四銃士

黄坂美々

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4 旅立ち

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 ポラリス村に戻った4人は、少し疲れた様子で橋の上に立っている。

「で、どうすんだ?」

 クレイグが言う。

「そりゃ――」

 アレンが答えようとしたのを、遮るようにブラッドが言う。

「他の方法を探す」

 皆がブラッドを見る。ブラッドは話を続ける。

「あんなうさんくさい奴、信用できるわけないだろ」
「行こうよ」

 アレンが言う。ティムも続く。

「そうだよ。少しでも可能性があるなら僕も行くべきだと思う」

 クレイグが口を開く。

「アイリスを実験台にする気か? 俺は気が進まねえな」

 アレンは少し黙り込み、話し出す。

「俺は一人でも行く。新しい方法が見つかるとも限らないし、当てもないならこれに賭けたい」

 クレイグがすかさず言う。

「賭けるって、あいつの命何だと思ってんだよ」
「シビルさんが言ってたじゃん。失敗しても起きないだけだって」

 そう言ったアレンにブラッドが険しい顔で言う。

「どう信用しろってんだ?」

 アレンは少し考え、話し出す。

「試作品を俺が先に飲む。それで大丈夫ならアイリスに飲ます」

 ブラッドとクレイグは少し驚き、ティムは真剣な顔でアレンを見つめる。

「僕も行くよ。アイリス助けよ」

 ティムが言う。アレンは笑顔で頷く。それを見てクレイグが言う。

「おまえ学校どうすんだよ」

 アレンがすぐさま答える。

「やめる」
「え? 休学しないの?」

 ティムが驚いて聞く。

「うん。いつ帰って来れるかわからないしね」
「夢はいいのか?」

 ブラッドが聞く。クレイグも続く。

「医者になって後継ぐって言ってたじゃねえか」
「今はアイリスの方が大事。学校は入り直せばいいから」
「あの地域は治安が悪い。危険だぞ。わかってるのか?」

 ブラッドが言う。

「準備はして行く。二人にも来てほしいけど無理にとは言わない。来る気になったら明日の朝8時にここね。俺、準備あるから帰るよ」

 そう言ってアレンは3人に手を振り帰って行った。

「また、明日。待ってるから」

 ティムも続けて帰って行く。ブラッドとクレイグは黙ったまま二人の後ろ姿を見つめていた。


 診療所のドアからアレンが大きめのリュックサックを背負い出てくる。その後ろを両親がついて外に出る。母がアレンを抱きしめながら言う。

「気をつけてね。アイリスのことは任せて」
「うん、ありがとう」

 続けて父とも抱き合い別れを言う。

「無理はするなよ」
「わかった。行ってきます」

 アレンは二人に手を振りながら歩きだす。両親は涙をこらえ、アレンが見えなくなるまで見送っていた。


 橋の上でアレンとティムが荷物を足元に置き、立ち話をしている。

「お父さんたちに怒られなかった?」

 ティムが聞く。

「怒られた。それに心配もしてた。でも最後にはわかってくれたよ」
「そっか、うちもそう。それから――」
「あっ!」

 アレンが遠くを見て大きな声を出す。ティムがアレンの目線の先を見ると、クレイグとブラッドが荷物を持って歩いてくるのが見えた。

「来てくれたんだ!」

 アレンが嬉しそうに言う。クレイグは不満そうに話しだす。

「親父に言ったら殴られた」
「やっぱり反対されるよね……」

 ティムが言う。クレイグがすぐさま否定する。

「違う。おまえはアイリス救わずに何ぼさっと座ってんだって。親父の奴、自分の息子よりアイリスの方が可愛いらしい」

 アレンとティムが苦笑いを浮かべる。アレンがブラッドを見る。

「シビルさんのこと信用できるようになったの?」
「いや。新しい錬金術師を探すか、他の方法を歩きながら考える」
「よかった! 全員集合だね!」

 ティムが笑顔で言う。

「じゃあ、さっそく出発!」

 アレンが笑顔で言った。

「あ、その前にうちに寄って」

 ティムがそう言い、3人は言われるままティムについて行く。


 ティムの家に着いた4人は、動物小屋に行く。中には数頭の馬がいる。小屋の奥からティムの父が出てくる。

「おっ、来たか。この中から好きな奴を連れていけ」

 3人は驚いてティムを見る。ティムが笑顔で話しだす。

「父さんが徒歩は大変だから、馬を貸してくれるって」
「ほんとですか⁉」

 アレンは笑顔でティムの父を見る。ティムの父は笑顔で答える。

「可愛いアイリスのためだからな!」

 アレンは喜び、ティムの父に抱きつく。その様子をティムが微笑みながら見ている。

「そのかわり大事にしてやってくれよ。それから必ず無事に帰って、アイリスを起こしてやってくれ」

 ティムの父はそう言ってアレンに微笑みかける。

「はい! ありがとうございます」

 アレンたちは馬を選び、小屋の外に出る。ティムは馬にまたがり、父を見る。

「じゃあ父さん、ちょっと行ってくるよ」
「おう、気をつけて行ってこい!」

 4人は勢いよく駆け出していく。その様子をティムの父は暖かいまなざしで見つめていた。
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