神の俺が最高神に下界転生の刑にされたのでもう一度成り上がる!

もそもそ大王

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第7話 神、魔獣を退ける

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 同じ年頃だろうか、1人の子供が魔獣に追い詰められている所に出会してしまった。

 魔獣は四足歩行でかなり体格の良く、ヨダレを垂らしているのを見るに非常に獰猛で肉食の獣だろう。
 というより俺はコイツを知っている。
 名前はアークベア、他所の世界を見た時に目にした熊という生き物をパク……俺が作り上げたオリジナルのモンスターだ。
 
 何百年も前に生み出したのだが、まだ生き残っているのを見ると生物として上手く行っているようだ。


 
「アークベアよ、お前に出会えたことを俺は嬉しく思っているぞ」



 
 造った生き物を生で見る興奮、喜び、これが所謂父親の気持ちなのかもしれない。
 
 子供に襲いかかろうとしていたアークベアに近寄ると、こちらに気がついたのか唸り声を上げて立ち上がった。



「ふむ、非常に大きいな。コイツは随分と強い個体みたいだ」
「た、助けて」



 立ち上がったアークベアを観察していると、子供も俺の存在に気が付いたらしく助けを求めてくる。
 見逃してもよいのだが直接救いを求められたのならば神として頬っておけまい。軽く解決してやろう。




「おいお前、俺に免じてそいつは見逃してやれ。他ならぬ神の言うことだ。すなおに、」



 バキバキバキ、と音をたてて木が倒れた。
 俺が有り難いお言葉を授けている最中にアークベアが何故か木を殴り倒したのだ。



「駄目! 逃げて!」



 一撃で木が薙ぎ倒される場面を目の当たりにしたアイツは勝てる訳がないとでも思ったのだろうか。

 助けてと言ったり逃げてと言ったりややこしいやつめ、しかしその気持ちは分かるぞ。
 自分と同じ年頃の子供がこんな怪物に勝てると思わないだろう。
 
 アークベアは俺の事を警戒しつつもその目は自分が圧倒的に強者だと信じて疑わない目だ。
 



「少し教育してやろう。かかって来い」



 人差し指を前に突き出し回してやると、挑発されているのを理解したらしく声を荒げながら襲い掛かってくる。

 二足歩行のままで来るので土魔法で地面を盛り上げさせ足を引っ掛けてやるる。油断していたのか躓きバランスを崩した。
 すかさずもう一度進行先を邪魔してやると呆気なく転んだ。



「不様だな、遊んでるんじゃないぞ?」



 強大な自分が目の前の小さな生き物に転ばされたのか、そう感じ取ったであろうアークベアは二足歩行を止め、俺を引き裂いてやると言わんばかりに突撃してくる。

 強靭な身体が生み出す力は相当なもので、その一歩だけでも俺を跳ね飛ばすだろう魔獣の足がコチラに駆けようと向かってきたのだが、空を切りポッカリと空いた穴の中に落ちてしまった。




「ふん、力ばかりで知能は大したことがなかったようだ。そこのお前、望み通り助けてやったぞ」
「え、えーと、ありがとう?」



 俺が勝ってしまうのが意外だったらしく、唖然としている。
 恐怖で腰が抜けてしまったのか地面に尻をつけたままの青髪の子供に手を貸してやろうと近づいていくと。



「後ろ!」



 後方を指差し叫ぶので振り向くとアークベアが落とし穴から這い上がっており、俺に向かって猛然と走り寄ってきている。
 
 当然そう来るだろうと分かっていた俺は、アークベアが俺と接敵する瞬間石柱を作り上げ迎撃してやろうと魔法を発動した。
 
 が、そこへ音も無く現れたアルフリートが魔獣の横腹を蹴り上げ、遥か彼方に吹き飛ばしてしまったのだ。



「マルス、油断はきっ!」
「あっ」



 助けてくれたはいいものの、最悪のタイミングで来てしまった為に魔法の発動を止められず、勢い良く飛び出した石柱に吹き飛ばされ、父は姿を消した。



「ええ!? 誰かが来てどっかに行っちゃったよ!」


 
 俺も驚きである。
 
 咄嗟に助けに来たのには思えない。最初から見ていただろう父は息子の窮地に颯爽と助けに来たつもりなのだろうが申し訳ないことをした。



「まぁいいか、今度こそ終わったぞ。お前、名は何という?」
「いいのかな……僕はアドメイヤ、君は?」


「俺の名はネルバルト・マルネスター、この世界の支配者だ。この俺に助けてもらった事を未来永劫忘れるなよ」



 望み通り答えてやったというのに間抜けにも口を開けて唖然としている。
 子供には理解しろと言っても難しいのかもしれんな、そう思い立ち去ろうとするとアドメイヤが俺の手を掴んだ。



「なんだ、何か用か?」
「あの、まだ怖いから一緒にいてほしい……んだけど、駄目かな?」



 青い瞳が薄っすらと涙を蓄えていた。
 よく見れば掴んできた手は僅かに震えていて、未だ襲われかけた恐怖が残ってるようだ。

 このまま放って置いたらまた別の魔獣に襲われるかもしれない、そうなれば俺がわざわざ助けてやった意味がないだろう。

                     

「ならばついて来い、俺の家に招いてやる」
「あ、ありがとう!」


                       
 こうしてアドメイヤと名乗る子供を家に連れて変えることにしたのだ。

 家に帰ると父が嬉しそうに出迎えてくれた。
 
 丈夫なやつだ……

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