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第二三話 めぐる笑顔
第二三話 七
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「僕達も遊んでいく?」
「いえ、私はいいです。もう十分もらいましたから」
袋を掲げると、中のガラス玉が陽光を反射してキラキラと輝いた。
「そっか。僕も今回はいいかな」
ウタセは慈乃の掲げる袋を見て、晴れ晴れとした笑みを浮かべた。
「なんだか嬉しそうですね、ウタくん」
「うん。だって、テオもウルも成長してるんだなってわかったから」
「そうですね」
ひとを思いやれる優しい子に育ってくれている。そのことを実感できただけでこの祭に来た甲斐もあるというものだ。
慈乃とウタセは止めていた足を動かした。
屋台の並びの最奥までたどり着いた。広場には噴水があり、通りよりはひともはけていた。今日も街の喧騒に負けず劣らず運河から陽気な歌声が聴こえてくる。
空いたベンチに腰掛けて、ウタセは慈乃の顔を覗きこんだ。
「久しぶりのひとごみだったでしょ。疲れてない?」
「疲れはありますが……それ以上に楽しいです」
慈乃は正直な感想を口にした。
「それに、以前より景色が鮮やかに見えて、わくわくしています」
それは今日が祭だからということだけが理由ではない。きっと慈乃の迷いがなくなって、目の前の霧が晴れたからだと思う。見るもの全てが色鮮やかに目に焼き付き、心に残る。新鮮な感覚に慈乃は年甲斐もなく興奮していた。まるで好奇心に満ちた子どものころに戻ったかのようだ。
我知らず、慈乃の瞳は輝いていた。
「……」
ウタセからの反応がないことに慈乃が訝しく思って隣を見ると、ウタセは瞬きすらせず固まっていた。
「あの……、ウタくん?」
「えっ、あ、ごめんね。ちょっとびっくりしたっていうか感慨深かったっていうか」
慈乃の声に喚起されたウタセは早口で話した。まるで抱いた感情の全てを慈乃に伝えたいが、気持ちに言葉がついてこないかのように。
「シノがいろんな表情を見せてくれるようになって、嬉しかったんだ。それに表情以上に目が心の内を語るようになってきたことも」
「……!」
「テオやウルが成長しているように、シノも成長してるんだなって思ったんだよ」
ウタセは本当によくひとを見ていると思う。慈乃ですら気づかなかった変化にいち早く気づいてくれる。
思えば、振り返った景色の中にはいつだってウタセが側にいた。
(やっぱり、約束を果たすなら、一番にウタくんに伝えたいわ)
慈乃は決意し直すと、しばしの休息をウタセとともに楽しんだ。
「いえ、私はいいです。もう十分もらいましたから」
袋を掲げると、中のガラス玉が陽光を反射してキラキラと輝いた。
「そっか。僕も今回はいいかな」
ウタセは慈乃の掲げる袋を見て、晴れ晴れとした笑みを浮かべた。
「なんだか嬉しそうですね、ウタくん」
「うん。だって、テオもウルも成長してるんだなってわかったから」
「そうですね」
ひとを思いやれる優しい子に育ってくれている。そのことを実感できただけでこの祭に来た甲斐もあるというものだ。
慈乃とウタセは止めていた足を動かした。
屋台の並びの最奥までたどり着いた。広場には噴水があり、通りよりはひともはけていた。今日も街の喧騒に負けず劣らず運河から陽気な歌声が聴こえてくる。
空いたベンチに腰掛けて、ウタセは慈乃の顔を覗きこんだ。
「久しぶりのひとごみだったでしょ。疲れてない?」
「疲れはありますが……それ以上に楽しいです」
慈乃は正直な感想を口にした。
「それに、以前より景色が鮮やかに見えて、わくわくしています」
それは今日が祭だからということだけが理由ではない。きっと慈乃の迷いがなくなって、目の前の霧が晴れたからだと思う。見るもの全てが色鮮やかに目に焼き付き、心に残る。新鮮な感覚に慈乃は年甲斐もなく興奮していた。まるで好奇心に満ちた子どものころに戻ったかのようだ。
我知らず、慈乃の瞳は輝いていた。
「……」
ウタセからの反応がないことに慈乃が訝しく思って隣を見ると、ウタセは瞬きすらせず固まっていた。
「あの……、ウタくん?」
「えっ、あ、ごめんね。ちょっとびっくりしたっていうか感慨深かったっていうか」
慈乃の声に喚起されたウタセは早口で話した。まるで抱いた感情の全てを慈乃に伝えたいが、気持ちに言葉がついてこないかのように。
「シノがいろんな表情を見せてくれるようになって、嬉しかったんだ。それに表情以上に目が心の内を語るようになってきたことも」
「……!」
「テオやウルが成長しているように、シノも成長してるんだなって思ったんだよ」
ウタセは本当によくひとを見ていると思う。慈乃ですら気づかなかった変化にいち早く気づいてくれる。
思えば、振り返った景色の中にはいつだってウタセが側にいた。
(やっぱり、約束を果たすなら、一番にウタくんに伝えたいわ)
慈乃は決意し直すと、しばしの休息をウタセとともに楽しんだ。
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