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第四話 変化
第四話 三
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翌晩。
卯月の満月は薄雲がかかり、ぼんやりと光を滲ませている。それでも月光は眩く、夜闇に庭の木の影がくっきりと浮かび上がって見えた。
鈴音が床に入ったときには今より雲が厚かったのかそれほど明るい夜だとは思っていなかったが、障子越しに射しこむ月の光の眩しさにふっと目を覚ましたのだ。魅惑的な月明かりに誘われて、鈴音はふらふらと縁側に出た。
降り注ぐ青白い光が優しく呪いを溶かしていく。ゆっくりとした瞬きの後、鈴音は本来の姿に戻っていた。視界はくっきりと明るく、意識は冴えている。
「満月に、手が届いたら……」
凝りもせず今日も右手を宙にかざす。けれど掴めないともう知っていたので早々に手を下ろした。
空っぽの手のひらを見つめていると、不意に背後の戸がすらりと開く音がした。
「ああ……、うん。だと思った」
そこには呆れ顔の遥杜が立っていた。
居間の方からは兄たちの賑やかな笑い声がくぐもって聞こえる。日付はまだ変わっていないようだが、遥杜は浴衣姿でそこそこ遅い時間なのだと知れた。
遥杜は自室である鈴音の隣の部屋から出てくると、手にしていた羽織を鈴音の肩にかけた。ふわりと清涼な白檀が香る。
「今日は、寒くないよ?」
およそひと月前は晩冬と早春が入り混じり、陽が沈み、風が吹きつけると肌寒かったが卯月も中頃になると夜風も大分温くなる。羽織をかけるほど寒くはなく、そうそう風邪もひかないのではないだろうか。
目線だけを後ろに向けた鈴音は視界の端で遥杜の笑顔を捉えた。
「そっか。でも寒くなくても着ててね」
「何のために?」
「……。鈴音が満月に惹かれるのは呪いが関係してるんだよね?」
遥杜は鈴音の問いには答えず強引に話を進める。疑問は残るが気に留めるほどではなかったので、鈴音は素直に遥杜の問いに答えた。
「そうだと思うよ。満月が近づいて明るくなるほど呪いが弱まっていく気がするから、もし触れたら呪いは解けるんじゃないかなって。つい、手を伸ばしたくなるの」
「じゃあ、鈴音は自分の呪いを解きたいって思ってるんだね」
遥杜は僅かに安堵しているのか、声が緩んでいた。鈴音は首を傾げる。遥杜の反応も不可解だが、彼の指摘もしっくりこなかったからだ。
「妖力を取り戻して本来の姿に戻りたいのは、ただの本能みたいなもの。わたしの意思でいうなら、解けても解けなくてもどっちでもいいって思ってるよ」
「……鈴音は、尊厳を奪われて悔しくないの?」
途端に遥杜の声は厳しいものに変わった。憤りが滲んでいても怖いと思わないのは、その対象が鈴音ではない他の誰かに向けられていたからだろうか。だから鈴音は冷静さを欠かずに、普段の調子で淡々と答えた。
「呪いをかけられてから、妖力を奪われることはわたしにとっての当たり前だから今さら何とも思わないよ。それに本来の姿があるって言われても、ほとんど知らない他人みたいな姿に特別こだわりもないから」
ついと夜空に手をかざす。感覚は間違いなく自分のものであるのに、その手は知らない形をしている。開いたそれは無意識に丸い月に伸びるが、握ってみても掴めたものは温い夜気だけだった。
「届かない」
狐の耳がしゅんと垂れる。感情が表に出やすくなったとはいえ他人と比べればまだまだ淡白な言動が目立つ鈴音だが、狐の耳と尾だけはわかりやすかった。
「呪いは解けなくても構わないんでしょ。月に手が届かないからってなんで落ち込む必要があるの?」
そういう遥杜こそ落ち込んでいるかのように声に覇気がない。
それまで後ろを流し見て話していた鈴音は、ここでようやく体ごと振り向き、遥杜と正面に向かい合った。
「満月に手が届いたら、それだけの浄化の力があったら。祓えると思ったの、はるちゃんの呪いを」
「……俺の、呪い……?」
耳を疑っているのか信じられないという顔をする遥杜に、鈴音は真実だとはっきり頷く。
遥杜が鈴音の、正確には福塚の前に現れたとき、鈴音は屏風の裏で呪いの気のようなものを感じ取っていた。高度な呪いか微弱な呪いかは定かではないがとにかく気配がほとんどなかったので、最初は気のせいかとも思っていた。しかし、遥杜の近くにいるとあのとき感じた同じ呪いの気配を感じるのだ。満月の夜には決まって調子がいいと遥杜が言ったとき、やはり気のせいではなくれっきとした呪いだったのだと疑念は確信に変わった。ただ体調が良くなるというだけで他に変化がないことには引っかかりを覚えるが、少なくとも呪いが解ければ遥杜の安定しない体調も快復することだけは確かだ。
「任務があったって帰ってくるとき、はるちゃん、いつも辛そうだから。そういうとき、せんちゃんたちも悲しい顔してて、わたしはそれが嫌だなって思うの」
「俺の虚弱体質が呪いのせいだって言いたいの? でも、俺は呪いなんて知らない」
遥杜の声は動揺を抑え込んでいるのか不自然に硬い。それでも鈴音の調子が変わることはなく、やはり淡々と言葉を紡いでいくだけだった。
「そうなんだ。でも、そうかも。だってその呪いは……」
そのとき、ふっと満月に厚い雲がかかり、地上も一気に暗くなった。
月の清浄な光が遮られた瞬間に鈴音の意識も遮断され、強烈な睡魔とともに体から急に力が抜ける。
「えっ、ちょっと……!」
焦った遥杜の呼びかけと彼の纏う白檀の香りで、鈴音の一日は幕を閉じた。
✿
遥杜が咄嗟に腕に抱きとめた鈴音は、収束する月光に合わせてすうっと小さな姿に戻っていった。
急に意識を失うから何事かと焦ったが、抱え直した鈴音はすやすやと穏やかな寝息を立てておりどこも悪くなさそうである。
自由勝手な鈴音が戻ってきたことに気の抜けた気持ちになる一方で、気になる単語だけ残してひとりで安らかな夢の中にいるのかと思うと憎らしい気持ちにもなった。
「なんだよ、俺の呪いって……」
途方に暮れた遥杜の呟きは月にも届かなかった。
神楽は宣言通り、すぐに鈴音の希望を雅仁たちに通してくれた。あれからたった二日で鈴音は早速本部の神楽のもとへ通うことになった。
「鈴音と職場に行けるようになるなんて、なんだか新鮮な気持ちになります」
「せんちゃんたちと一緒、嬉しい」
朝食の席で千里が嬉しそうに呟くので、鈴音もつられて尾を一振りする。鴇羽は頷きながらも心なしか残念そうにしていた。
「外で仕事するのは好きだけど、すずちゃんと一緒にいられなくなるのはなぁ……」
「ぼくは大歓迎だよ。鈴音がいるというなら仕事にも精が出るというものさ」
そういう雅仁は朝の自称・散歩には出かけずに邸内にいる。早朝に庭の花木に水を遣る瑠璃の手伝いをしたり、朝に弱い遥杜を起こしに行ったりしながら過ごしていた。
「それはいいけど、俺まで巻きこむのはやめてくんない?」
上機嫌な雅仁とは対照的に遥杜は朝から不機嫌である。
鈴音は千里が朝食の用意をする手伝いをしていたので何があったか直接目にしてはいないが、奥から賑やかな声が届いていたのは印象に残っている。
朝食の準備時間は千里も雅仁に構ってはいられないため、仮に雅仁がどこかへ行方を晦ましていても、その時間だけは穏やかなことがほとんどである。それが今日だけは雅仁が家にいることで、瑠璃の笑い声や遥杜の叫び声が生まれていたのだった。その騒がしさに鴇羽は目を覚ましたと居間に起きてきたくらいだ。
「いつもは千里と一緒になって職場に行け真面目に仕事しろとしつこいくらい言ってくるのに、ぼくがやる気を出した途端、どうして遥杜は不機嫌になっているのだろうね」
千里越しに遥杜は雅仁を恨めしげにじろりと睨みつけた。
「朝から雅仁兄さんのふざけた言動には付き合えないんだよ。昨夜はよく眠れなかったからなおさら……」
「昨夜? 何かあったかな? むしろ満月だったから調子が良かったはずじゃあなかったかい」
雅仁はぱちぱちと目を瞬かせる。わざとらしく驚いているようにも、本気でわからないとも、どちらにもとれるような反応だった。
「……いや、こっちの話」
ふいっと目を逸らし、遥杜はかぶの煮物を箸で突いた。雅仁はその様子をじっと見てから大きく息をのむ。
「はっ! もしや気になる子ができたとか? 気になって夜も眠れないと世間ではよく言う……」
「違うから。もう本当うるさい黙って」
睨むことはおろか、今度は目を合わせることすらせず遥杜はばっさりと雅仁の妄想を切り捨てた。
「あはは、怒られてしまったよ~」
「まさ兄。あんまりからかうとはる兄に嫌われるよ」
「ええっ、それは困る! 遥杜に嫌われたらぼくは悲しい!」
瑠璃に呆れかえった目で諭されて、暢気に笑っていた雅仁は大きく目を見開いて悲痛な叫びをあげた。
六人でまとまって妖保護部隊本部までの道を歩いていく。一昨日は遥杜とふたりきりでほとんど会話もなく静かな道程だったが、兄たちが揃うとさすがに賑やかだ。
家を出てすぐに瑠璃が鈴音の左手をとって歩き出すと、鴇羽が「ずるい、ぼくもっ」と言って空いていた鈴音の右手を握った。
「おはようございます、部長!」
「ああ、小太郎じゃあないか。朝から元気そうで何よりだね」
「はいっ! 元気だけが俺の取り柄なんで!」
道行く人々に隊服姿が増えてきたところで駆け寄ってきたのは、一昨日ちょうどこの場で会った小太郎だ。
小太郎は遥杜以外にも雅仁や千里たちとも挨拶を交わしている。鈴音にも気さくに「また会ったな、お嬢ちゃん」と声をかけてくれた。
「今日はまた一段と楽しそうだな、遥杜」
「そうだね。鈴音がいるからじゃないかな」
遥杜は朝の不機嫌さが嘘のように、にっこりと笑っている。
「なるほどな。鈴音ちゃんはお姫様ってわけか。兄ちゃんたちに懐いてるみたいだし、そりゃ可愛いか」
小太郎は鈴音に爽やかに笑いかけた。
「お嬢ちゃんも兄ちゃんたちが好きなんだな」
当初は好きも嫌いもわからなかった鈴音だが、最近は感覚的にわかるようになってきた。兄たちを思うと胸がぽかぽかとあたたかくなるこの気持ちをきっと『好き』と呼ぶに違いない。
自然と鈴音の顔はほろりとほころんでいた。
「うん、好き」
「え」
鈴音が答えた直後、雅仁たちの声がきれいに重なり、ぴたりと足が止まった。
急に立ち止まってどうしたのだろうと鈴音が左右の瑠璃と鴇羽を見上げると、彼らは目を真ん丸にして鈴音を凝視したまま固まっていた。
「るりちゃん、ときちゃん」
瞬きすらしないので、鈴音が繋いでいた手を軽く引いていると、その傍らで小太郎の悲鳴があがった。
「え、千里副隊長、大丈夫ですか⁉」
「すみません。感極まって、つい……」
千里は懐から取り出した手ぬぐいで目尻を拭っていた。
「いつの間にかこんなに成長していたなんて……っ」
「えっ、泣くほどの何かがあったんすか⁉」
「せんちゃんやめてよぅ……。ぼくまで泣きたくなるからぁ……!」
鴇羽の叫びは弱々しく、すでにぼろぼろと涙をこぼしている。瑠璃は俯いていたが、地面に点々と染みを作っていた。
隊員たちの衆目を集める中、雅仁ががしっと鈴音の両肩を掴んだ。
「ぼくは鈴音にとって『愛しのまさちゃん』というわけだね!」
「愛しいは好きってこと、だったよね。教本に書いてあった。なら、そういうことになるのかな」
「そういうことになるね!」
いつの間にか鈴音たちを中心に隊員が輪を作っていた。ざわざわと雑多な声が飛び交っているが、ときおり拾える言葉は『楽しい』『賑やか』『仲が良い』など裏のない肯定ばかりだった。これだけ目立つことをしていても受け入れられている第一部隊は、隊員たちに慕われ愛されているのだろう。その第一部隊が自分の兄たちであると誰かに『いいでしょ』と自慢したい気持ちになった。
面映ゆくて思わず小さな笑みがこぼれる。
淡白な表情ばかりの鈴音だが、笑うと可愛らしい華があった。周りで見守っていた隊員の視線が鈴音ひとりに集まるが、鈴音は目の前にいる雅仁が注目の的になっているのだと思っていた。
(まさちゃん、面白いこといっぱいするからね)
皆が気になるのも納得だ。鈴音も雅仁の予想できない言動には驚かされてばかりだが、同じくらい楽しいと思っているのだから。
鈴音がにこにこしていると、まるで鏡合わせのように正面の雅仁もにこにこしていた。
鈴音の背後で千里が鋭い視線で笑っており、左右の瑠璃と鴇羽が警戒心をむき出しにしていたことを鈴音は知らない。
「ははっ。本当、遥杜のとこは毎日飽きないよな」
遥杜は乱れる心を押し隠し「そうだね」と先ほどと全く同じ調子で小太郎に答えた。
「あら、おはよう。もうしばらくは来ないものだと思っていたわ」
出勤時間ちょうどで神楽の待つ医務室に辿り着くと、神楽は咎めも呆れもせず、むしろ意外だと整った眉を上げて鈴音たちを出迎えた。手には湯気の立つ湯呑を持っており、ゆとりのある立ち姿から嘘でも皮肉でもなく本当にすぐには来ないのだと思っていたのだとうかがえた。
「おはようございます。申し訳ありません、道中色々ありまして」
「噂で聞いたから知っているわよ。雅仁だけならともかく千里もいたというのに、珍しいこともあるものね」
神楽はちらりと鈴音を見下ろした。目が合った鈴音は先ほどの出来事の余韻をそのままににこっと神楽に挨拶する。
「おはよう、神楽さん」
「……そうよね。仕方ないと思うわ」
神楽は「おはよう、鈴音」と頬を緩めた。
「今日から一緒に頑張りましょうね」
「うん、頑張るよ。よろしくね」
ぺこりと小さく頭を下げる鈴音に神楽は頷くと、医務室の出入り口に佇んだままの雅仁たちを振り向いた。
「そういうわけだから、こちらは心配しなくて大丈夫よ」
「うん、心配はしていないよ。神楽のことは信頼しているからね」
袖に手を入れながら雅仁は堂々とその場に立っていた。動きそうもない雅仁に、神楽は剣吞な目を向ける。
「なら、そこにいないで早く本部長室へ行きなさいよ。今日も山のように書類仕事があるのでしょう?」
「ええっ、なんて無慈悲な! 可愛い妹よりつまらないことこの上ないあの仕事たちを優先しろというのかい?」
「仕事なのだから面白いもつまらないも選り好みしないで真面目にやりなさいよ。あなたがいつもそんな調子だから千里が苦労するのよ。可愛い弟のためにも少しは頑張りなさい」
「ねえ、千里~。君も兄ならわかってくれるだろう?」
懇願の眼差しで雅仁は千里に縋りつく。
毎朝家を出る前の二人のやり取りを知っていると、やはり今回も千里はすげなく雅仁をあしらうと思う。『いいから仕事をしますよ』『僕はいいとしても、瑠璃たちのためには頑張ってください』などなんとなく予想はつく。
千里は腕に絡みつく雅仁には見向きもせず、黙って何かを考えていた。
「……え、無視かい?」
「……」
「ねえ、せん……」
「あっ、ではこうしましょう!」
千里は唐突に大きな声をあげると顔を輝かせて手を打った。
「ここに書類を持ち込んで仕事をしましょう。仕事はできるし鈴音も見守ることができるので、問題ないですね」
「おお! さすがはぼくの弟だ、天才だね!」
「…………ちょっと遥杜。あなたのお兄さんたちでしょう、なんとかしてちょうだい」
頭を抱える神楽に遥杜は真顔で頷き返すと雅仁と千里の腕を掴んで引っ張った。
「行くよ。鴇羽、瑠璃」
「は、はーいっ」
鈴音と離れがたくはあるが兄と同じ末路は避けたいと思ったのだろう。鴇羽はちらちらと背後を振り返りながらも遥杜の後を追いかけていった。
「……休み時間にまた来るね」
最後に瑠璃が小さく手を振って医務室を後にした。
五人の兄が去るとその場は途端に静かになる。思えば邸に引き取られて以来、鈴音の声が届く範囲にひとりも兄がいないというのは初めてだ。牢の岩室を支配していた孤独と静寂には慣れきっていて何とも思わないはずなのに、取り残された不安にそわそわと落ち着かない気持ちになる。
胸元に引き寄せた両手にぎゅうっと力がこもる。おろおろと視線を彷徨わせていると穏やかに微笑む神楽が目に留まった。
「大丈夫よ、鈴音はもうひとりではないのだから」
独りが当たり前だったのに、いつしかそれを寂しい、怖いと思うようになっていた。あたたかさを知り、家族の側に心地よさを感じる。絶えず笑顔がどこかにある日々が、誰もが願うことを許される望みであるというのなら。
(あの毎日は、きっと狂ってたんだ)
命令に縛られて、両親も妖力も奪われて、感情を殺して、自分を失った。そんな長い悪夢を壊して、途切れた幸せの続きを一緒に紡いで教えてくれた。
雅仁と、千里と、遥杜と、鴇羽と、瑠璃と。共に過ごしたひと月半が鮮やかに蘇る。
(わたしはもう、ひとりじゃない)
すうっと、心が凪いでいく。
「うん、落ち着いたみたいね。さて、鈴音がまず知りたいことは何かしら」
予め決めていたことは何もなかったが、答えはすぐに出た。
「ありがとうの伝え方を、知りたいの……!」
幸せをくれた兄たちへ、感謝の気持ちを贈ろう。
卯月の満月は薄雲がかかり、ぼんやりと光を滲ませている。それでも月光は眩く、夜闇に庭の木の影がくっきりと浮かび上がって見えた。
鈴音が床に入ったときには今より雲が厚かったのかそれほど明るい夜だとは思っていなかったが、障子越しに射しこむ月の光の眩しさにふっと目を覚ましたのだ。魅惑的な月明かりに誘われて、鈴音はふらふらと縁側に出た。
降り注ぐ青白い光が優しく呪いを溶かしていく。ゆっくりとした瞬きの後、鈴音は本来の姿に戻っていた。視界はくっきりと明るく、意識は冴えている。
「満月に、手が届いたら……」
凝りもせず今日も右手を宙にかざす。けれど掴めないともう知っていたので早々に手を下ろした。
空っぽの手のひらを見つめていると、不意に背後の戸がすらりと開く音がした。
「ああ……、うん。だと思った」
そこには呆れ顔の遥杜が立っていた。
居間の方からは兄たちの賑やかな笑い声がくぐもって聞こえる。日付はまだ変わっていないようだが、遥杜は浴衣姿でそこそこ遅い時間なのだと知れた。
遥杜は自室である鈴音の隣の部屋から出てくると、手にしていた羽織を鈴音の肩にかけた。ふわりと清涼な白檀が香る。
「今日は、寒くないよ?」
およそひと月前は晩冬と早春が入り混じり、陽が沈み、風が吹きつけると肌寒かったが卯月も中頃になると夜風も大分温くなる。羽織をかけるほど寒くはなく、そうそう風邪もひかないのではないだろうか。
目線だけを後ろに向けた鈴音は視界の端で遥杜の笑顔を捉えた。
「そっか。でも寒くなくても着ててね」
「何のために?」
「……。鈴音が満月に惹かれるのは呪いが関係してるんだよね?」
遥杜は鈴音の問いには答えず強引に話を進める。疑問は残るが気に留めるほどではなかったので、鈴音は素直に遥杜の問いに答えた。
「そうだと思うよ。満月が近づいて明るくなるほど呪いが弱まっていく気がするから、もし触れたら呪いは解けるんじゃないかなって。つい、手を伸ばしたくなるの」
「じゃあ、鈴音は自分の呪いを解きたいって思ってるんだね」
遥杜は僅かに安堵しているのか、声が緩んでいた。鈴音は首を傾げる。遥杜の反応も不可解だが、彼の指摘もしっくりこなかったからだ。
「妖力を取り戻して本来の姿に戻りたいのは、ただの本能みたいなもの。わたしの意思でいうなら、解けても解けなくてもどっちでもいいって思ってるよ」
「……鈴音は、尊厳を奪われて悔しくないの?」
途端に遥杜の声は厳しいものに変わった。憤りが滲んでいても怖いと思わないのは、その対象が鈴音ではない他の誰かに向けられていたからだろうか。だから鈴音は冷静さを欠かずに、普段の調子で淡々と答えた。
「呪いをかけられてから、妖力を奪われることはわたしにとっての当たり前だから今さら何とも思わないよ。それに本来の姿があるって言われても、ほとんど知らない他人みたいな姿に特別こだわりもないから」
ついと夜空に手をかざす。感覚は間違いなく自分のものであるのに、その手は知らない形をしている。開いたそれは無意識に丸い月に伸びるが、握ってみても掴めたものは温い夜気だけだった。
「届かない」
狐の耳がしゅんと垂れる。感情が表に出やすくなったとはいえ他人と比べればまだまだ淡白な言動が目立つ鈴音だが、狐の耳と尾だけはわかりやすかった。
「呪いは解けなくても構わないんでしょ。月に手が届かないからってなんで落ち込む必要があるの?」
そういう遥杜こそ落ち込んでいるかのように声に覇気がない。
それまで後ろを流し見て話していた鈴音は、ここでようやく体ごと振り向き、遥杜と正面に向かい合った。
「満月に手が届いたら、それだけの浄化の力があったら。祓えると思ったの、はるちゃんの呪いを」
「……俺の、呪い……?」
耳を疑っているのか信じられないという顔をする遥杜に、鈴音は真実だとはっきり頷く。
遥杜が鈴音の、正確には福塚の前に現れたとき、鈴音は屏風の裏で呪いの気のようなものを感じ取っていた。高度な呪いか微弱な呪いかは定かではないがとにかく気配がほとんどなかったので、最初は気のせいかとも思っていた。しかし、遥杜の近くにいるとあのとき感じた同じ呪いの気配を感じるのだ。満月の夜には決まって調子がいいと遥杜が言ったとき、やはり気のせいではなくれっきとした呪いだったのだと疑念は確信に変わった。ただ体調が良くなるというだけで他に変化がないことには引っかかりを覚えるが、少なくとも呪いが解ければ遥杜の安定しない体調も快復することだけは確かだ。
「任務があったって帰ってくるとき、はるちゃん、いつも辛そうだから。そういうとき、せんちゃんたちも悲しい顔してて、わたしはそれが嫌だなって思うの」
「俺の虚弱体質が呪いのせいだって言いたいの? でも、俺は呪いなんて知らない」
遥杜の声は動揺を抑え込んでいるのか不自然に硬い。それでも鈴音の調子が変わることはなく、やはり淡々と言葉を紡いでいくだけだった。
「そうなんだ。でも、そうかも。だってその呪いは……」
そのとき、ふっと満月に厚い雲がかかり、地上も一気に暗くなった。
月の清浄な光が遮られた瞬間に鈴音の意識も遮断され、強烈な睡魔とともに体から急に力が抜ける。
「えっ、ちょっと……!」
焦った遥杜の呼びかけと彼の纏う白檀の香りで、鈴音の一日は幕を閉じた。
✿
遥杜が咄嗟に腕に抱きとめた鈴音は、収束する月光に合わせてすうっと小さな姿に戻っていった。
急に意識を失うから何事かと焦ったが、抱え直した鈴音はすやすやと穏やかな寝息を立てておりどこも悪くなさそうである。
自由勝手な鈴音が戻ってきたことに気の抜けた気持ちになる一方で、気になる単語だけ残してひとりで安らかな夢の中にいるのかと思うと憎らしい気持ちにもなった。
「なんだよ、俺の呪いって……」
途方に暮れた遥杜の呟きは月にも届かなかった。
神楽は宣言通り、すぐに鈴音の希望を雅仁たちに通してくれた。あれからたった二日で鈴音は早速本部の神楽のもとへ通うことになった。
「鈴音と職場に行けるようになるなんて、なんだか新鮮な気持ちになります」
「せんちゃんたちと一緒、嬉しい」
朝食の席で千里が嬉しそうに呟くので、鈴音もつられて尾を一振りする。鴇羽は頷きながらも心なしか残念そうにしていた。
「外で仕事するのは好きだけど、すずちゃんと一緒にいられなくなるのはなぁ……」
「ぼくは大歓迎だよ。鈴音がいるというなら仕事にも精が出るというものさ」
そういう雅仁は朝の自称・散歩には出かけずに邸内にいる。早朝に庭の花木に水を遣る瑠璃の手伝いをしたり、朝に弱い遥杜を起こしに行ったりしながら過ごしていた。
「それはいいけど、俺まで巻きこむのはやめてくんない?」
上機嫌な雅仁とは対照的に遥杜は朝から不機嫌である。
鈴音は千里が朝食の用意をする手伝いをしていたので何があったか直接目にしてはいないが、奥から賑やかな声が届いていたのは印象に残っている。
朝食の準備時間は千里も雅仁に構ってはいられないため、仮に雅仁がどこかへ行方を晦ましていても、その時間だけは穏やかなことがほとんどである。それが今日だけは雅仁が家にいることで、瑠璃の笑い声や遥杜の叫び声が生まれていたのだった。その騒がしさに鴇羽は目を覚ましたと居間に起きてきたくらいだ。
「いつもは千里と一緒になって職場に行け真面目に仕事しろとしつこいくらい言ってくるのに、ぼくがやる気を出した途端、どうして遥杜は不機嫌になっているのだろうね」
千里越しに遥杜は雅仁を恨めしげにじろりと睨みつけた。
「朝から雅仁兄さんのふざけた言動には付き合えないんだよ。昨夜はよく眠れなかったからなおさら……」
「昨夜? 何かあったかな? むしろ満月だったから調子が良かったはずじゃあなかったかい」
雅仁はぱちぱちと目を瞬かせる。わざとらしく驚いているようにも、本気でわからないとも、どちらにもとれるような反応だった。
「……いや、こっちの話」
ふいっと目を逸らし、遥杜はかぶの煮物を箸で突いた。雅仁はその様子をじっと見てから大きく息をのむ。
「はっ! もしや気になる子ができたとか? 気になって夜も眠れないと世間ではよく言う……」
「違うから。もう本当うるさい黙って」
睨むことはおろか、今度は目を合わせることすらせず遥杜はばっさりと雅仁の妄想を切り捨てた。
「あはは、怒られてしまったよ~」
「まさ兄。あんまりからかうとはる兄に嫌われるよ」
「ええっ、それは困る! 遥杜に嫌われたらぼくは悲しい!」
瑠璃に呆れかえった目で諭されて、暢気に笑っていた雅仁は大きく目を見開いて悲痛な叫びをあげた。
六人でまとまって妖保護部隊本部までの道を歩いていく。一昨日は遥杜とふたりきりでほとんど会話もなく静かな道程だったが、兄たちが揃うとさすがに賑やかだ。
家を出てすぐに瑠璃が鈴音の左手をとって歩き出すと、鴇羽が「ずるい、ぼくもっ」と言って空いていた鈴音の右手を握った。
「おはようございます、部長!」
「ああ、小太郎じゃあないか。朝から元気そうで何よりだね」
「はいっ! 元気だけが俺の取り柄なんで!」
道行く人々に隊服姿が増えてきたところで駆け寄ってきたのは、一昨日ちょうどこの場で会った小太郎だ。
小太郎は遥杜以外にも雅仁や千里たちとも挨拶を交わしている。鈴音にも気さくに「また会ったな、お嬢ちゃん」と声をかけてくれた。
「今日はまた一段と楽しそうだな、遥杜」
「そうだね。鈴音がいるからじゃないかな」
遥杜は朝の不機嫌さが嘘のように、にっこりと笑っている。
「なるほどな。鈴音ちゃんはお姫様ってわけか。兄ちゃんたちに懐いてるみたいだし、そりゃ可愛いか」
小太郎は鈴音に爽やかに笑いかけた。
「お嬢ちゃんも兄ちゃんたちが好きなんだな」
当初は好きも嫌いもわからなかった鈴音だが、最近は感覚的にわかるようになってきた。兄たちを思うと胸がぽかぽかとあたたかくなるこの気持ちをきっと『好き』と呼ぶに違いない。
自然と鈴音の顔はほろりとほころんでいた。
「うん、好き」
「え」
鈴音が答えた直後、雅仁たちの声がきれいに重なり、ぴたりと足が止まった。
急に立ち止まってどうしたのだろうと鈴音が左右の瑠璃と鴇羽を見上げると、彼らは目を真ん丸にして鈴音を凝視したまま固まっていた。
「るりちゃん、ときちゃん」
瞬きすらしないので、鈴音が繋いでいた手を軽く引いていると、その傍らで小太郎の悲鳴があがった。
「え、千里副隊長、大丈夫ですか⁉」
「すみません。感極まって、つい……」
千里は懐から取り出した手ぬぐいで目尻を拭っていた。
「いつの間にかこんなに成長していたなんて……っ」
「えっ、泣くほどの何かがあったんすか⁉」
「せんちゃんやめてよぅ……。ぼくまで泣きたくなるからぁ……!」
鴇羽の叫びは弱々しく、すでにぼろぼろと涙をこぼしている。瑠璃は俯いていたが、地面に点々と染みを作っていた。
隊員たちの衆目を集める中、雅仁ががしっと鈴音の両肩を掴んだ。
「ぼくは鈴音にとって『愛しのまさちゃん』というわけだね!」
「愛しいは好きってこと、だったよね。教本に書いてあった。なら、そういうことになるのかな」
「そういうことになるね!」
いつの間にか鈴音たちを中心に隊員が輪を作っていた。ざわざわと雑多な声が飛び交っているが、ときおり拾える言葉は『楽しい』『賑やか』『仲が良い』など裏のない肯定ばかりだった。これだけ目立つことをしていても受け入れられている第一部隊は、隊員たちに慕われ愛されているのだろう。その第一部隊が自分の兄たちであると誰かに『いいでしょ』と自慢したい気持ちになった。
面映ゆくて思わず小さな笑みがこぼれる。
淡白な表情ばかりの鈴音だが、笑うと可愛らしい華があった。周りで見守っていた隊員の視線が鈴音ひとりに集まるが、鈴音は目の前にいる雅仁が注目の的になっているのだと思っていた。
(まさちゃん、面白いこといっぱいするからね)
皆が気になるのも納得だ。鈴音も雅仁の予想できない言動には驚かされてばかりだが、同じくらい楽しいと思っているのだから。
鈴音がにこにこしていると、まるで鏡合わせのように正面の雅仁もにこにこしていた。
鈴音の背後で千里が鋭い視線で笑っており、左右の瑠璃と鴇羽が警戒心をむき出しにしていたことを鈴音は知らない。
「ははっ。本当、遥杜のとこは毎日飽きないよな」
遥杜は乱れる心を押し隠し「そうだね」と先ほどと全く同じ調子で小太郎に答えた。
「あら、おはよう。もうしばらくは来ないものだと思っていたわ」
出勤時間ちょうどで神楽の待つ医務室に辿り着くと、神楽は咎めも呆れもせず、むしろ意外だと整った眉を上げて鈴音たちを出迎えた。手には湯気の立つ湯呑を持っており、ゆとりのある立ち姿から嘘でも皮肉でもなく本当にすぐには来ないのだと思っていたのだとうかがえた。
「おはようございます。申し訳ありません、道中色々ありまして」
「噂で聞いたから知っているわよ。雅仁だけならともかく千里もいたというのに、珍しいこともあるものね」
神楽はちらりと鈴音を見下ろした。目が合った鈴音は先ほどの出来事の余韻をそのままににこっと神楽に挨拶する。
「おはよう、神楽さん」
「……そうよね。仕方ないと思うわ」
神楽は「おはよう、鈴音」と頬を緩めた。
「今日から一緒に頑張りましょうね」
「うん、頑張るよ。よろしくね」
ぺこりと小さく頭を下げる鈴音に神楽は頷くと、医務室の出入り口に佇んだままの雅仁たちを振り向いた。
「そういうわけだから、こちらは心配しなくて大丈夫よ」
「うん、心配はしていないよ。神楽のことは信頼しているからね」
袖に手を入れながら雅仁は堂々とその場に立っていた。動きそうもない雅仁に、神楽は剣吞な目を向ける。
「なら、そこにいないで早く本部長室へ行きなさいよ。今日も山のように書類仕事があるのでしょう?」
「ええっ、なんて無慈悲な! 可愛い妹よりつまらないことこの上ないあの仕事たちを優先しろというのかい?」
「仕事なのだから面白いもつまらないも選り好みしないで真面目にやりなさいよ。あなたがいつもそんな調子だから千里が苦労するのよ。可愛い弟のためにも少しは頑張りなさい」
「ねえ、千里~。君も兄ならわかってくれるだろう?」
懇願の眼差しで雅仁は千里に縋りつく。
毎朝家を出る前の二人のやり取りを知っていると、やはり今回も千里はすげなく雅仁をあしらうと思う。『いいから仕事をしますよ』『僕はいいとしても、瑠璃たちのためには頑張ってください』などなんとなく予想はつく。
千里は腕に絡みつく雅仁には見向きもせず、黙って何かを考えていた。
「……え、無視かい?」
「……」
「ねえ、せん……」
「あっ、ではこうしましょう!」
千里は唐突に大きな声をあげると顔を輝かせて手を打った。
「ここに書類を持ち込んで仕事をしましょう。仕事はできるし鈴音も見守ることができるので、問題ないですね」
「おお! さすがはぼくの弟だ、天才だね!」
「…………ちょっと遥杜。あなたのお兄さんたちでしょう、なんとかしてちょうだい」
頭を抱える神楽に遥杜は真顔で頷き返すと雅仁と千里の腕を掴んで引っ張った。
「行くよ。鴇羽、瑠璃」
「は、はーいっ」
鈴音と離れがたくはあるが兄と同じ末路は避けたいと思ったのだろう。鴇羽はちらちらと背後を振り返りながらも遥杜の後を追いかけていった。
「……休み時間にまた来るね」
最後に瑠璃が小さく手を振って医務室を後にした。
五人の兄が去るとその場は途端に静かになる。思えば邸に引き取られて以来、鈴音の声が届く範囲にひとりも兄がいないというのは初めてだ。牢の岩室を支配していた孤独と静寂には慣れきっていて何とも思わないはずなのに、取り残された不安にそわそわと落ち着かない気持ちになる。
胸元に引き寄せた両手にぎゅうっと力がこもる。おろおろと視線を彷徨わせていると穏やかに微笑む神楽が目に留まった。
「大丈夫よ、鈴音はもうひとりではないのだから」
独りが当たり前だったのに、いつしかそれを寂しい、怖いと思うようになっていた。あたたかさを知り、家族の側に心地よさを感じる。絶えず笑顔がどこかにある日々が、誰もが願うことを許される望みであるというのなら。
(あの毎日は、きっと狂ってたんだ)
命令に縛られて、両親も妖力も奪われて、感情を殺して、自分を失った。そんな長い悪夢を壊して、途切れた幸せの続きを一緒に紡いで教えてくれた。
雅仁と、千里と、遥杜と、鴇羽と、瑠璃と。共に過ごしたひと月半が鮮やかに蘇る。
(わたしはもう、ひとりじゃない)
すうっと、心が凪いでいく。
「うん、落ち着いたみたいね。さて、鈴音がまず知りたいことは何かしら」
予め決めていたことは何もなかったが、答えはすぐに出た。
「ありがとうの伝え方を、知りたいの……!」
幸せをくれた兄たちへ、感謝の気持ちを贈ろう。
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