き抜くと誓った。過酷な運命に抗った先、希望に満ち溢れた平和な世界で笑顔で一緒に生きようと約束したのだ。
司の卜占ではこの戦いはあかりに『悲痛な結末』をもたらすと出たらしい。もちろん怖い。だけれど幾重にも重ねてきた約束があかりを支えていた。
(何があっても諦めない……! 私は私の望む未来を手に入れるために、希望を信じることを決して止めない!)
顔を空から正面に戻すと、側に立つ結月と目が合った。
「あかり、大丈夫? 疲れてない?」
淡々としているがあかりには結月が自分のことを心配してくれていることが手に取るようにわかった。そんな結月にあかりは強く微笑みかける。
「大丈夫。……諦めないって決めてるから」
あかりは希望を真っ直ぐに信じる赤い瞳をきらめかせた。結月は魅入られるようにその瞳を見つめ返し、ふっと幽かに微笑んだ。
「……うん。おれも、あかりと同じ。約束があるから、頑張ろうって思える」
つい先ほどまで陰の国の式神と式神使いと対峙していたために乱れた息を整え終えたあかりは結月に頷いて止めていた足を動かした。ここで悠長にしている場合ではない。最前線に飛び込んで戦わなくてはいけないのだから。
全ては望む未来のために。いくつもの約束を守り、果たすために。
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