神の俺が最高神に下界転生の刑にされたのでもう一度成り上がる!

もそもそ大王

文字の大きさ
3 / 14

第3話 神、褒められ気分がいい

しおりを挟む
 神の祝福を受けている。
 そう賢者が言うと周りは色めきたった。



「この子は途轍もない素質の持ち主ですな」
「祝福があるなんて! 信じられないよ!」



 ここにいる奴らは全員祝福とやらを知っているらしく俺が褒め称えられているというのに疎外感を感じてしまう。神の俺が神のなんたらを知らないなんてどういう事だとしかめっ面をしていたが話を聞いている内に理解できた。

 通常皆が持っている魔力とは別に極稀にその者しか持たない特殊な能力の事を神の祝福と言うらしい。
 つまりは俺が異世界転生させる際にオマケで与えるチート能力とかがその例だろう。



「すみませんが今見たのは秘密にして頂けませんか? いずれ旅立ってしまうまで私達は静かに暮らしたいのです」
「それもよいでしょう。こんな幼いうちから親元を離れるのはお互いに辛いでしょう、他言無用にいたします」



 なんの話か分からなかったが、余り目立ちた過ぎてはいけないということだろうか? それにしても俺の祝福とは何なのだろうか、説明してくれるのを期待していたが、いずれ明らかになるでしょうと思わせぶりな言葉を残し去っていってしまった。



 
 魔法を使う上で注意すべき項目に、己の限界を超えて使用すると体に悪影響が出るとあった。
 繰り返し限界まで使う鍛錬法も有るらしいがそんな物は俺に相応しくない、成長するに連れ自然と容量が増えるので知識を蓄えることに専念しよう。



「ボール遊びしよう! マルス!」



 今更ながら我が家名はネルバルトと言う。
 父はネルバルト・アルフリート。
 母はネルバルト・ミドラーゼ。
 俺はマルネスターと言う名前のはずなのだが専らマルスと呼ばれている。言いづらいので是非マルスにして欲しいのだがコレは愛称というものらしくあだ名みたいなものだろうか。


 父は俺が歩けるようになってから、やたらと体を動かす遊びに誘うようになった。
 


「やっ!」
「おお、上手いぞ! 頭だけじゃなく体も鍛えておくんだぞ、ほらもう1回!」

「パパと遊んでもらえて楽しそうね」



  鬱陶しいから止めろとボールを投げ返すものの、まだ上手く喋れないのと嫌がっていることに気が付かない父のせいでこのやり取りは何度も続く。
 母も俺の気持ちが分からないのかその光景を楽しげに見ていた。


********


  3歳になった。
 この頃になると母は本腰を入れて俺に魔術を教えるようになり、父も簡単な格闘術を教えこもうと熱心に教育を固め始めた。
 とはいえ。



「これが回復魔法よ、凄いわマルス! やっぱりあなたは天才ね!」

「これが基本の構えだ! 流石我が子、俺を超える日も近いぞ!」



 甘過ぎて辟易する程のものなので、教育と言うよりは我が子との交流のついでなのだろう。
 厳しくムチを叩かれながら教えこまれるよりはよっぽどマシだがな。褒められる事自体は悪くない。


 
 どうやら母は優秀な魔道士、父は高名な格闘術を操る武闘家のようで、学ぶべき事は多い、真面目に聞いてやると喜んで次々と教えてくれるのでどんどん吸収していっている。




「おぼっちゃま、何か御用ですか?」
「本、とって」



 以前よりも話せるようになった俺は使用人も扱うことができ、今まで手の届かなかった本まで自由に読める様になりますます学を積むことができた。


 世界の本。様々な国や大陸、人種が事細かく記されたものによると、どうやら今居る場所はだいぶ僻地のようだ。
 
 魔王とやらが住み着く魔界から遠く、比較的穏やかなこの地は自然に溢れていて目立った危険もなく、発展はしていないが不自由なわけでもない。
 
 人で賑わう大きな街では常に文明が発達し多くの者達がそこで様々な暮らしをみせるという。


 
「マルス、また本を読んでいたの? 勉強熱心で嬉しいわ! ママと魔術のお勉強をしましょ!」
 


 もうこんな時間か、随分と時間を使ってしまったようだ。
 俺が才能を見せてから勉強の時間というのも設けられるようになり、今は母と魔法について学ぶ時である。



「はい、昨日のおさらいね。『かのものに癒やしを、キュア』初級の回復魔法だけど基本が大事だからね、やってみて」



 昨日教わった初級魔法のおさらいだが、俺はもっと凄い事を今日知ったのだ。見せつけてやろう。



「んん、喉の調子が悪いなぁ、先生にお薬貰おうかしら」



 使用人の1人が体調が悪いらしい、俺は彼女に手を向け、治れと念じると。



「あれ? 良くなった。気のせいだったのかしら?」



 成功だ。詠唱も無しに教わったものより上位の魔法を使えたのである。
 使用人は自分の身に起きたことに気がついていないようだが、母はしっかりと見ていてくれたらしく、やってみて、と言った顔のまま固まっている。



「すごい、でしょ」



 自慢気にふんぞり返り母にアピールすると彼女はプルプルと震え、俺を天井まで高く放りなげた。



「凄いわーーー! 詠唱破棄まで出来るなんて! みんな来てちょうだい! マルスが凄いことしたのよ!」



 爆発したかの様に俺を高い高いしながら喜び叫ぶ母に思わず驚いてしまったが、とても気分がいい。

 下界の者たちに自らを褒め称えさせる歌を作らせる神もいたがこんな気分なのだろうか、それならば早くに俺も同じことをすればよかったなと思った。



「あなたの才能は伸ばしてあげないと駄目ね。私が教えられることは限られているから誰かに頼まないと」
「それならマーリーはどうだ? この前手紙が来たとき才能のある弟子が居なくて困っていると言っていたぞ」



 誰だか知らないが俺を成長させる者ならなんでもいい、俺がこの世を支配するのにまだまだ力と知識が必要なのだからな。



 何10回目かの俺が○○した記念日のパーティの中、着実に覇道を進んでいることを確信した。
                    
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!

ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。 ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!? 「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」 理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。 これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました

白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。 そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。 王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。 しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。 突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。 スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。 王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。 そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。 Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。 スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが―― なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。 スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。 スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。 この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります

転生特典〈無限スキルポイント〉で無制限にスキルを取得して異世界無双!?

スピカ・メロディアス
ファンタジー
目が覚めたら展開にいた主人公・凸守優斗。 女神様に死後の案内をしてもらえるということで思春期男子高生夢のチートを貰って異世界転生!と思ったものの強すぎるチートはもらえない!? ならば程々のチートをうまく使って夢にまで見た異世界ライフを楽しもうではないか! これは、只人の少年が繰り広げる異世界物語である。

魔法使いが無双する異世界に転移した魔法の使えない俺ですが、陰陽術とか武術とか魔法以外のことは大抵できるのでなんとか死なずにやっていけそうです

忠行
ファンタジー
魔法使いが無双するファンタジー世界に転移した魔法の使えない俺ですが、陰陽術とか武術とか忍術とか魔法以外のことは大抵できるのでなんとか死なずにやっていけそうです。むしろ前の世界よりもイケてる感じ?

処理中です...