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1章~葛葉信の思惑~
日向との出会い~手を伸ばす~
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「…はっ!」
わしは柄にもなくその光景に感動していた。
宇宙からの侵略者、生物兵器に対して、人類が生み出した兵器。
その”ヒーロー”の存在は噂程度に耳にしていた。
しかし、宇宙の科学技術の最先端で開発している身としては
地球程度の科学技術で生み出された兵器などたかがしれいていると
内心馬鹿にしていた。
それがどうだろうか。
現実に見せられたのは、宇宙の科学技術に勝るとも劣らない
武器と装備。さらにその技術に耐えられる生物。
驚いた。
R-45をあんなにも簡単に倒してしまうなんて。
もしかして。
あらぬ希望が胸の中に沸き上がってくる。
あのヒーローならわしのことも救ってくれるのでは
ないだろうか?
いや、わしはどうなってもいい。
わしの家族を助けてほしい。
今、あきらめかけていたわしの前に希望の糸が目の前にたらされた。
ヒーローという形をとって。
※※※
「さっきは悪かったな、話の途中でさえぎってしまって」
戦闘を終えたヒーローが電話をすると、すぐに撤収部隊が現れ、
無残な姿となった街の片づけをはじめる。
さらに自衛隊や救助隊が遅れて到着し、
救助活動や消火活動を行っている。
一仕事終えて、マスクを取った男がわしのほうに駆け寄ってくる。
思ったよりも若い。
高校生くらいだろうか。
「いや、わしこそこんなときに駄々こねて悪かった、堪忍して。
それより自分いくつなん?学校とかええの?」
「明らかにこっちが優先だろう。いつもこういう時は遅刻している。
それよりあんた怪我とない?」
「うん、君が助けてくれたおかげやん。ありがとう。
でっかいカラスの背に乗って飛ぶっていうめっちゃ貴重な体験もできたし。
楽しかったわ」
「ははっ、さっきは死にたい、なんて言っていたのに随分元気になったな」
さっきのことを思い出して、わしは恥ずかしくなってしまった。
あかん、いつもなら絶対にこんなヘマせんかったのに。
目の前の男は無言でこちらを見つめてくる。
何か話さなければ『じゃ、俺はこれで』と言ってすぐに立ち去ってしまうだろう。
どうにかして宇宙人にばれずに力を貸してもらう方法はないだろうか。
あかん、コミュ障過ぎてなんて言ったらいいかわからん。
それに最近ビーカーにしか話しかけていないような気がする。
あ、妹とも今朝話したわ。おはよう、いってらっしゃい、言うたやん。
「俺は日向だ、よろしくな。」
わしがぐるぐる考えていたら、男のほうが口を開いた。
「へっ?」
「名前、あんたも教えてくれよ」
「あ、お、そうやね。信っていうん。よろしゅう」
「それであんたが良かったらなんだけど…」
日向はポケットをごそごそ探り始めた。
そして、スマホを取り出す。
「連絡先、交換しないか?」
「えっ?なんで?」
今時の子、すごくない?
そんな出会って一秒ナンパみたいに連絡先交換してくるもんなの?
高校生怖すぎ。
「いや、いつもは絶対にこんなことしねーんだけど、あんたなんか悩んでるみたいだし、
俺もあんたと仲良くなりたいから」
ただのええ子やん。
わしは心が汚いんや。
すまん、疑ってしまった。
「ありがとう。じゃあお言葉に甘えて交換さしてもらうわ」
せわしなく救助隊や自衛隊が動き回る壊された街の中で
わしは日向に出会った。
ガラス越しの風景が少しだけクリアになった気がした。
わしは柄にもなくその光景に感動していた。
宇宙からの侵略者、生物兵器に対して、人類が生み出した兵器。
その”ヒーロー”の存在は噂程度に耳にしていた。
しかし、宇宙の科学技術の最先端で開発している身としては
地球程度の科学技術で生み出された兵器などたかがしれいていると
内心馬鹿にしていた。
それがどうだろうか。
現実に見せられたのは、宇宙の科学技術に勝るとも劣らない
武器と装備。さらにその技術に耐えられる生物。
驚いた。
R-45をあんなにも簡単に倒してしまうなんて。
もしかして。
あらぬ希望が胸の中に沸き上がってくる。
あのヒーローならわしのことも救ってくれるのでは
ないだろうか?
いや、わしはどうなってもいい。
わしの家族を助けてほしい。
今、あきらめかけていたわしの前に希望の糸が目の前にたらされた。
ヒーローという形をとって。
※※※
「さっきは悪かったな、話の途中でさえぎってしまって」
戦闘を終えたヒーローが電話をすると、すぐに撤収部隊が現れ、
無残な姿となった街の片づけをはじめる。
さらに自衛隊や救助隊が遅れて到着し、
救助活動や消火活動を行っている。
一仕事終えて、マスクを取った男がわしのほうに駆け寄ってくる。
思ったよりも若い。
高校生くらいだろうか。
「いや、わしこそこんなときに駄々こねて悪かった、堪忍して。
それより自分いくつなん?学校とかええの?」
「明らかにこっちが優先だろう。いつもこういう時は遅刻している。
それよりあんた怪我とない?」
「うん、君が助けてくれたおかげやん。ありがとう。
でっかいカラスの背に乗って飛ぶっていうめっちゃ貴重な体験もできたし。
楽しかったわ」
「ははっ、さっきは死にたい、なんて言っていたのに随分元気になったな」
さっきのことを思い出して、わしは恥ずかしくなってしまった。
あかん、いつもなら絶対にこんなヘマせんかったのに。
目の前の男は無言でこちらを見つめてくる。
何か話さなければ『じゃ、俺はこれで』と言ってすぐに立ち去ってしまうだろう。
どうにかして宇宙人にばれずに力を貸してもらう方法はないだろうか。
あかん、コミュ障過ぎてなんて言ったらいいかわからん。
それに最近ビーカーにしか話しかけていないような気がする。
あ、妹とも今朝話したわ。おはよう、いってらっしゃい、言うたやん。
「俺は日向だ、よろしくな。」
わしがぐるぐる考えていたら、男のほうが口を開いた。
「へっ?」
「名前、あんたも教えてくれよ」
「あ、お、そうやね。信っていうん。よろしゅう」
「それであんたが良かったらなんだけど…」
日向はポケットをごそごそ探り始めた。
そして、スマホを取り出す。
「連絡先、交換しないか?」
「えっ?なんで?」
今時の子、すごくない?
そんな出会って一秒ナンパみたいに連絡先交換してくるもんなの?
高校生怖すぎ。
「いや、いつもは絶対にこんなことしねーんだけど、あんたなんか悩んでるみたいだし、
俺もあんたと仲良くなりたいから」
ただのええ子やん。
わしは心が汚いんや。
すまん、疑ってしまった。
「ありがとう。じゃあお言葉に甘えて交換さしてもらうわ」
せわしなく救助隊や自衛隊が動き回る壊された街の中で
わしは日向に出会った。
ガラス越しの風景が少しだけクリアになった気がした。
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