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2章~日向の復讐日記
元ヒーローと嫌味研究員が手を組む
しおりを挟む「はぁ、それでパープルのスーツも渡して、
まんまと裏切られたと…」
薄暗いラクの研究室で俺はこれまでの信とのことを
包み隠さずに話していた。これで2度目だ。
俺が話し終わるとラクがまた顎に手を当てて
考えてから、口を開いた。
「ああ、どおりでスーツの解析が早すぎると思った。
使用者が着用したスーツを解除するのは基本的に
使用者本人でないとできない仕様ですから。
しかも丁寧にスーツに対する拒絶反応までつけて。
なるほど、あらかじめスーツを手に入れていたから
できたことなんですね、納得です。
まぁそれでもスーツ解析にかかる時間を考慮すれば
信じられない手際の良さですが…」
さすがは博士の息子、とラクは一人で感嘆する。
そして俺に再び向かい合った。
「ところで先輩はあほですか、いやそうでしたね」
もうこいつには散々馬鹿にされたが、
こいつもバカにするのを通り越して呆れているようだった。
「いや、先輩のあほさはもういいです。
重要機密を一般人にあっさり渡すとは脳内お花畑野郎が…。
それより、やはり信さんも怪人開発の研究を
行っていたようですね。
これはぜひとも会って話を聞きたいな」
「だから、あいつは裏切者で」
「そんなことは関係ありません。
同じ研究を行う同志として
組織は違えど目指すべき場所は同じです。
そこに敵味方は関係ありません」
「いや、違うだろ」
俺のツッコミを無視してラクは
一人ぶつぶつとつぶやき始めた。
「それにしてもどうやってスーツに対する
拒絶反応を組み込んだんだ?
普通の人間であればスーツに対する
拒絶反応はないはずなのに」
「おい」
「まてよ、一つだけスーツをはじくものがあるか?
だけど、それをどうやって人間に…」
「おいっ!」
「あっ、すいません、先輩。僕はまだ用事があるので
先帰ってもらっていいですか」
「俺のスーツの件、いつ頃できそうだ?」
「まだわかりません。相手はあの博士の息子さんですから。
困難を極めそうです。しかし、強敵であればあるほど燃えます。
できましたら、連絡しますから待っててください」
「頼んだ」
「はいはい。先輩は信さんをおびき出す方法でも考えていてください。
と言っても信さんは先輩より数倍頭がいいので無理かと思いますが…」
俺はラクの小言を聞き終える前に扉を閉めた。
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