カモミールの福音 ~花と〈家族〉に癒される優しい世界の物語~

南 鈴紀

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第二九話 思い出を形に残して

第二九話 一四

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 一冊読み終えるとぱちぱちと拍手があがった。
「ちょうどいい時間になったし、みんなで食堂に行かない?」
 ウタセが提案するとタムがこてんと首を傾げた。
「お昼には、まだ早いよ……?」
「昼食ではなくて料理教室の方では?」
 リンドウが言うのへ、ウタセが大きく頷いた。
「あたり。今日は大学芋だって」
「わあ、食べたいです! ね、アスちゃん」
 ヨルメイとアスキは笑顔を交わし合う。タムは淡く微笑むと「じゃあ……、行こう」といっておもむろに立ち上がった。その後をヨルメイとアスキがついて歩く。
「リンドウお兄ちゃんもいこう」
 ウルフィニの腕をつかんで立たせたテオは、リンドウに向き直った。リンドウは頷くとウルフィニとテオを促すように後ろに立って歩き出す。
 あまり馴染みのない取り合わせだが、彼らは仲良くやっているようだということがうかがえて、慈乃とウタセは微笑みをこぼして最後にラウンジを出た。
 八人でぞろぞろと食堂に向かう途中、玄関口でガザ達と鉢合わせた。
「ガザ達もニア姉に誘われたの?」
「おう。動いてたら腹減ってきたしな。ツクシ達ももう食堂にいるはずだぜ」
 ウタセとガザの間から、アヅがひょっこりと顔を出した。
「早く行こうぜ!」
「大学芋大学芋―」
「こら、廊下は走らないの!」
 アヅ、レヤ、フィオが食堂目がけて廊下を駆けて行く。ウタセは困ったように注意をしたが、少しだけ笑ってもいるようだった。
「そんなとこにたむろしてないで、早くこっちにおいでー!」
 厨房から頭だけを出したニアの声が廊下に響き渡る。
「はーい!」
 返事をして歩を進め、食堂に入ると、料理教室に参加していた子ども達の他にも、午前中に園庭で会ったツクシやスギナ達もいた。いないのは街へ出かけているヒイラギ達と外回りに行っているミトドリくらいのもので、学び家のほぼ全員がこの場にいると言っても良い。
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