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第二四話 再び紡ぐ物語
第二四話 六
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一度目は無言が返ってきたが、諦めずに二度、三度扉を叩くとリンドウが顔を出した。いかにも不機嫌そうだが、慈乃は気にしないように努めた。
「おはようございます、リンドウくん」
「……」
リンドウは慈乃を冷たく睨みつけた。
「おはよう、リン」
しかし、慈乃の後ろにウタセがいることに気が付くと渋々といった態で「……おはようございます……」とぼそりと返した。
「……何か用ですか」
あいさつしてもなかなか去らないふたりにしびれを切らしたリンドウが低い声で問いかける。一瞬怯みかけた慈乃だったが、すぐに思い直した。
(リンドウくんにちゃんと向き合うって、決めたじゃない)
「えっと、お話、しませんか」
「しないです。あなたなんかと話すことは何もありません」
リンドウはばっさりと慈乃の提案を切り捨てた。しかし慈乃もここで引けなかった。
「私達、お互いのことをよく知らないじゃないですか。それなのにこんな関係、寂しいですよ」
「俺は別に気にしませんけど」
取り付く島もない返答だった。慈乃はぐっと言葉を詰まらせたが、さきほどクルルに言われたことを思い出した。
『だったら、次にあいつに会ったらガツンと言ってやりなさいよ。知ったような口を利くなって。ここにいるのはシノ姉さんの意思なんだって』
蘇った声に背を押されて、慈乃は小さく息を吸うとリンドウの両の瞳を真っ直にとらえた。
「お話する気がないというのなら、今日は諦めます。だけど、これだけは言わせてください」
リンドウが訝しげに眉を寄せる。視界の片隅にウタセが「頑張れ」と口を動かすのが映った。
「私がここにいるのは、私が決めたことです。学び家の家族の笑顔が好きだからです。周りからどう見られようと、何と言われようと、この選択は逃げでも甘えでも弱さでもないと断言できます」
「……」
「リンドウくんが私のことを知った上で、嫌いだというのなら、それは仕方のないことです。諦めます。でも、今の私達はそうではないです。少なくとも私はリンドウくんのことをもっと知りたい、向き合いたいです」
「……」
「仲良く、なりたいんです」
慈乃が言い切ると、リンドウは何も言わずに扉を閉じ、鍵をかけてしまった。
「届いてたらいいね。シノの思いが」
「……はい」
慈乃は、ややうわの空でウタセに頷きを返した。
慈乃がとらえて離さなかった瞳は右が竜胆色、左が月白色。その隠された方の左の瞳が僅かに揺らいだのを慈乃は見逃さなかった。まるで孤高に照る月のような、物悲しさを帯びた瞳を慈乃は忘れることができなかった。
「おはようございます、リンドウくん」
「……」
リンドウは慈乃を冷たく睨みつけた。
「おはよう、リン」
しかし、慈乃の後ろにウタセがいることに気が付くと渋々といった態で「……おはようございます……」とぼそりと返した。
「……何か用ですか」
あいさつしてもなかなか去らないふたりにしびれを切らしたリンドウが低い声で問いかける。一瞬怯みかけた慈乃だったが、すぐに思い直した。
(リンドウくんにちゃんと向き合うって、決めたじゃない)
「えっと、お話、しませんか」
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リンドウはばっさりと慈乃の提案を切り捨てた。しかし慈乃もここで引けなかった。
「私達、お互いのことをよく知らないじゃないですか。それなのにこんな関係、寂しいですよ」
「俺は別に気にしませんけど」
取り付く島もない返答だった。慈乃はぐっと言葉を詰まらせたが、さきほどクルルに言われたことを思い出した。
『だったら、次にあいつに会ったらガツンと言ってやりなさいよ。知ったような口を利くなって。ここにいるのはシノ姉さんの意思なんだって』
蘇った声に背を押されて、慈乃は小さく息を吸うとリンドウの両の瞳を真っ直にとらえた。
「お話する気がないというのなら、今日は諦めます。だけど、これだけは言わせてください」
リンドウが訝しげに眉を寄せる。視界の片隅にウタセが「頑張れ」と口を動かすのが映った。
「私がここにいるのは、私が決めたことです。学び家の家族の笑顔が好きだからです。周りからどう見られようと、何と言われようと、この選択は逃げでも甘えでも弱さでもないと断言できます」
「……」
「リンドウくんが私のことを知った上で、嫌いだというのなら、それは仕方のないことです。諦めます。でも、今の私達はそうではないです。少なくとも私はリンドウくんのことをもっと知りたい、向き合いたいです」
「……」
「仲良く、なりたいんです」
慈乃が言い切ると、リンドウは何も言わずに扉を閉じ、鍵をかけてしまった。
「届いてたらいいね。シノの思いが」
「……はい」
慈乃は、ややうわの空でウタセに頷きを返した。
慈乃がとらえて離さなかった瞳は右が竜胆色、左が月白色。その隠された方の左の瞳が僅かに揺らいだのを慈乃は見逃さなかった。まるで孤高に照る月のような、物悲しさを帯びた瞳を慈乃は忘れることができなかった。
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