カモミールの福音 ~花と〈家族〉に癒される優しい世界の物語~

南 鈴紀

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第二四話 再び紡ぐ物語

第二四話 二

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ミトドリが手を打ち鳴らした。
「さて、朝礼を始めよう」
 皆がミトドリに注目する。ミトドリは順繰りに視線を滑らせながら話した。
「皆も知っての通り、今日からシノが復帰する。また六人で頑張っていこう」
「ご迷惑をおかけしました。頑張りますので、またよろしくお願いします」
 慈乃が丁寧に頭を下げると、五人分の「よろしく」という声が降ってきた。顔を上げると皆、笑顔を湛えていて、慈乃はほっと胸を撫でおろした。
「それから、今日は休日で子ども達がはしゃいでるから気を付けるように」
 ミトドリは連絡事項をあげ終えると、最後にリンドウのことに触れた。
「彼は今日も部屋にいるだろうけど、気にかけてやっておくれね」
「了解!」
「は~い」
 慈乃も頷いて答えた。
 ミトドリは解散を告げると客間を出ていった。彼はこのあとリンドウの様子をのぞいてから外回りに行くらしい。その後に続いてニアやツクシ、スギナもこの場を後にする。最後に残った慈乃をウタセは振り返った。
「シノ、行かないの?」
「あ、い、行きます」
 慈乃は扉へと足を向けた。扉を閉めたウタセと並んで廊下を歩く。
「何か考えごと?」
「……リンドウくんのことを、考えていました」
 足を止めた慈乃はウタセを見上げた。ウタセも慈乃に合わせて立ち止まった。
「今度は、ちゃんと彼に向き合いたいんです。私と彼が似ているというのなら、きっと、今の状態は辛いはずです。それが分かるから、何とかしたいと思いました」
 もしかしたら、リンドウにとってはおこがましいお節介かもしれない。慈乃の自己満足だと嗤われればそれまでだ。それでも慈乃はリンドウを放っておけなかった。彼の痛みがそっくりそのままわかるわけではないが、似た痛みならわかるから。その痛みの奥底で、本当は助けてほしいと叫んでいる気がしてならないから。
 慈乃の真剣な瞳を受けて、ウタセは目を瞬かせた後柔らかに微笑んだ。
「うん、シノらしくていいね」
 ウタセが肯定してくれたことで慈乃の不安は僅かに払拭された。しかし、残る不安に慈乃は顔を曇らせた。ウタセが「どうしたの?」と慈乃の顔をのぞき込む。
「……どうしたらいいのか、わからなくて。目標はあっても、手段が浮かばないんです」
 無計画にリンドウに突撃しても、おそらく上手くいかないことは容易に想像できた。慈乃がため息を漏らすと、ウタセは一緒になって考えてくれた。
「やっぱり、切り口はあいさつからだと思うんだけど」
「あいさつ……」
 そういえば挨拶強化運動は途中で放棄してしまったが、学び家全体にはよい効果をもたらしたと思う。レヤやフィオには根負けしたリンドウが渋々ながらもあいさつを返したという話も聞いたし、再開して損はないかもしれない。
「いいですね。挨拶強化運動、またやりたいです」
「うん、やろうやろう!」
 慈乃が言うと、ウタセは嬉しそうに笑った。
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