神の俺が最高神に下界転生の刑にされたのでもう一度成り上がる!

もそもそ大王

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第6話 神、父と修業する

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 あれから2年が経ち、俺は6歳になった。
 家にある書物は既に読破し終え、マーリーに教わった魔術も同時詠唱以外は出来るようになった。(同時詠唱はどう頑張っても物理的に不可能だったが)
 


「父上、何されているんですか?」


 敬語とやらも気を付けてさえいればボロを出さないようには使えるようになったので母に尻を叩かれることもなくなり一安心だ。



「ん? 薪割りだよ、マルスもやるか?」



 薪割りを知りたかったのではなく、何故アルフリートがわざわざそんな事をやっているのか聞きたかったんだが……。

 父は母やマーリー達と違って頭を使うより体を使うのが向いているらしく、時々こうして体を動かすような雑用を進んでやっているのだ。



「ほら、マルスもやってみようか。こうやって構えて振り下ろすんだ! キレイに割れると気持ちいいぞ!」
「…………」



 俺は正直体を動かすのが好きではない。
 動かせば動かす程疲労がたまり、筋肉痛になると暫く痛みが続くので不快でたまらないのだ。
 
 生き物とは何故痛みがあるのか、神の座に戻った際には全生命から痛みを無くしてやろうじゃないか、人間になってから俺は随分と下界に興味を持つようになった気がする。これなら戻っても追放されることはないな!



「ほら、速く速く! パパと一緒に薪割りしよう!」



 どうも父は俺と何かをできるのが嬉しいようだ。
 今まで魔術に専念していた為、彼と共に何かをするのは少なかった。
 これも親孝行とでも考えて付き合ってやることにするか。
 
 そう思い父から手渡された小さめの斧を受取、力いっぱい振り下ろした。



「あー、腕だけじゃなくて体全体を使ってこう、ガッ! とするんだよ」
「わかりません」



 アルフリートの説明は大体が抽象的で理解ができない、ガッとかバババッ! 等がよく出てくるので大抵が分からぬまま終わってしまうからたちが悪い。

 とはいえすぐに投げたしてしまうのでは神の名が廃る。
 何度も何度も斧に刺さった薪を叩きつけることで何とか割ることに成功した。



「父上! 割れまし……」
「おお! 綺麗に割れたな! なかなかやるじゃないか!」



 俺が必死こいて小さな薪を割っている間に父は幾つもの薪を叩き割っていたのだ。拳で。
 


「凄いぞ! マルス、勝負しよう! これは負けていられないな!」
「あ、はい」



 まるで勝負になっていないというのに勝手に対抗意識を燃やした父によって日が暮れるまで付き合わされてしまった。
 
 俺は回復魔法をかけ、休み休みでどうにか20個はしたかどうかなのに対して、父はもはや数えるのがおっくうになるほどの数を割っていたので勿論俺の敗北に終わった。

 休む事なく素手でさばいていくその様は敗北感よりも俺に体を鍛えることの重要性を教えてくれたのだ。そういうことにしておこう。
                     
                       
*******
                     
                      

 父との勝負? から俺は肉体を鍛えるようにした。
 魔法さえ使えればどうとでもなると思っていたがあれはどうにも真似できそうにはない、どうせ人間に生まれ変わったのだ頭脳と肉体の両方で世の頂点に立ってやろうじゃないか。
                    
 
 今俺は村の近くの森に来ていた。
 アルフリートが言うには無理に力をつけようとするよりは自然の中に身を置くほうが体の動かし方や気配を感じ取る能力が上がるというのだ。
                  
 母、ミドラーゼは怪我をするからやめなさいと反対したが父がこの世で生きていくには重要な事だと珍しく知性的に説得し、許しを得た。
                 


「まったく見つからんな、アイツは何処に隠れているんだ?」
                 

 
 一緒に来ているはずの父の姿がない。
 最も効率のいい鍛え方と言って隠れん坊なるものを提案してきた。隠れている者を鬼が探し当てるというのたがこれは本当に修行なのか?
 
 なるべく分かりやすい場所に隠れると言っていたが探せども探せども見つからない。
 痕跡を探すのと気配を探るのが肝と言っていたのだが、地面を見るとあちこちに靴跡が残っていて辿ってみるものの途切れていて弄ばれてる気分だ。



「クソッ! 少しは手加減したらどうなのだ!」



 こういうのを大人気ないというのだろう! 
 流石に苛ついてきたので森ごと炎の魔術で焼き払ってやろうか、そんな考えを実行してしまいそうになった時、何者かの声が聞こえた。



「ヤツか! ハハハ、馬鹿め! こんな初歩的なミスを犯すとはな!」

                       

 苛立っていた俺は聞こえた声が父のものだと思い込み、即座に声の元へ走り抜けた。
 木々の間をすり抜け、たどり着いた先で。
                        
                       

「誰かたすけて……」

                       

 1人の子供が魔獣に襲われているのを見つけてしまった。

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