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第五話 誕生に感謝と祝福を
第五話 四
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気が付けば太陽は天中へと差し掛かっていたため、慈乃達は一度生活棟に戻ることにした。
玄関で靴を履き替えているところへ、メリルが長い紅色の髪をぴょこぴょこ揺らして現れた。
「おかえりなさい!」
一番に履き替えが終わっていたカルリアのもとへとメリルは駆け寄り、下腹部に抱き着く。カルリアはかがんで、メリルを「ただいまのぎゅー」と言って抱きしめ返した。
メリルはくすぐったそうな笑い声を漏らしてから、顔を上げ、皆を見回す。
「あのね、ニアお姉ちゃんがごはんだよって。メリル、よびにきたの」
「ありがとう。偉いね、メリル」
カルリアはメリルの頭を撫でた手で、そのまま手をつないで立ち上がった。
そしてメリルに案内されるままに、皆は食堂へ向かった。
誕生会は食堂で開催されるが飾りつけは午後に行うらしく、昼食の段階では食堂は常と変わらない状態だった。
今日の昼食の支度はニアと、手伝いにはウタセとスイセンが入ったという。
机の上には、色とりどり大小様々なおにぎりと今朝の残り物が並んでいた。
おにぎりは中に具材が埋まっているのではなく、混ぜご飯のようになっていて、見た目にも鮮やかで、何より判別しやすい。
「これが梅干しで、こっちが柴漬けだよ」
赤いおにぎりと紫のおにぎりを指し示しながら、スイセンが正面のテオに教えてあげる。テオは小さく頷くと、柴漬けとは別の紫のおにぎりを指した。
「つけものじゃない?」
「……それは、ゆかり」
テオの隣に座っていたヒイラギが、ぽそりと呟く。
すると、今度はヒイラギの向かいで焼きおにぎりを頬張っていたウルフィニが首を傾げた。
「ゆかり……? ユーカリ?」
「それはフトモモ科だね……。ゆかりはシソのふりかけだよ」
スイセンは苦笑いを浮かべながら、隣のウルフィニの醤油がべったりついた口まわりを拭った。
「ウル、ユーカリなんて、知ってるんだな。賢い」
「ええ……。ラギの着眼点、そこ?」
ヒイラギはゆっくりと、しかしためらいなく頷く。
「自分がウルくらいのとき……、ユーカリなんて、知らなかった。ゆかりは、色を付けた草だと、思ってた……」
「へぇ……」
スイセンは珍しく返事に詰まっていたが、やがてヒイラギの隣、テオとは反対側に着席する慈乃に話題を振ることにしたようだった。
「シノさんの枝豆おにぎりはぼくが作ったんですよ。どうですか?」
「ええ、美味しい、ですよ」
スイセンは素直に嬉しそうな笑みをこぼした。普段大人びているようにも思えるスイセンも、こうしてみると年相応の子どもに他ならない。
その様をなんとなくもう少し見ていたくなって、慈乃は大皿にのった小ぶりのおにぎりを指した。
「これも、スイセンくんが作りましたか?」
「わかりますか? それとあとこっちもぼくが作りました」
スイセンは嬉々として教えてくれた。
話を聞いていたらしいテオとウルフィニが、スイセンが作ったというおにぎりを各々手に取り、口にする。
「スイ兄、なんでもできる」
「おいしいよ」
ウルフィニは静かに目を輝かせ、テオはスイセンの顔を見上げてふんわり笑った。スイセンはそんなふたりに笑み返す。
慈乃の隣ではヒイラギが全種類制覇するべく、取り分けるための皿いっぱいにおにぎりを積み上げ、黙々と頬張っていた。枝豆おにぎりを食べた時に微かに首を縦に振ったのは、彼なりの「美味しい」という意思表示だろう。
スイセンにもそれがよくわかったので、やはり小さく笑ったのだった。
玄関で靴を履き替えているところへ、メリルが長い紅色の髪をぴょこぴょこ揺らして現れた。
「おかえりなさい!」
一番に履き替えが終わっていたカルリアのもとへとメリルは駆け寄り、下腹部に抱き着く。カルリアはかがんで、メリルを「ただいまのぎゅー」と言って抱きしめ返した。
メリルはくすぐったそうな笑い声を漏らしてから、顔を上げ、皆を見回す。
「あのね、ニアお姉ちゃんがごはんだよって。メリル、よびにきたの」
「ありがとう。偉いね、メリル」
カルリアはメリルの頭を撫でた手で、そのまま手をつないで立ち上がった。
そしてメリルに案内されるままに、皆は食堂へ向かった。
誕生会は食堂で開催されるが飾りつけは午後に行うらしく、昼食の段階では食堂は常と変わらない状態だった。
今日の昼食の支度はニアと、手伝いにはウタセとスイセンが入ったという。
机の上には、色とりどり大小様々なおにぎりと今朝の残り物が並んでいた。
おにぎりは中に具材が埋まっているのではなく、混ぜご飯のようになっていて、見た目にも鮮やかで、何より判別しやすい。
「これが梅干しで、こっちが柴漬けだよ」
赤いおにぎりと紫のおにぎりを指し示しながら、スイセンが正面のテオに教えてあげる。テオは小さく頷くと、柴漬けとは別の紫のおにぎりを指した。
「つけものじゃない?」
「……それは、ゆかり」
テオの隣に座っていたヒイラギが、ぽそりと呟く。
すると、今度はヒイラギの向かいで焼きおにぎりを頬張っていたウルフィニが首を傾げた。
「ゆかり……? ユーカリ?」
「それはフトモモ科だね……。ゆかりはシソのふりかけだよ」
スイセンは苦笑いを浮かべながら、隣のウルフィニの醤油がべったりついた口まわりを拭った。
「ウル、ユーカリなんて、知ってるんだな。賢い」
「ええ……。ラギの着眼点、そこ?」
ヒイラギはゆっくりと、しかしためらいなく頷く。
「自分がウルくらいのとき……、ユーカリなんて、知らなかった。ゆかりは、色を付けた草だと、思ってた……」
「へぇ……」
スイセンは珍しく返事に詰まっていたが、やがてヒイラギの隣、テオとは反対側に着席する慈乃に話題を振ることにしたようだった。
「シノさんの枝豆おにぎりはぼくが作ったんですよ。どうですか?」
「ええ、美味しい、ですよ」
スイセンは素直に嬉しそうな笑みをこぼした。普段大人びているようにも思えるスイセンも、こうしてみると年相応の子どもに他ならない。
その様をなんとなくもう少し見ていたくなって、慈乃は大皿にのった小ぶりのおにぎりを指した。
「これも、スイセンくんが作りましたか?」
「わかりますか? それとあとこっちもぼくが作りました」
スイセンは嬉々として教えてくれた。
話を聞いていたらしいテオとウルフィニが、スイセンが作ったというおにぎりを各々手に取り、口にする。
「スイ兄、なんでもできる」
「おいしいよ」
ウルフィニは静かに目を輝かせ、テオはスイセンの顔を見上げてふんわり笑った。スイセンはそんなふたりに笑み返す。
慈乃の隣ではヒイラギが全種類制覇するべく、取り分けるための皿いっぱいにおにぎりを積み上げ、黙々と頬張っていた。枝豆おにぎりを食べた時に微かに首を縦に振ったのは、彼なりの「美味しい」という意思表示だろう。
スイセンにもそれがよくわかったので、やはり小さく笑ったのだった。
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