カモミールの福音 ~花と〈家族〉に癒される優しい世界の物語~

南 鈴紀

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第二四話 再び紡ぐ物語

第二四話 八

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一階に下り立つと食堂からたくさんの声が聞こえた。ラウンジや自室、園庭にも子ども達はいるが、今は食堂に人口が集中しているらしい。
 ウタセとふたりで食堂に顔を出すと、一番手前にいたガザが「あっ!」と声を上げた。
「ウタとシノじゃん!」
「探しに行く手間が省けましたね」
 ガザの声を聞きつけたソラルが、慈乃とウタセを手招いた。
「なになに?」
 ウタセの後に続いて慈乃も机の上を見た。そこには懐かしいすごろくセットがあった。
「シノ姉とまたやりたかったんだ」
 準備を終えたトゥナが慈乃とウタセに椅子をすすめる。
断る理由もないので、慈乃とウタセはすごろくに参加することにした。
コマは前回と同じものを選び、順番を決める。今回はトゥナから始まり、ソラル、慈乃、ウタセ、ガザの順となった。わかりやすいように時計回りに座る席を変えて、すごろくは始まった。
「よし、いくよー!」
 トゥナが元気よくさいころを振った。
「三だ!」
「三は、最近あった嬉しかったこと、ですね」
 ソラルが止まったマスの指示を読み上げると、トゥナはそう悩むことなくにぱっと笑顔になり慈乃を見た。
「それはもちろん、シノ姉が戻ってきてくれたことだよ!」
 眩しい笑顔に慈乃は気恥ずかしさを覚えて、何と返したものかと悩んだ末、「あ、ありがとうございます……?」と答えた。トゥナは「なんでシノ姉がお礼? ありがとうはオレ達のほうなのに」とおかしそうに笑った。
「今日のトゥナさんは絶好調ですね」
 ソラルが微笑みながら、サイコロを振った。
「二は何もないマスですね。はい、次はシノさんです」
 ソラルに手渡されたサイコロを慈乃が投げると、四が出た。マスの指示には『現在トップのマスにとぶ』とあったので、コマはそのまま四のマスに留め置かれた。
「はい、次はウタ兄」
「えーっと、六だ。『最初に戻る』かぁ」
 ウタセは僅かに肩を落とした。それを横目に見ながら、ガザがサイコロを振る。
「……って、オレも六かよ!」
「ふっふっふ、楽しくなってきたね」
「いや、トゥナさん。まだ始まったばかりですから」
「腹立つ顔しやがって!」
 トゥナは勝ち誇ったように笑うとサイコロを投げた。
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