12 / 14
第12話 神、強襲
しおりを挟む
「マルス! 何かあったんだな!」
「こっちだ! かなり奥にアークベアとユントニウスの気を感じた!」
集中していた時とは違い、今は全力で走っているので分からないが方角はあっているはずだ。
1秒でも速く駆けつけなければユントニウスの命が危ない! 間に合ってくれ!
「駄目だマルス! どう考えても間に合わん!」
焦っているせいで何処に居るかも知れない状況だ、足元の悪いなか草木をかき分けながらでは、父の言う通り無理かもしれない。
だがそんな事は言ってられないのだ! 何か方法はないか!
「っ! 父上、俺を投げ飛ばしてくれ!」
かなり危険な事だが1つだけ方法は思いついた。
地を行くのが駄目なら空を行くしかない、上手く行く保証はないうえ俺自身の命も失いかねないが可能性があるならするしかない!
「そんな事はしたくないが、お前を信じるぞ! うおおおお!!」
父は察しがいい、少しも躊躇を見せることなく俺を空高くまで放りなげてくれた。自分で言ったとはいえ心の準備がまだできていなかったが、逆にありがたい。
「うわおおおおおぉぉ!!」
木の隙間をすり抜けて、飛ぶ鳥よりも高く空にたどり着いた。勿論このまま行けばそのまま地に落ちてもう一度空に行ってしまうだろう。
風魔法を発動する。
俺の師匠、マーリーは1流の風魔法使いであれば魔鳥よりも速く空を自由に飛び回る事ができると語っていた。
「俺は神だ! できぬ筈がないのだ!」
両腕を後ろに回しそこから風を巻き起こす。その瞬間爆発的な力が生み出され、気を失いそうな程の速度で前へ突き進んだ。
とにかく前へとイメージして魔法を使ったが、速度以外は概ね思い通りにいっている。体を打ち付ける風が痛いが、そのお陰で気絶せずにすんでいる。
「…………」
このままでは通り過ぎてしまうかもしれない、集中なんてできる様な状況ではないが心を研ぎ澄ませ! ユントニウスの気配を探すのだ!
物凄い速さで飛びながらも心を落ち着けなければならない、子供に声をかけられるだけで気を乱していた俺だが、窮地に立たされているせいか今までに無いほどの集中力を作り出した。
「…………そこか!」
逃げ惑うユントニウスとそれを追いかけるアークベアの気、更にメイヤがいるのを感じる。
このままいけば10秒後、ちょうど真下に来るだろう、タイミングをあわして下に急降下だ。
「……3、2、1! うおおおおお! 行っけええぇぇ!」
やらせてなるものか!
奴には俺の修行を邪魔した仕返しをせねばならんのだ! 魔獣なんぞにやらせるものか!
*****
唸り声をあげながら魔獣が2人の子供を追い詰めている。
息も絶え絶えになったユントニウスは木の根っ子に躓き倒れ込む、どうにか腕に力を込め立ち上がろうとするが、アークベアが間近に迫る。
「危ない!」
メイヤはそこへ駆けつけ助け出そうとするが魔獣が目の前に立ちはだかる。
「マルス……」
上を見ると人間の顔よりも大きい掌が振り下ろされようとしているのが見えた時、彼女はここにはいない者に助けを求めた。
無慈悲にも声は届くことはなく、また助けなど来るはずも。
「はああああああああ」
******
「ぁぁぁぁぁ!!!」
狙った訳ではないが落下地点にアークベアがいたので脳天に強烈な蹴りを御見舞してやった。
意識外から喰らわされた一撃に耐えられずアークベアは倒れふし、それがクッションとなり俺は落下死を免れたることができた。
「マルス!? どうしてここに!?」
「そこのものが襲われているのを感じてな、飛んできたのだ」
ユントニウスは息が荒く、俺に気付いていながら声もかけられないようだが怪我をしている様子はない、メイヤもあの時のように驚き戸惑って入るがなんともない。
「ハァ、ハァ、マル、マルネスター、」
「やぁユントニウス、この俺が助けに来てやったぞ。恩を着せる訳ではないが感謝感激して涙をなが流しながら礼を言っても良いぞ」
「あの、マルス……足が……」
足? 俺の足は別になんともないが?
ユントニウスも俺の足を指差し何かを言いたがっている気がしたので見てみた。
右足が真横に、左足が真上に向いている。 人間の足とはこうなるものものだったか?
「!!!!!!」
味わったことの無い痛みが脳に走り、声にならない声をあげてしまう。慌てて彼女が俺に回復魔法をかけてくれたおかげで無様にのたうち回らずすんだ。
メイヤに魔法を教えておいてよかった。心からそう思った。
「マルネスター、その、助けてくれたんだよな。あ、ありがとうな」
「ふむ、もっと崇め奉る様に感謝を述べてほしいところだがな。良いだろう、ゆめゆめ忘れるなよ、俺が! 助けたのだぞ!」
「マルス……」
メイヤも感謝すべきというのに、とてもそんな顔ではないのは何故だろう?
ユントニウスが感謝を述べていたはずなのに呆れ顔をしている。
そんな疑問を浮かべていたせいか、倒れふしたアークベアが微かに動いていることに誰も気が付かなかった。
「こっちだ! かなり奥にアークベアとユントニウスの気を感じた!」
集中していた時とは違い、今は全力で走っているので分からないが方角はあっているはずだ。
1秒でも速く駆けつけなければユントニウスの命が危ない! 間に合ってくれ!
「駄目だマルス! どう考えても間に合わん!」
焦っているせいで何処に居るかも知れない状況だ、足元の悪いなか草木をかき分けながらでは、父の言う通り無理かもしれない。
だがそんな事は言ってられないのだ! 何か方法はないか!
「っ! 父上、俺を投げ飛ばしてくれ!」
かなり危険な事だが1つだけ方法は思いついた。
地を行くのが駄目なら空を行くしかない、上手く行く保証はないうえ俺自身の命も失いかねないが可能性があるならするしかない!
「そんな事はしたくないが、お前を信じるぞ! うおおおお!!」
父は察しがいい、少しも躊躇を見せることなく俺を空高くまで放りなげてくれた。自分で言ったとはいえ心の準備がまだできていなかったが、逆にありがたい。
「うわおおおおおぉぉ!!」
木の隙間をすり抜けて、飛ぶ鳥よりも高く空にたどり着いた。勿論このまま行けばそのまま地に落ちてもう一度空に行ってしまうだろう。
風魔法を発動する。
俺の師匠、マーリーは1流の風魔法使いであれば魔鳥よりも速く空を自由に飛び回る事ができると語っていた。
「俺は神だ! できぬ筈がないのだ!」
両腕を後ろに回しそこから風を巻き起こす。その瞬間爆発的な力が生み出され、気を失いそうな程の速度で前へ突き進んだ。
とにかく前へとイメージして魔法を使ったが、速度以外は概ね思い通りにいっている。体を打ち付ける風が痛いが、そのお陰で気絶せずにすんでいる。
「…………」
このままでは通り過ぎてしまうかもしれない、集中なんてできる様な状況ではないが心を研ぎ澄ませ! ユントニウスの気配を探すのだ!
物凄い速さで飛びながらも心を落ち着けなければならない、子供に声をかけられるだけで気を乱していた俺だが、窮地に立たされているせいか今までに無いほどの集中力を作り出した。
「…………そこか!」
逃げ惑うユントニウスとそれを追いかけるアークベアの気、更にメイヤがいるのを感じる。
このままいけば10秒後、ちょうど真下に来るだろう、タイミングをあわして下に急降下だ。
「……3、2、1! うおおおおお! 行っけええぇぇ!」
やらせてなるものか!
奴には俺の修行を邪魔した仕返しをせねばならんのだ! 魔獣なんぞにやらせるものか!
*****
唸り声をあげながら魔獣が2人の子供を追い詰めている。
息も絶え絶えになったユントニウスは木の根っ子に躓き倒れ込む、どうにか腕に力を込め立ち上がろうとするが、アークベアが間近に迫る。
「危ない!」
メイヤはそこへ駆けつけ助け出そうとするが魔獣が目の前に立ちはだかる。
「マルス……」
上を見ると人間の顔よりも大きい掌が振り下ろされようとしているのが見えた時、彼女はここにはいない者に助けを求めた。
無慈悲にも声は届くことはなく、また助けなど来るはずも。
「はああああああああ」
******
「ぁぁぁぁぁ!!!」
狙った訳ではないが落下地点にアークベアがいたので脳天に強烈な蹴りを御見舞してやった。
意識外から喰らわされた一撃に耐えられずアークベアは倒れふし、それがクッションとなり俺は落下死を免れたることができた。
「マルス!? どうしてここに!?」
「そこのものが襲われているのを感じてな、飛んできたのだ」
ユントニウスは息が荒く、俺に気付いていながら声もかけられないようだが怪我をしている様子はない、メイヤもあの時のように驚き戸惑って入るがなんともない。
「ハァ、ハァ、マル、マルネスター、」
「やぁユントニウス、この俺が助けに来てやったぞ。恩を着せる訳ではないが感謝感激して涙をなが流しながら礼を言っても良いぞ」
「あの、マルス……足が……」
足? 俺の足は別になんともないが?
ユントニウスも俺の足を指差し何かを言いたがっている気がしたので見てみた。
右足が真横に、左足が真上に向いている。 人間の足とはこうなるものものだったか?
「!!!!!!」
味わったことの無い痛みが脳に走り、声にならない声をあげてしまう。慌てて彼女が俺に回復魔法をかけてくれたおかげで無様にのたうち回らずすんだ。
メイヤに魔法を教えておいてよかった。心からそう思った。
「マルネスター、その、助けてくれたんだよな。あ、ありがとうな」
「ふむ、もっと崇め奉る様に感謝を述べてほしいところだがな。良いだろう、ゆめゆめ忘れるなよ、俺が! 助けたのだぞ!」
「マルス……」
メイヤも感謝すべきというのに、とてもそんな顔ではないのは何故だろう?
ユントニウスが感謝を述べていたはずなのに呆れ顔をしている。
そんな疑問を浮かべていたせいか、倒れふしたアークベアが微かに動いていることに誰も気が付かなかった。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!
ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。
ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!?
「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」
理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。
これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました
白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。
そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。
王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。
しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。
突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。
スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。
王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。
そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。
Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。
スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが――
なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。
スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。
スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。
この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります
転生特典〈無限スキルポイント〉で無制限にスキルを取得して異世界無双!?
スピカ・メロディアス
ファンタジー
目が覚めたら展開にいた主人公・凸守優斗。
女神様に死後の案内をしてもらえるということで思春期男子高生夢のチートを貰って異世界転生!と思ったものの強すぎるチートはもらえない!?
ならば程々のチートをうまく使って夢にまで見た異世界ライフを楽しもうではないか!
これは、只人の少年が繰り広げる異世界物語である。
魔法使いが無双する異世界に転移した魔法の使えない俺ですが、陰陽術とか武術とか魔法以外のことは大抵できるのでなんとか死なずにやっていけそうです
忠行
ファンタジー
魔法使いが無双するファンタジー世界に転移した魔法の使えない俺ですが、陰陽術とか武術とか忍術とか魔法以外のことは大抵できるのでなんとか死なずにやっていけそうです。むしろ前の世界よりもイケてる感じ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる