カモミールの福音 ~花と〈家族〉に癒される優しい世界の物語~

南 鈴紀

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第二七話 約束の花祭

第二七話 七

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 通りは多くのひとで溢れかえっている。そのなかに偶然、見慣れた姿を見つけた。
「シノ姉ちゃんだ!」
「ほんとだ。リンドウ兄ちゃんもいる!」
「あ、こら! 走ると危ないよ!」
 トゥナに注意されながら慈乃とリンドウのもとへ走り寄ってきたのはレヤとフィオだった。彼らの後ろにはもちろんガザ、ソラル、アヅもいる。
 道の端に寄り、かがんだ慈乃はレヤとフィオに視線を合わせた。
「お祭りは楽しめていますか?」
 屈託のない笑顔でレヤとフィオは同時に「うん!」と答える。
後からやって来たガザは、リンドウの肩に腕を回した。
「よお、リン! 三番地の花祭はどうよ?」
「はあ。楽しんでいますよ」
 ガザとリンドウの様子を見ていたソラルがこれ見よがしにため息を吐いた。
「ガザさん。急に肩を組むなんて、リンさん困ってますから」
「そうか? 悪い悪い」
 ガザは雑に謝ると、組んでいた腕を下ろした。リンドウは詰めていた息を小さく吐く。
「それにしても、オレ達の誘いを断って誰と花祭に行くかと思えばシノだったんだな」
「ですね。俺はてっきり、スイさんあたりと一緒に参加するものだと思ってました」
 話を聞いていたらしいトゥナが「いいなー」と呟く。ガザが「何が?」と訊いた。
「ほら、オレ達って意外とシノ姉と祭りを見て回ったことないでしょ?」
「確かにそうですね」
 学び家ではよく一緒に遊ぶが、出先ではあまり行動を共にしない。
慈乃の初めての花祭はウタセが案内したし、二度目の花祭は女子で楽しんでいた。遠足でも六番地はクルルとホノと回っていて、一二番地ではニアと見回りがてら参加していた。
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