現代に帰還した"元"邪悪な魔女は平穏に暮らしたいけど、駄目そうなので周到に準備して立ち回りながら無双します

忘八

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指揮官は頭を悩ませる

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 前書き
スマンが短いよ



 現状、暫定的ながら決まってるのは海中からの潜入と毒ガスで内部の敵を無力化。
 後は最悪、ゴリ押しプランB……こんぐらいか?

 涼子とエレオノーレ。
 2人の魔女と共に楽しいディナーを終えた後。
 帰宅してから風呂に入り、上がった正樹はパンツとシャツだけの気軽な姿になると、自室の壁一面に貼られた多数の資料を仁王立ちで眺めていた。

 問題は他にもある。
 海中から潜入するにしてもキロ単位を荷物と一緒に、2人は泳げるのか?
 泳いで上陸した後、そのまま潜入して移動出来るだけのタフネスが有るか?
 それ以前にアイツは兎も角、エレオノーレに何処まで銃の取り扱いを学ばせられるか?

 「クソ。問題が山積みでキリが無ぇ……」

 今、挙げた問題だけでも頭を悩ませるには充分過ぎた。
 その上、問題点を洗い出す度に問題点が幾つも浮上し続ける。
 だからなのか、正樹は頭痛を覚えてしまう。
 だが、その時の正樹は乾いた笑いを浮かべていた。

 「マジで問題が山積み過ぎて笑っちまう」

 乾いた笑いと共にそうボヤいた正樹は改めて壁一面に貼った資料を真剣に見詰め、眺めていく。
 眺めながら正樹は改めて情報を整理していく。

 ブタ箱内に居る兵隊は約3個小隊規模約90人
 夜間は2個小隊が眠り、1個小隊が夜間の警備を担う。
 そんでもって警報が響けば、眠ってる残りの2個小隊が大挙して来る。
 そうなると、仕掛ける時間帯は深夜が無難。
 否、決定にして良い。

 仕掛ける時間帯を駐留する部隊の3分の2が眠っている深夜。
 其処に独断で決定すると、正樹は更に思考を巡らせていく。

 周りの軍艦はどうする?
 無視しても良い。
 だが、脱出時のリスクを踏まえるなら理想としては沈めておきたい。

 孤島の周囲を警戒する軍艦を沈めたい。
 そう考えた正樹は沈め方を考える。

 船底の竜骨をポッキリとへし折るんなら、やっぱり爆弾が良いよな?
 ロケランロケットランチャーをブチ込むのは目立つから論外だし……
 つーか、ロケランで沈められるか?
 ソレを聞かれると、難しいとしか言えない。
 そうなると、船底に爆弾仕掛けるのが最適解。
 だが、仕掛けるタイミングは何時にする?って言う問題が浮上する。
 理想は前日か当日の夕方頃だが……
 それでもリスクが生まれる事に変わり無い。
 しかし、本番で仕掛けると負担が増す。
 ここ等辺の問題は、2人の魔法によるアシスト抜きでの体力を確認してからじゃないと確定出来ない。
 つーわけで、2人の魔法抜きの体力の確認もしなければならない訳だ。

 「全くもって面倒臭い状況だ。指揮官なんてやるもんじゃねぇな……」

 指揮官として率いる兵のスペックも掌握しなければならない。
 無論、実行に移せるだけのスペックが無いならば訓練して補強する。
 だが、それでも駄目なら使えない者をパージ排除して、使える誰かを何処かで確保しなければならない。

 人を集める伝手は無い。
 他にもプロが居れば、作戦の難易度が下がるんだけどな……
 流石に無いモノ強請りしたくなるぞ、コレは。

 大きな溜息を漏らした正樹は、自分の今の手札に辟易としてしまう。
 だが、勝負は常に自分の手にある今の手札でしなければならないのが世の常である。
 それでも、無いモノばかりであるが故に正樹は無いモノ強請りしたくなってしまっていた。

 「あー……航空支援が有ればなぁ……脱出時のリスクが一気に減るのになぁ……魔女2人涼子とエレオノーレの火力が使えない以上は自前で何とかするしかないと来てる。最悪だな」

 航空支援。
 空から圧倒的な程に強力な対地攻撃をする航空戦力が使えるならば、脱出時のリスクは一気に減る。
 何なら、皆無となる。
 そう言っても良い強力な支援が無い状況下で、囚人と言う荷物と共に敵地から逃げ出さなければならない。
 だからこそ、正樹は益々頭を悩ませてしまう。
 しかし、正樹の頭を悩ませると共に痛める問題は他にもあった。

 「現地に前哨基地となるセーフハウスが確保しなければならないって問題もある。それに脱出時のアシだって欲しいのに、宛が無い」

 派手にヤラかした後の逃走時。
 逃走手段が無ければ、押し込み強盗を働いた監獄が終の住処になるバッドエンドを迎える羽目になる。
 その為、逃走手段の確保は最優先で何とかしたい問題であった。
 しかし……

 「理想はヘリなり船舶に拾って貰って、一気に戦場から逃げる。コレに尽きるんだけどな……そうなると腕の良い人材も確保しないとならない問題も出来る。マジで無い無い尽くし過ぎる」

 理想は正樹が口にした通り、理想的な脱出は腕の良い仲間に迎えに来て貰う。
 コレに尽きた。
 何なら、迎えに来た者から逃走時の火力支援も受ける事が出来れば、最高だ。
 だが、その宛は無い。
 現実は無情で、非情でもある。

 「マジで最悪だ。問題は山積み、やる事も山積み……やっぱ、指揮官なんてやるもんじゃねぇな」

 ゲンナリとしながらボヤいた正樹は2度目の溜息を漏らすと、思考を切り替えた。

 山積みの問題は一旦忘れて、出来る事を整理しよう……
 先ずは作戦時に持って行く装具類の選定。
 次に2人の訓練。
 前者に関しては、監獄内での戦闘である以上は取り回しの良い銃は必須。
 だが、同時に火力も欲しいのも事実。
 プランBになったら、火力がモノを言う。
 そうなると、最低でも機関銃が1丁欲しい。
 それ以外はカービンで良いか?
 可能ならグレラングレネードランチャーも欲しいけどな……
 後、手榴弾も持てるだけ持って行く必要もある。

 理想はステルスに徹して静かに、秘密裏に作戦を成功させる。
 コレに尽きる。
 だが、不測の事態を想定した上で対応する必要も有るのが世の常。
 それ故、正樹は今回の作戦に於ける指揮官として、プランBになってしまった際に有ると嬉しい装備を選定した。
 それから、戦闘は別に必要。
 否、必須のアイテムを考える。

 先ずは軍用の爆薬。
 コレは3人で持ってけるだけ持ってくのは当然として、分厚い金属の扉を相手にするんならサーマイトテルミットも欲しい。
 いっその事、爆薬にサーマイトテルミットを練り込みたい所だけど……

 「取り扱う時の危険度が一気に増すんだよなぁ……そうなると、辞めとく方が良いな」

 思考の整理も兼ねて口に出す正樹は爆薬にサーマイトテルミットを練り込むのは無し。
 そう判断すると、次の思考に移った。

 装具類は黒の戦闘服上下。
 その上からプレキャリプレートキャリアで良いとして……
 ヘルメットもある方が良い。
 勿論、暗視ゴーグルもセットだ。
 ガスマスクは……何とも言えないな。
 ブタ箱全体にガスを撒くなら兎も角、其処までやるとガスの量が嫌でも増える羽目になる。
 余計な荷物は増やしたくない。
 そうなると、ガスマスクを持ってくのは無しにしとくべきかな?

 その後も正樹は頭の中で装備をピックアップしていく。
 そうして用いる装具類の選定を暫定的に終わらせると、次は監獄のある孤島とその周囲の海図に視線を移した。
 海図を眺め、何処の港街が目的地に近いのか?
 監獄のある孤島の周囲に島は在るか?
 そうした要素を正樹は海図を眺め、確認していく。

 一番近い港街はシャブールか……俺が居た頃も大きな港街として栄えてた。
 さながら、マルセイユみたいなもんだったな……
 理想は此処を中継点として使う事なんだが……

 正樹は今回の作戦に於ける問題を思い浮かべると、3度目の溜息を漏らしてから確認も兼ねてボヤく様に口にしていく。

 「あの2人……伝説クラスのヤベェ魔女2人。あの2人は札付きの極悪人として教会から指名手配され、人々の記憶にも強く残ってる。そんな指名手配犯を2人も引き連れて栄える港街を歩いたら、即座にサツが大挙して来るのは火を見るより明らかだよなぁ……」

 この時の正樹はゲンナリとしていた。
 2人の魔女。
 1人だけでも危険極まりない怪物として扱われているのに、2人も居れば嫌でも面倒な事になるのは明らかであった。
 そんな2人と共に、シャブールに行く。
 どう控え目に見ても、正樹は嫌な予感しか感じなかった。

 「作戦前に目立ちたくねぇんだけど……てか、シャブールに来た時点で2人の事がバレたら、頭の回る野郎なら直ぐにブタ箱が狙いって勘付かれるのは確定だよなぁ……」

 正樹は益々ゲンナリとしてしまう。
 だが、そんな2人と共に作戦を進める必要がある以上、指揮官としてどう処理するべきか?
 考えざる得なかった。

 2人が変装とか得意だって言うなら何とかなる。
 後は其処に最高レベルの偽造身分証もセットなら完璧だ。
 だが、偽造身分証を手に入れる宛は俺には無い。
 そうなると、2人が持つだろう伝手に頼らざる獲ない訳か……

 「マジでニッチもサッチも行かねぇな……プロなら回れ右して、この作戦辞めるレベルだぞ」

 ゲンナリとしながら正樹はボヤいてしまう。
 こんな仕事を依頼されたら、大概のプロは厄介過ぎて依頼を拒否する。
 だが、正樹は違った。

 「でも、コレを成功させればクソアマを殺る糸口が手に入るかもしれないんだ。だったら、やる以外の選択肢は無い」

 正樹の言葉は断固たる意思と、絶対に成功させる気概に満ちていた。
 ソレは復讐の権化としての執念に以外の何物でもなかった。
 そんな正樹は思考を切り上げて指揮官として思考を巡らせるのを辞めると、タブレット端末を手に取ってベッドに座る。
 それから慣れた手付きでタブレット端末を操作し、ヘッドホンを両耳に装着した。
 正樹はさっきまでの張り詰めた空気が嘘の様な呑気な雰囲気と共に、好きな音楽のPVを眺めるのであった。



 後書き
指揮官てさ、色々な事を確認しないとならんし、沢山考えまくらんとならんのよね…

ただ、偉そうに威張るだけじゃないのよ…

作戦を成功させる為に何が必要なのか?
作戦を成功させる為の準備はどうするべきか?
作戦を成功させる際の障害や問題は何か?

て、具合に挙げるとキリが無い。
鬼滅の炭治郎のセリフじゃないけど、出来る事が増えても更に分厚く高い壁にぶつかるんだわ…

で、そう言うのを色々と考えまくったり、情報を確認しまくって障害をどう処理するか?
そう言うのを考えないとならないし、最悪の事態も想定した上で動ける様にもしなければならない

そして、指揮官は部下に対して死んで来い…って命じるのも仕事だからね
まぁ、あの2人は簡単に死なんだろうけど←

兎に角、指揮官は滅茶苦茶しんどいぞ
後、参謀や軍師やりたいって奴は勤勉で有能じゃなきゃ無理だから辞めとけ
過労死を望むんなら別だけど←


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