神の俺が最高神に下界転生の刑にされたのでもう一度成り上がる!

もそもそ大王

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第12話 神、強襲

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「マルス! 何かあったんだな!」

「こっちだ! かなり奥にアークベアとユントニウスの気を感じた!」



 集中していた時とは違い、今は全力で走っているので分からないが方角はあっているはずだ。
 1秒でも速く駆けつけなければユントニウスの命が危ない! 間に合ってくれ!



「駄目だマルス! どう考えても間に合わん!」
 


 焦っているせいで何処に居るかも知れない状況だ、足元の悪いなか草木をかき分けながらでは、父の言う通り無理かもしれない。
 だがそんな事は言ってられないのだ! 何か方法はないか!
 
 

「っ! 父上、俺を投げ飛ばしてくれ!」



 かなり危険な事だが1つだけ方法は思いついた。
 地を行くのが駄目なら空を行くしかない、上手く行く保証はないうえ俺自身の命も失いかねないが可能性があるならするしかない! 
 
 
 
「そんな事はしたくないが、お前を信じるぞ! うおおおお!!」



 父は察しがいい、少しも躊躇を見せることなく俺を空高くまで放りなげてくれた。自分で言ったとはいえ心の準備がまだできていなかったが、逆にありがたい。



「うわおおおおおぉぉ!!」



 木の隙間をすり抜けて、飛ぶ鳥よりも高く空にたどり着いた。勿論このまま行けばそのまま地に落ちてもう一度空に行ってしまうだろう。

 風魔法を発動する。
 俺の師匠、マーリーは1流の風魔法使いであれば魔鳥よりも速く空を自由に飛び回る事ができると語っていた。
 


「俺は神だ! できぬ筈がないのだ!」



 両腕を後ろに回しそこから風を巻き起こす。その瞬間爆発的な力が生み出され、気を失いそうな程の速度で前へ突き進んだ。

 とにかく前へとイメージして魔法を使ったが、速度以外は概ね思い通りにいっている。体を打ち付ける風が痛いが、そのお陰で気絶せずにすんでいる。

 

「…………」


このままでは通り過ぎてしまうかもしれない、集中なんてできる様な状況ではないが心を研ぎ澄ませ! ユントニウスの気配を探すのだ!

 物凄い速さで飛びながらも心を落ち着けなければならない、子供に声をかけられるだけで気を乱していた俺だが、窮地に立たされているせいか今までに無いほどの集中力を作り出した。

 
 
「…………そこか!」


 
 逃げ惑うユントニウスとそれを追いかけるアークベアの気、更にメイヤがいるのを感じる。
 このままいけば10秒後、ちょうど真下に来るだろう、タイミングをあわして下に急降下だ。



「……3、2、1! うおおおおお! 行っけええぇぇ!」



 やらせてなるものか! 
 奴には俺の修行を邪魔した仕返しをせねばならんのだ! 魔獣なんぞにやらせるものか!


*****
 

 唸り声をあげながら魔獣が2人の子供を追い詰めている。

 息も絶え絶えになったユントニウスは木の根っ子に躓き倒れ込む、どうにか腕に力を込め立ち上がろうとするが、アークベアが間近に迫る。



「危ない!」
  

 
 メイヤはそこへ駆けつけ助け出そうとするが魔獣が目の前に立ちはだかる。
 


「マルス……」



 上を見ると人間の顔よりも大きい掌が振り下ろされようとしているのが見えた時、彼女はここにはいない者に助けを求めた。
 
 無慈悲にも声は届くことはなく、また助けなど来るはずも。



「はああああああああ」



******



「ぁぁぁぁぁ!!!」



  狙った訳ではないが落下地点にアークベアがいたので脳天に強烈な蹴りを御見舞してやった。
 
 意識外から喰らわされた一撃に耐えられずアークベアは倒れふし、それがクッションとなり俺は落下死を免れたることができた。



「マルス!? どうしてここに!?」

「そこのものが襲われているのを感じてな、飛んできたのだ」



 ユントニウスは息が荒く、俺に気付いていながら声もかけられないようだが怪我をしている様子はない、メイヤもあの時のように驚き戸惑って入るがなんともない。

 

「ハァ、ハァ、マル、マルネスター、」
 
「やぁユントニウス、この俺が助けに来てやったぞ。恩を着せる訳ではないが感謝感激して涙をなが流しながら礼を言っても良いぞ」


「あの、マルス……足が……」



 足? 俺の足は別になんともないが?

 ユントニウスも俺の足を指差し何かを言いたがっている気がしたので見てみた。
 
 右足が真横に、左足が真上に向いている。 人間の足とはこうなるものものだったか?
 
 

「!!!!!!」


 
 味わったことの無い痛みが脳に走り、声にならない声をあげてしまう。慌てて彼女が俺に回復魔法をかけてくれたおかげで無様にのたうち回らずすんだ。
 メイヤに魔法を教えておいてよかった。心からそう思った。



「マルネスター、その、助けてくれたんだよな。あ、ありがとうな」

「ふむ、もっと崇め奉る様に感謝を述べてほしいところだがな。良いだろう、ゆめゆめ忘れるなよ、俺が! 助けたのだぞ!」

「マルス……」


 
 メイヤも感謝すべきというのに、とてもそんな顔ではないのは何故だろう?
 
 ユントニウスが感謝を述べていたはずなのに呆れ顔をしている。


 そんな疑問を浮かべていたせいか、倒れふしたアークベアが微かに動いていることに誰も気が付かなかった。

 
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